看護師ライター北村由美
看護師として総合病院、地域病院、訪問看護ステーション等で約30年勤務。超低出生体重児から103歳の高齢者まで看護を経験。
自らが家族の介護を行う中「自分の知識、経験が困っている人の役に立てるのではないか」と考えるようになり、ライターを開始。「読者が共感できる記事」をモットーに医療・健康分野の記事、看護師向け記事を執筆している。
紫外線は曇りの日や雨の日にも降り注いでいますが、太陽が出ていないと対策を怠ってしまいがちです。地上に届く紫外線はUV-AとUV-Bであり、中でもUV-Aは雲を突き抜ける性質があるため、曇りの日でも注意が必要です。また、紫外線は散乱や反射するため、想像している以上に紫外線を浴び、知らないうちに日焼けをする場合も。いつまでも健やかな肌を保つためには、天候に関わらず紫外線対策を行いましょう。
曇り日や雨の日でも紫外線対策が必要なのは、紫外線は天候に関わらず地表に届き、中でもUV-Aは雲を突き抜ける性質があるためです。それぞれ詳しくみていきます。
紫外線は、天候に関係なく地表に届きます。下のグラフは天気ごとのUVインデックスの割合を示し、UVインデックスとは、紫外線が人体へ及ぼす影響を示した指標です。快晴時を100%とすると、薄曇りで約80%、曇りの日は約60%となります。雨の日は約30%まで減りますが、いずれにしても紫外線は日常的に降り注いでいるのです。
紫外線には波長の異なるUV-A・UV-B・UV-Cがあり、地上に届くのはUV-AとUV-Bです。UV-Aは雲を突き抜ける性質のため、注意しなければなりません。
一般的に「日焼け」といえば、夏の炎天下での日焼けを想像する人が多いでしょう。炎天下での日焼けはUV-Bが原因とされています。UV-Bの波長はUV-Aより短く、地上に到達する割合は少ないです。また、雲があると地上に降り注ぐ量は減少します。
一方でUV-Aは波長が長く、曇を通り抜ける性質があり、曇りの日や雨の日も浴びてしまいます。さらに窓ガラスを通過する性質もあり、知らないうちに影響を受けてしまうのが恐い点です。
「紫外線は曇りの日の方が強い」と聞くときもありますが、実際の紫外線量は減少しています。量は減っているのに強いといわれる理由は、散乱光や反射光の影響が考えられるのです。1つずつ理由をみていきましょう。
散乱光とは、太陽からの光が窒素や酸素といった粒子に当たり、進行方向が変化して地表に届く光です。晴れた日は太陽からの紫外線がそのまま降り注ぎますが、雲間から日差しがある時は、散乱光も地表に降り注ぎます。あらゆる角度から紫外線がやってきて、思わぬ日焼けをしてしまうのです。
気象庁では、夏の晴天時は直射光より散乱光の割合が大きいとしています。曇りの日や日陰でも、雲の間から青空が見えるときは想像以上に紫外線を浴びるため、注意が必要です。
直射光や散乱光のほか、物に当たって生じる「反射光」の影響も考えられるのです。反射光にも紫外線が含まれており、地上に届く紫外線の反射率は、地表の状態により異なります。
以下は地表の紫外線の反射率です。
雨あがり、急に晴れたときには要注意。水たまりに反射して紫外線を浴びてしまうのです。家の中も窓から入った光が反射するため、油断できません。
UV-AとUV-Bはどちらも日焼けの原因になります。とくに「生活紫外線」ともいわれるUV-Aは日常的に注意が必要です。UV-AとUV-Bが肌に与える影響と、紫外線の多い時期を解説します。
UV-Aは波長が長く、肌の奥深くまで届きます。UV-Bほど急激な肌の変化は起こりませんが、蓄積する性質があり、肌のハリに影響を及ぼす可能性があるのです。また、日差しを浴びた後にメラニン生成を促し、肌を黒くする原因にもなります。
UV-Bは波長が短く、おもに肌の表皮に作用して赤みや腫れを起こします。メラニンを増やし、日焼けによるシミやソバカスの原因にも。夏のレジャーなどで注意が必要な紫外線です。
以下のグラフは2023年に気象庁で観測した、つくばのUVインデックスです。UVインデックスは5段階に分けられ、紫外線のレベルが高いほど人体への影響も大きくなるとされています。
※●は観測値、細実線は1990年~2023年までの累年平均値を表しています。
引用:紫外線のデータ集「日最大UVインデックス(観測値)の年間推移グラフ」/気象庁紫外線は1年中降り注ぎ、4月から急激に増加し5月には夏並みに。9月まで強い状況が続きます。つまり、4月から9月は雲を突き抜ける紫外線量も増えるため、散乱光や反射光の影響も受けやすくなるのです。
紫外線量は地域によって異なります。日本列島では南にいく(緯度が低くなる)と紫外線も強くなるので、西日本にお住まいの方は早くから対策をとりましょう。
曇りの日もしっかり対策をしないと、いつの間にか日焼けをしてシミやソバカスの原因になります。曇りの日の紫外線対策を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
曇りの日も、しっかり日焼け止めを塗るようにしましょう。SPF20~30・PA++程度を目安に選んでみてください。
SPFは、肌が赤くなる日焼けを起こすUV-Bを防ぐ効果の指標です。PAは、長時間浴びると肌のハリに影響を与えるUV-Aを防ぐ効果の指標です。SPFやPAは数値が高いほど効果を期待できますが、曇りの日は紫外線量も少なくなるため、数値が低めの日焼け止めでよいでしょう。
ただし、汗をかいたり、ハンカチで汗を拭ったりすると日焼け止めは落ちてしまいます。2~3時間おきに塗り直すようにしてください。
UVカット効果のあるメイク用品を使用するのもよいでしょう。最近ではファンデーションの代わりになる化粧下地もあり、時間短縮にもつながります。忙しい方は利用してみてはいかがでしょうか。
外出先では、UVカット効果のあるフェイスパウダーを使用するのも1つの方法です。メイク直しで使用すれば、手軽に対策ができます。
外出時は、UVカット効果のある日傘や広めのつばの帽子、サングラスを使用しましょう。天候に対応しやすい晴雨兼用傘もおすすめです。また、紫外線は目からも入ってくるため、UVカット効果のあるサングラスで目を守るようにしましょう。色はできるだけ薄めのサングラスを選ぶようにしてください。濃い色のサングラスは物が見えにくいため、瞳孔(目の中心にある光を通す領域)が開き、より光を取り込もうとするためです。選び方に迷う場合は、メガネの専門店で相談してみるといいでしょう。
紫外線の強い時期は、紫外線情報を確認するようにしましょう。1日の予測を知れば、天候やシーンに合った日焼け止めを塗ったり、対策グッズを準備できたりします。気象庁や日本気象協会での情報を参考に対策をとるようにしてください。
参照:紫外線情報(分布図)/気象庁雨の日の紫外線量は、快晴時と比較すると約30%程度です。ただし、梅雨の時期は紫外線量が多いため、雨の日も対策は欠かせません。雨が止み太陽の光が差し込むと、水面からの照り返しを受け、反射光で日焼けする可能性もあります。晴れる場合も考え、日焼け止めをしっかり塗り、対策グッズを持ち歩くといった準備をしておきましょう。雨の日は湿気が多いので、ベタつかず、水に強いタイプの日焼け止めを選ぶのも1つの方法です。
曇りの日や雨の日は、紫外線を浴びても急な変化はあらわれないため、油断しがちになります。しかし、対策を怠ると日焼けによるシミやソバカスの原因になったり、肌のハリに影響を及ぼしたりする可能性があるため、天候に関わらず紫外線対策を行うのが重要です。
日焼け止めは天候やシーンにあった製品を使用しましょう。曇りの日や雨の日はSPF30・PA++程度の製品でも問題ありません。いつも日焼け止めを持ち歩き、2~3時間ごとに塗り直しを行うのが大切です。うっかり焼けで後悔しないように、毎日対策をとりましょう。
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