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日焼け止めはサンゴ礁に優しいアイテムを!環境に配慮した製品の特徴と選び方、規制される国と地域を紹介

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2024/04/05

サンゴ礁に優しい日焼け止めの人気が高まっています。
ダイビングといったマリンアクティビティを楽しむ際に、有害な紫外線から肌を守ってくれる日焼け止めですが、実は海やサンゴ礁への影響が指摘されているのです。
世界ではサンゴ礁を守るために、日焼け止めの販売や使用を規制している国・地域も増えています。サンゴ礁の白化を防ぐ、優しい日焼け止めの特徴や選び方を知って、海の美しさを守りましょう。

 

世界中で「サンゴ礁に優しい日焼け止め」が注目されている

「海の熱帯雨林」「海のオアシス」と呼ばれるサンゴ礁。
地球上の海洋面積の1%にも満たない小さな場所ですが、全海水魚の4分の1に相当する4000種が住むとされています。しかし今、世界中のサンゴが危機に瀕している事実をご存知でしょうか。
国際自然保護連合(IUCN)などの調査では、世界の3分の1にあたる種類のサンゴが絶滅の危険にさらされています。理由のひとつが、実は観光客やダイバーが使う日焼け止めです。

普通の日焼け止めはなぜ問題なのか

私たちが普段使っている日焼け止めは、なぜサンゴ礁に有害なのでしょうか。
国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)の研究によれば、日焼け止めを塗った状態で海に入ると、日焼け止めに含まれる化学物質が水中に溶け込んでしまいます。
海に流れ込む日焼け止めの量は推定年間約1万4000トン。多くの化学物質が海を汚し、サンゴをはじめとする海の生き物に悪影響を与えるのです。
また、海で泳がない場合でも、シャワーを浴びると日焼け止めが排水管を通って海に流れ出てしまう可能性もあります。

サンゴの白化と成長の阻害

世界中で問題視されているのが「白化現象」。
サンゴに共生している褐虫藻(サンゴと共生する植物プランクトン)が失われ、サンゴの白い骨格が透けて見えてしまいます。白化が続くと、サンゴは共生藻からの光合成生産物を受け取れず、壊滅してしまうのです。
主な原因は温暖化といった海水温の上昇と考えられていますが、日焼け止めによる海洋汚染も指摘されています。「オキシベンゾン」「オクチノキサート」といった化学物質が水中に溶け出し、サンゴに吸収されるためです。
また、日焼け止めに含まれる「ナノ粒子」がサンゴの繁殖や成長のサイクルを乱し、最終的にサンゴを白化させてしまう可能性もあります。

 

サンゴ礁や海に優しい日焼け止めとは

市販されている日焼け止めの中には、環境に配慮して作られた製品があります。
サンゴに優しい製品の選び方を見ていきましょう。

日焼け止めの成分から見る選び方

海の環境を守るためには、日焼け止めに含まれる成分に着目するのが大切です。

【紫外線吸収剤不使用】の日焼け止めを選ぶ

前述したように、「オキシベンゾン」や「オクチノキサート」はサンゴに有害とされています。紫外線吸収剤として、多くの日焼け止めに配合されている成分です。
紫外線吸収剤ではなく、紫外線散乱剤を使用した日焼け止め(「ノンケミカル」)を選ぶようにしましょう。
紫外線散乱剤は、肌表面で受ける紫外線を乱反射させて、紫外線の影響を防ぐ成分。肌への刺激や負担を抑えられるとも言われています。

【ナノ粒子不使用】の日焼け止めを選ぶ

日焼け止めに含まれる粒子の大きさも重要なポイントです。
ナノ粒子は非常に細かく、サンゴに吸収される可能性が高いと言われています。「非ナノ」、「ノンナノ」と表示されている製品を選びましょう。

スーパーウォータープルーフの日焼け止めを選ぶ

マリンアクティビティで使う日焼け止めは、水に強いかどうかも大切。海水に溶け込む量が少なくなるだけでなく、紫外線防止効果も期待できるからです。
スーパーウォータープルーフ(一定の水浴条件において耐水性効果あり」と判定された製品)を選ぶとよいでしょう。

日焼け止めの形状から見る選び方

日焼け止めには、「クリーム」「ミルク」「エアロゾル(スプレー)」「ジェル」「スティック」といった形状があります。
とくに、エアロゾル(スプレー)タイプは砂浜で大量に噴射すると、海に流れ込んでしまう危険があります。
サンゴ礁や海に優しい日焼け止めを選ぶ際には、エアロゾル(スプレー)タイプを避けましょう。

サンゴ礁に優しい使い方

サンゴ礁に優しい日焼け止めを使用するほか、以下の日焼け対策も取りましょう。結果として、日焼け止めを塗る機会が減り、美しいサンゴ礁や海につながります。

  • ・ 紫外線防止機能のある衣類や水着を選ぶ
  • ・ 紫外線の強い時間帯を避けて行動する
  • ・ できる限り日陰に入る

強い紫外線に肌がさらされるリスクを最小限に抑えられるとよいですね。

 

現在日焼け止め成分の規制を行っている世界の地域

2024年現在、日焼け止めの販売・使用を制限している国と地域をまとめました。旅行やダイビングに行く際は、必ずチェックするようにしましょう。

パラオ

世界でもっとも厳しい規制を敷いているのがパラオです。
2020年1月1日より、サンゴ礁に有害な成分を含む日焼け止めの輸入・販売・持込が禁止されています。法律では、禁止された成分を含む日焼け止めの輸入または販売した業者には1000ドル以下の罰金が科され、観光客でも、有害物質を含む日焼け止めを持ち込んだ場合は入国時に没収されます。

指定禁止成分

  • ・オキシベンゾン/紫外線吸収剤
  • ・オクチノキサート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)/紫外線吸収剤
  • ・オクトクリレン/紫外線吸収剤
  • ・エンザカメン/紫外線吸収剤
  • ・トリクロサン
  • ・メチルパラベン
  • ・エチルパラベン
  • ・ブチルパラベン
  • ・ベンジルパラベン
  • ・フェノキシエタノール

参照:在パラオ日本国大使館公式ページ「サンゴ礁に有害な成分を含む日焼け止めの禁止について」

ハワイ

アメリカ海洋大気庁(NOAA)の調査によると、現在ハワイ州内では、ハワイ島で56%、マウイ島で44%、オアフ島で32%ものサンゴ礁の白化が報告されています。
ハワイでは2021年1月1日より、「サンスクリーン法」が施行されました。サンゴ礁に影響を与える成分を含む日焼け止めの販売・流通を禁止する法律です。
使用自体は規制されていませんが、ハワイ全体として環境に優しい日焼け止めを使う動きが強まっています。

指定禁止成分

  • ・オキシベンゾン/紫外線吸収剤
  • ・オクチノキサート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)/紫外線吸収剤

参照:ハワイ州観光局公式ポータルサイトMalama Hawaii「ハワイの海の美しさを守ろう~「リーフセーフ」な日焼け止め~

ボネール島/アルバ島(カリブ海)

ボネール島はオランダの特別自治体で、アルバ島もオランダ領です。どちらもカリブ海に浮かぶ人気のリゾート地。
ボネール島では、ハワイと同じく2021年1月1日より、サンゴ礁に有害な成分が入った日焼け止めの販売・流通が禁止されました。

指定禁止成分

  • ・オキシベンゾン/紫外線吸収剤
  • ・オクチノキサート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)/紫外線吸収剤

アルバ島では以下の禁止成分を含む日焼け止めの販売・輸入・生産が禁止となっています。

指定禁止成分

  • ・オキシベンゾン/紫外線吸収剤

参照:アルバ政府観光局公式ページ

キーウェスト(フロリダ)

キーウェストはフロリダ州の最南端に位置しており、マリンスポーツの盛んな人気リゾート地です。キーウェストでもハワイと同じく、2021年1月1日より、サンゴ礁に有害な成分が入った日焼け止めの販売・流通が禁止されています。

指定禁止成分

  • ・オキシベンゾン/紫外線吸収剤
  • ・オクチノキサート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)/紫外線吸収剤

タイ

ダナンやプーケットといったリゾート地が人気のタイ。タイでは、2021年8月4日から指定の化学物質を使用した日焼け止めの、持込・使用が禁止になりました。

指定禁止成分

  • ・オキシベンゾン/紫外線吸収剤
  • ・オクチノキサート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)/紫外線吸収剤
  • ・4-メチルベンジリデンカンファー(エンザカメン)/紫外線吸収剤
  • ・ブチルパラベン/防腐剤

タイ国内にある国立公園では指定禁止成分が入った日焼け止めの持込・使用が禁止されており、違反した場合は罰金10万バーツ以下が科せられます。

参照:タイ国政府観光庁「【タイの国立公園】サンゴ礁に有害な成分を含む日焼け止めの持込・使用を禁止」

メキシコ

メキシコには、カンクンビーチやプラヤ・デル・カルメンといった、有名なリゾート地がたくさんあります。日焼け止めに関する法規制はないものの、環境に有害な製品を使わないよう求めるリゾート地が増えているのが現状です。

 
サンゴ礁の危機は日本でも起きている

世界では多くのサンゴ礁が危機的状況にあります。
日本では現在のところ、日焼け止めの販売・使用に制限はありません。しかし、日本のサンゴ礁が無事だとは決して言えない状況です。
WWFジャパンによれば、2022年には石垣島にある国内最大のサンゴ礁・石西礁湖で、過去最大に迫るサンゴ全体の92.8%で白化現象が発生。17.7%のサンゴが死んでいると確認されました。日本でもサンゴ礁の問題は今後、さらに深刻化すると懸念されています。
世界と日本のサンゴ礁のために、サンゴ礁に優しい日焼け止めを選びませんか。

参照:WWFジャパン「日本のサンゴ礁生態系とその保全」

  • 中村藍

    教育・福祉・取材ライター中村藍

    小学校・特別支援学校での20年の教師経験を活かし、教育や発達支援、福祉分野で活動するライター。
    現在も公立学校非常勤講師として教育に携わる。日本音楽療法学会認定音楽療法士の資格をもち、社会福祉法人にて非常勤の音楽療法士としても勤務。
    「わかる・できる・ラクになる」をモットーに、子どもたちや保護者に寄り添い、学校生活や家庭でのお悩みごとを解決に導く記事を心がけている。

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