管理栄養士ライター高村恵美
12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。
犬の毛並みにおすすめの栄養素や食べ物をマスターして、ツヤツヤな姿を維持しませんか?愛情たっぷりに愛犬のお世話をしているのに、毛並みが整わず、気になっている飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
「最近、愛犬の毛並みや毛ツヤが悪くなった…」「食べ物で健康を維持して美しい毛並みを保つには何を与えたらいいの?」
そんな悩みの解決策として、毛並みが示す健康状態や、悪い理由も解説します。また、栄養サポートの観点からサプリの活用についても触れるので参考にしてみてください。
犬の毛並みや毛ツヤは、健康状態を示します。毛並みや毛ツヤがよい状態とは、犬の毛が整い、毛や皮膚に適度の油の膜が張った状態です。油の膜は、水分を弾き、体温維持しやすい良好な状態をつくります。
反対に毛ツヤがない(毛や皮膚に油の膜がない)場合は、雨に濡れると乾きにくく、体温の低下を招くため不健康な状態です。
適度に油分を分泌できる毛ツヤのよい状態は、栄養が十分に行き届いている健康の指標にもなります。
愛犬の毛並みや毛ツヤが悪くなる原因はいくつかあります。解決策もあわせて、それぞれ見ていきましょう。
年を重ねると、皮膚の乾燥や毛のパサつき・抜け毛・白髪が増えるといった老化現象が目立つようになります。老化により新陳代謝が低下して、毛の質に影響するのです。老化は、自然現象なので、ほかの症状が無ければ心配する必要はありません。
皮膚の乾燥が気になるときは、ホホバオイルといった保湿剤でケアするとよいでしょう。
シャンプーやブラッシングのお手入れ不足により、毛並みが悪くなる場合もあります。
しかし、清潔にし過ぎると皮膚のバリア機能の低下を招くので、毎日シャンプーする必要はありません。シャンプーは犬の毛を清潔に保つため、月に1~2回行うのが理想的です。
ブラッシングは、抜け毛や汚れを取り除き、血行を促して毛並みをよくする働きがあります。1日1回行いましょう。
ストレスが溜まると、自律神経のバランスが乱れて、犬の体調や毛並みに悪影響を与えます。犬のストレスの原因はさまざまです。
可能な限り、愛犬とのコミュニケーションを増やしたり、散歩で運動させたり、トリミングや受診のあとはゆっくり休ませるといった配慮でストレスがたまらないように工夫しましょう。
栄養バランスが乱れると、犬の体調や毛並みに悪影響を与えます。品質の低いドッグフードを与えたり、植物性タンパク質や炭水化物の多い食べ物を与えたりするのが原因です。
犬に必要な栄養素の種類は人間と同じですが、必要な栄養素の比率は異なります。犬と人間では、食べ物を体内に取り込むメカニズムが違うのです。人間は「草食性の強い雑食」ですが、犬は「肉食性の強い雑食」とされています。人間と同じ感覚で食べ物を与えると、栄養バランスが偏るので注意しましょう。
積極的に与えたい栄養素については、つぎの章で解説します。
美しい毛並みや毛ツヤを保つために積極的に与えたい栄養素と食べ物をご紹介します。
タンパク質は、毛や皮膚の主要な構成成分です。免疫やホルモンの構成成分としても欠かせません。タンパク質は、複数のアミノ酸が結合して構成された栄養素です。22種類のアミノ酸があり、犬が健康に生きるには、22種類すべてのアミノ酸を要します。
犬の体内では12種類のアミノ酸(非必須アミノ酸)を合成できますが、残り10種類(必須アミノ酸)は食事での摂取が必要です。
雑穀や野菜に含まれる植物性タンパク質は、一部のアミノ酸が含まれていません。一方で、動物性タンパク質には22種類すべてのアミノ酸が含まれています。
毛並みや毛ツヤを美しく保つために、動物性タンパク質をしっかりと与えましょう。
犬の毛並みや毛ツヤをサポートするために、おすすめの「動物性タンパク質」を含む食べ物は以下のとおりです。
市販の総合栄養食のドッグフード(いわゆる、カリカリ)に加熱した上記の食べ物をトッピングしましょう。カロリー過多にならないように、ドッグフードを減らす配慮も大切です。食材が大きいと栄養を効率的に吸収しにくいので、細かく刻んであげましょう。
または、手作り食のメイン食材として使うのも手です。しかし、手作りの際は栄養バランスを考える必要があります。自己流で与えると、栄養バランスを崩す原因になるので、注意が必要です。獣医さんに相談したり、あらかじめ栄養価が計算された冷凍ペットフードを活用するとよいでしょう。
脂質は、ツヤのある美しい毛並みや皮膚を保つために欠かせない栄養素です。不足すると、毛のツヤが失われ、フケの原因になります。エネルギーを生み出す三大栄養素のなかで最も熱量が高く、体温維持にも重要です。
なかでも、「オメガ3脂肪酸(リノレン酸)」と「オメガ6脂肪酸(リノール酸)」は、犬の体内で合成できないので、食べ物で摂取する必要があり必須脂肪酸と呼ばれます。「オメガ6:オメガ3=5~10:1」の割合で摂取するのが犬にとって理想的です。
犬はリノール酸(オメガ6)をリノレン酸(オメガ3)に転換できるため、オメガ6の必要割合が多く設定されています。
犬の毛並みや毛ツヤのサポートにおすすめの「オメガ3脂肪酸(リノレン酸)」を含む食べ物は以下のとおりです。
犬の毛並みや毛ツヤのサポートにおすすめの「オメガ6脂肪酸(リノール酸)」を含む食べ物は以下のとおりです。
市販の総合栄養食のドッグフード(いわゆる、カリカリ)に上記のオイルを少量垂らしましょう。カロリー過多になりやすいので、トッピングでかける分は総合栄養食のドッグフードの量を減らす配慮が必要です。
または、手作り食に使うのもよいでしょう。手作りの際は栄養バランスを考える必要があります。与えすぎると肥満の原因になるので、注意が必要です。
獣医さんに相談したり、あらかじめ栄養価が計算された冷凍ペットフードを活用しましょう。
不足しがちな栄養素を効率的に補うには、サプリメントが便利です。
愛犬に大袋のドライフードを与えている場合は、酸化による栄養不足を招きやすいといわれています。
ドライフードには、酸化防止剤が添加されていますが、状態の悪い環境で長期間保存すると、栄養素の酸化が進む可能性があるのです。
栄養不足を食事で補おうとすると、カロリー過多になる可能性があります。また、自分たちの食事の支度以外に、愛犬の食事管理を毎日するのは容易ではありません。
サプリメントであればピンポイントで手軽に栄養素を補えるので、日々のお世話に安心感と心の余裕を与えてくれるでしょう。
愛犬の毛並みや毛のツヤは健康のバロメーターです。いつまでも元気でツヤツヤしたした姿を保つには、日々の食事やお手入れがカギとなります。
最近は、「総合栄養食のドッグフードだけ与えていれば安心」という常識が少しずつ変わり、人間と同じフレッシュな食べ物を与える重要性が叫ばれ始めているのです。ぜひ、あなたの生活に合った方法で、よりよい栄養補給を実践してみてはいかがでしょうか。
各ブランドの商品一覧をご確認いただけます。