教育・福祉・取材ライター中村藍
小学校・特別支援学校での20年の教師経験を活かし、教育や発達支援、福祉分野で活動するライター。
現在も公立学校非常勤講師として教育に携わる。日本音楽療法学会認定音楽療法士の資格をもち、社会福祉法人にて非常勤の音楽療法士としても勤務。
「わかる・できる・ラクになる」をモットーに、子どもたちや保護者に寄り添い、学校生活や家庭でのお悩みごとを解決に導く記事を心がけている。
天気痛(気象病)をご存知でしょうか。天気や気圧の変化によって頭痛に悩まされる人は多く、「天気が悪くなると途端に頭が痛くなるので、天気予報から目が離せない」との声も聞かれます。コーヒーや食べ物、運動といった生活習慣との関連も気になるところですね。
なぜ、天気のせいで頭痛が起きるのでしょうか。頭痛と天気の関係をひもときながら、天気痛の対処法や薬の選び方・効果的なツボ・アプリを紹介します。
天候の変化によって起こるつらい症状を、天気痛または気象病と言います。
「低気圧のときに頭痛が起こりやすい」「台風の前に調子が悪くなる」など、心当たりがある方も多いのではないでしょうか。
とくに多くの人が悩まされているのが頭痛です。「ズキズキとこめかみが脈打つように痛む」「頭全体が重くなる」「首や肩の痛みと連動する」と、症状の出方は人によってさまざま。めまいや気分の落ち込み、だるさを伴うケースもあります。
天気のせいで頭痛が起きてしまうのはなぜなのでしょうか。
天気痛が起こる理由には大きく2つが考えられます。
要因の一つ目は、気圧・気温・湿度といった外的な環境の変化です。
多くの人が影響を受けるのが気圧。急激な低下や上昇によって頭痛が引き起こされるケースは多く、血管やリンパ管が拡張し、痛みの原因になると言われています。
また、気温の変化が頭痛を誘発する場合も。とくに気温が下がり寒さを感じると、首や肩の筋肉が緊張し、頭痛を引き起こしやすくなります。湿度が上がる梅雨時期に、頭痛を感じやすくなる人もいるため、注意が必要です。
要因の二つ目は、自律神経の乱れです。自律神経は体調を正常に保つために、呼吸・血液の循環・消化・体温などをコントロールし、気象が変化すると自律神経は適応しようとします。しかし過敏な反応が起こったり、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなったりすると、天気痛につながってしまうのです。
天気痛は一年を通して起こりますが、とくに症状が出やすい季節やタイミングを知っておくと対処しやすくなります。また、性別や年齢によっても注意が必要です。
一般に、天気痛が起こりやすいのは「季節の変わり目」と言われています。
とくに冬から春にかけての時期は寒暖差や気圧変動が大きいため、苦手な人が多いようです。梅雨の時期や台風の多い季節も、湿気や低気圧の影響で頭痛を感じやすくなります。
痛むタイミングには個人差が大きいため、自分のケースの把握が大事です。天気だけでなく、疲れや睡眠不足、ストレスも大きく影響します。
気圧が上がるときに調子を崩す人、台風が来る直前に頭痛が始まる人や12時間も前から痛み始める人もいるため、頭痛が起きたら以下の項目を記録しておきましょう。
記録を続けていると、自分の症状の法則が見えてきて、気をつけるべきタイミングが分かってきます。有効な対策につながりますので、ぜひ取り組んでみてください。
男性と比べると、女性は天候の変化に対する感受性が高い人が多く、気圧・気温・湿度の変化で頭痛を感じやすいと言われています。
その理由は女性特有のメカニズムによるもの。女性ホルモンと天候、両方の影響を受けるため、自律神経が乱れやすくなってしまうのです。
実は、子どもも天気痛に悩まされています。雨や曇りの日、台風の前後に子どもの機嫌が悪くなったり、学校や幼稚園に行くのを渋ったりしませんか?もしかすると、気候が原因かもしれません。
もちろん、頭痛には他の要因も考えられますし、起立性調節障害といった他の診断名がつく場合もあります。頭痛が続いている場合は、小児科を受診しましょう。
天気による頭痛は困りものですが、あらかじめ対策が可能です。
自分に合った方法が一つでも見つかれば、気持ちも楽になるでしょう。
まずは、日常生活の中で気軽にできるセルフケアを試してみましょう。
頭痛だけでなく、疲労や肩こりが和らぐ場合もあります。
天気による頭痛には、内耳が関係している説があります。
耳まわりを温めマッサージをし、頭・首・肩まわりをゆるめ、血流をよくしましょう。
耳や耳たぶをやさしく引っ張ったり、回したりするのも気持ちがよいです。
耳の後ろにあるツボ「完骨(かんこつ)」を温めると、耳まわりの血行がよくなり、頭痛が和らぎます。
他にも、手首の内側にあるしわの真ん中から、ひじ方向に指3本分下がったところにある「内関(ないかん)」や、両耳の先を結んだ線と正中線が交わる頭のてっぺんの「百会(ひゃくえ)」も有名です。リラックスしながら、気持ちよいくらいの強さで押してみましょう。
頭痛の予防にはマグネシウムやビタミンB2が有効だと言われています。
マグネシウムはごまなどの種子類、きなこなどの大豆製品、アオサなどの海藻に多く含まれており、ビタミンB2は肉や魚に豊富です。
また、気圧の低下で膨張した血管を収縮させる効果があるため、コーヒーや緑茶といったカフェインを含む飲み物が天気痛に効くとも言われています。カフェインが苦手でなければ、試してみましょう。
天気の変化を予測できるサイトやアプリを賢く使えば、頭痛が起こりやすいタイミングをつかみやすくなります。
たとえば、気象状況の変化から、頭痛や関節痛が出やすいタイミングを予想・公表しているサイトを活用しましょう。気圧の変化による体調管理に特化したアプリなら、警戒度が一目で分かり、手軽に確認できます。
サイトやアプリによって、天気痛に関する記事やコラムを読めたり、天気痛の危険をプッシュ通知してくれたり、症状や対策のメモが残せたりするため、自分にあった活用ができるでしょう。
頭痛薬の服用に抵抗があるからと、痛くても薬を飲まずにがまんしていませんか。
自分に合った薬で、つらさが和らぐ場合があります。
痛みがひどく、日常生活に支障が出る場合には、市販されている解熱鎮痛剤や頭痛薬を使うのも一つの手です。頭痛のタイプや程度によって合う薬は異なりますので、薬剤師に相談してみましょう。
以下の特徴をもつ薬がおすすめです。
また、急な症状でつらいときには、いつでも服用できるタイプの薬が心強いですね。
天気痛の効果が期待できる漢方薬もあります。医師や薬剤師に相談し、体質や症状に合わせて選んでみてください。
頭痛を防ぐために大事なのは、健康的な生活です。
とくに気をつけたいのは以下の3点です。
心の緊張は体に影響し、頭痛が起こりやすくなります。また、疲れていると気候の変化に過敏になりがちです。普段から、心と体のケアを継続しましょう。
天気による頭痛を感じる人は、上手につきあう必要があります。
しかし、自己診断は危険です。耐えられないほどの痛みや、セルフケアをしても効果が見られないときは、他の要因による頭痛の可能性もあります。がまんせず、かかりつけの医師に相談しましょう。
頭痛はQOL(※)に大きく影響するため、上手にコントロールしていけるとよいですね。
※Quality of life(クオリティ オブ ライフ)は「人生の質」「生活の質」「生命の質」などと訳され、私たちが生きる上での満足度をあらわす指標のひとつです。
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