監修医師成田 亜希子
2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。
国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。
現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。
気象病(天気痛)による頭痛などの症状、がまんしていませんか? 対策をとり、適切な過ごし方を見つけると、ぐっと楽になるかもしれません。
気象病の原因やなりやすい人の特徴を解説しました。気象の変化に負けないセルフケアや記録のコツ、病院受診時に心がけたいポイントについてもお伝えします。
気象病との上手なつき合い方を知り、生き生きとした毎日をめざしましょう。
天気が崩れる前に頭痛やだるさ、めまいを感じた経験はありませんか?
もしかしたら、「気象病(天気痛)」かもしれません。
気象病かも?と思ったら、セルフチェックをしてみましょう。温度、湿度、気圧などの変化に伴って以下の症状が繰り返し起きるなら、気象病の可能性があるかもしれません。
「気象病(天気病)」の名称のとおり、原因としては気象要素が考えられます。
中でも大きな要因とされているのが気圧の変化。
血管が拡張し、神経が圧迫されて頭痛が起きたり、気圧の低下を内耳が検知して自律神経バランスが乱れたりするのが原因です。
一般に、男性よりも女性に多く見られます。普段から環境の変化に敏感な人は気候の影響も受けやすく、症状が出やすいようです。
また、乗り物酔いをしがちな人は気象病にもなりやすいと言われています。
気象の変化が体調に影響する「気象病(天気病)」。
実は、気象病の症状には個人差が大きく、誰にでも確実な効果がある対処法はありません。
しかしあなたに合った対処法を見つければ、今よりつらさが楽になる可能性は十分にあります。
気候はコントロールできませんが、自分なりの法則性を見つければ対処がしやすくなるのです。
最もおすすめなのは「気象病日記」。
手帳やスマートフォンへのメモなど、簡単な記録でかまいません。
継続すると、気象と体調の変化との関係が見えてきますよ。
気象病を記録する際には、以下のことがらを書いてみましょう。
もちろん、完璧に記録できなくても大丈夫。書ける範囲でメモしてみましょう。
記録を続けているうちに、
「気圧が変化するタイミングで頭痛が起きやすい」
「ストレスがたまっていると、より症状を感じるようだ」
と、症状が出る場合の法則性が見えてくるはずです。
また効果的なセルフケアも人によってさまざま。「このケアは効いた」と思ったら、ぜひ記録しておきましょう。
積み重ねると、あなたに合った対処法が見えてくるはずです。
記録をする際には、気圧や気温といった気象の変化が重要です。
TVやインターネットで天気を調べるのは大変ですが、天気予報と気圧変化がこまめに確認できる専用のアプリなら簡単に気圧や気温、気候が分かります。
また、症状や対処法をメモする機能があるサービスは記録に役立ちます。
「気象病 アプリ」などのキーワードで検索し、自分に合ったサービスを探してみましょう。
気象病の症状をできるだけ抑え、上手につきあっていくためには、セルフケアが重要です。
ポイントはいたってシンプル。「健康にいい暮らし」を心がけましょう。
まず優先すべきは、生活習慣の見直しです。
続けるうちに、自律神経バランスが整いやすくなります。
私たちの体は食べたものでできており、食事を改善すると、気象病の症状も感じづらくなると言われています。
食事を抜いたり、一気に食べすぎたりしないようにしましょう。
脂質のとりすぎは避けましょう。東洋医学の考え方では、油っこい食べ物によって体に余分な水分がたまりやすくなると言われています。むくみの原因になります。
多くの栄養素をとると、体の調子が整います。中でも瓜類などカリウムを多く含む食品は、余分な水分を排出してむくみの改善や予防に役立ちます。
すきま時間に手軽にできる、マッサージやツボ押し。気分転換やストレス解消にも役立ちます。
お気に入りのマッサージ方法やツボをいくつか覚えておくと役立ちますよ。
気象病に大きな影響があるとされる「耳」。やさしくマッサージすると耳の血流が良くなり、自律神経バランスが整って症状が軽くなるかもしれません。
ツボを軽くマッサージしたり、温めたりすると、気象病の症状を緩和できる可能性があります。
風池(ふうち) …首の後ろの髪の生え際あたりにあるツボです。じっくり指圧すると、気圧の変化に伴う頭痛やめまいなどの症状が和らぐとされています。
三陰交(さんいんこう) …内側のくるぶしから指4本分上にあるツボです。血液のめぐりを良くし、気象病による倦怠感や身体のだるさに効果があるとされています。
足三里(あしさんり)… ひざの端から指4本分下、すねの骨の外側にあるツボです。胃腸症状を改善するとされています。
ツボをじっくりと押すだけでも心地よく、疲れが取れる可能性も。リフレッシュし、気持ちが軽くなる効果もあるので、試してみましょう。
気象病が一般に知られてから、関連のグッズが多く売られるようになってきました。
気軽に試せる商品もあります。気になったら売り場で実物を見てみましょう。
気圧調整用の耳栓が市販されているのをご存知でしょうか。
天候によるゆっくりとした気圧の変化に対応するように作られており、耳に入れていると痛みが和らぐ人もいます。
セルフケアだけでは対処しきれないときには、病院の受診をおすすめします。
中には別の病気が隠れている場合も。心配ごとがあるときには、自己判断は避け、医師の診断を受けるようにしましょう。
受診の際は「気象病外来」や「天気痛外来」を選ぶのがおすすめです。しかし、気象病に特化した診療科はまだまだ少ないのが現実。
お近くに専門の病院がない場合は、インターネットで気象病や天気痛について発信している医師を探したり、漢方医に相談したりしましょう。
症状に合わせて、解熱鎮痛薬や抗めまい薬、漢方薬などを処方してくれます。
症状の記録を持参し、「どんなときにどれくらいつらいのか」具体的に伝えるとよいですね。
「天気の変化で体調が悪くなるなんて、私だけかもしれない……」
と思っている方も多いでしょう。実は、気象病は決して珍しくありません。
同僚や友達と話題にしてみると、症状の出方やタイミングの話で思わぬ盛り上がりを見せる場合も。対処法をシェアし合うのも有益です。
何より「つらい症状は自分だけじゃないんだ」と、気持ちが楽になりますよ。
家族に対しても、台風の前や季節の変わり目など苦手な時期があれば積極的に伝えましょう。つらいときにはお互い様です。つらい時にはがまんせずに助け合える関係性を作りたいですね。
気温、湿度、気圧、日照時間等の変化はさまざまな体調不良を引き起こす場合があります。このような気象の変化による体調不良を気象病や天気病と呼びますが、症状の現れ方は個人差が大きく、中には日常生活に支障を来すほど重症な方もいるのが現状です。
気象病の明確な発症メカニズムは解明されていませんが、自律神経バランスの乱れが要因の一つとされています。自律神経バランスは気象の変化だけではなく、ストレス、寝不足など生活習慣の乱れによって崩れやすくなります。
気象病の症状が現れやすい方は、まず生活習慣を見直して日頃から自律神経バランスを整えるよう心がけてください。
つらい症状があるときは、市販薬で対処することも可能です。一方でセルフケアや市販薬で改善しない場合は他の病気が原因になっている可能性もあるでしょう。
無理をせず、医療機関を受診して医師への相談をおすすめします。
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