管理栄養士ライター高村恵美
12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。
梅雨時になると、頭痛や吐き気といった「気象病(天気痛とも)」の症状で悩まされる方は多いのではないでしょうか?そして今、気象病対策の救世主として「コーヒー」が注目されています。その理由を紐解いていきましょう。
また、辛い症状から解放されるために摂りたい栄養素や食べ物・飲み物は、じつは他にもたくさんあります。管理栄養士の目線で生活に取り入れやすい食品をピックアップしてご紹介するので、ぜひあなたの食生活に取り入れてみてくださいね。
気象病とは、気圧の変化や気温差といった天気の影響を受けて起こる体調不良です。
天気が変化しやすい梅雨時は、症状に苦しむ人が多くなります。
気圧低下により天気が崩れると、耳の奥にある内耳が気圧の変化を察知します。すると、自律神経が乱れたり、脳の炎症物質の放出により脳血管が拡張して、身体にあらゆる不調をおよぼすのです。
頭痛・肩こり・首こり・関節痛・腰痛・倦怠感・めまい・眠気・吐き気 など
気象病の対策方法の一つが食事によるケアです。気象病の症状のなかで最も多いのが「頭痛」であり、頭痛を和らげる飲み物としてコーヒーに注目が集まっています。
コーヒーに含まれるカフェインには「血管を収縮させる」働きがあり、頭痛の一因である「血管拡張」を抑制するため、頭痛の緩和効果が期待できるのです。
ただし、医薬品などとは違って食べ物ですべての症状がよくなるわけではなく、あくまでケアをサポートしてくれると考えましょう。
カフェイン以外にもおすすめの栄養素や食品があるので、3つの症状に分けて解説していきます。
「天気が悪くなると頭痛症状も悪化する」という方におすすめしたい栄養素や食品をご紹介します。
カフェインは、低気圧により起こる片頭痛の軽減に役立つと期待されています。前述のとおりカフェインは「血管を収縮させる」働きがあり、片頭痛の原因と考えられる「脳の血管拡張」を抑制するため、症状を和らげる可能性があるのです。
コーヒー・玉露・煎茶・ほうじ茶・ウーロン茶・抹茶・ハイカカオチョコレート など
マグネシウムは、片頭痛の頻度や症状を軽減する働きがあります。片頭痛の明確な原因は解明されていませんが、細胞内にあるミトコンドリアの機能異常や中枢神経の興奮性の変化が関係しているのは確かです。
マグネシウムは、ミトコンドリアの代謝をサポートしたり、過度な神経細胞の興奮を鎮めたりする働きがあります。
しかし、マグネシウムは体内で作り出せないため、食品からの摂取が必要です。片頭痛でお悩みの方は、不足のないように摂りましょう。
青のり・ごま・青汁(ケール)・ピュアココア など
日本人は鉄分不足の傾向があり、とくに女性は月経による出血で鉄分が失われるため、不足がちです。鉄分不足は頭痛を招きやすいため、意識的に補給しましょう。
青のり・しじみ・レバー(鶏・豚・牛)・抹茶・ピュアココア など
気圧の変化により、だるさや疲労感が強く現れる方に積極的に取り入れてほしい栄養素や食品をご紹介します。
タンパク質は、臓器や筋肉をつくる主要な栄養素であり、身体の機能を調節する酵素やホルモン・神経伝達物質の原料としても欠かせません。継続的にタンパク質が不足すると、だるさや疲労感が顕著に現れるので、不足しないように摂りましょう。
さきいか・イワシの丸干し・シラス干し・鶏肉(ささみ・ムネ肉)・抹茶 など
GABAは、疲労感の回復に必要な「睡眠」の質を高めたり、身体を休息モードにする働きがあります。だるさや疲労感でお悩みの方は、積極的に摂りましょう。
トマト・じゃがいも など
ビタミンB1は、食事から摂取した糖質をエネルギーに変換するのをサポートするため、疲労の回復に役立ちます。ビタミンB1は体内に蓄えておけないため、三度の食事や間食で補給してあげましょう。
大根のみそ漬け・豚肉(ヒレ肉・モモ肉)・ごま・抹茶 など
ビタミンCは、ストレスを和らげるホルモンを合成する働きがあります。ストレスが溜まると「だるさ」につながるので、積極的にビタミンCを補給しましょう。
また、ビタミンCは鉄分の吸収をサポートするため、鉄分の多い食品と組み合わせるのがおすすめです。
アセロラ・赤ピーマン・芽キャベツ・ブロッコリー・レモン など
気象病の一因である自律神経の乱れは、「だるさ」や「疲れやすさ」を含めて多くの不調をもたらします。最後に、自律神経を整えるために効果的な栄養素や食品を確認しておきましょう。
自律神経を整えるには、腸内環境にやさしい食事を心がけましょう。腸内環境を整えるためには、善玉菌を増やす必要があります。善玉菌を増やす働きのあるビフィズス菌や乳酸菌を含む発酵食品を摂るのが効果的です。
ヨーグルト・乳酸菌飲料・納豆・キムチ・ぬか漬け など
食物繊維やオリゴ糖は、消化・吸収されずに大腸まで到達して、善玉菌のエサになり善玉菌を増やす働きがあります。腸内環境を整えるために、積極的に摂りましょう。
ひじき(乾燥)・おから・焼きのり・切り干し大根(乾燥)・らっきょう(生)・干し芋 など
玉ねぎ・大豆・ねぎ・ごぼう・アスパラガス・にんにく・バナナ など
内臓の冷えは、自律神経の乱れにつながります。なるべく冷たい食べ物や飲み物は避けて、温かい食品を摂りましょう。また、身体を温める作用のある食品を摂取するのもおすすめです。
気象病のセルフケアで大切なポイントは、規則正しい生活を送ることです。生活のリズムが乱れてくると、自律神経のバランスが崩れやすくなり、気圧の変化の影響を受けやすくなります。
摂取する食品の種類だけでなく、食事の摂り方にも気を付けましょう。
朝食を欠食する方が多いですが、「朝食をしっかりと食べる」と身体が一日のスタートだと気づき、一日のリズムが整います。
また、「よく噛んで食べる」のも大切です。物理的なそしゃく効果と唾液による消化により、摂取した栄養素が消化・吸収しやすくなります。
さらに、寝る直前の食事は睡眠を妨げて疲れやすくする原因になるため、なるべく「寝る2時間前までに夕食を済ませる」もしくは「夕食は軽めに済ませる」ようにしましょう。
日本の四季は美しいですが、気象病の辛い症状のせいで「毎年梅雨時は憂うつになる…」そんな方もいるかと思います。
気象病の対策としてコーヒーを飲むのもよい方法ですが、日本の気候の変化には、日本の伝統食品で身体を順応させてあげるのもおすすめです。
ご紹介したおすすめ食品は、ひじき・焼きのり・おから・大根のみそ漬け・抹茶といったように日本の伝統食材が目立ちます。ぜひ、和風ごはんでおいしく梅雨時を乗り越えましょう。
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