看護師ライター北村由美
看護師として総合病院、地域病院、訪問看護ステーション等で約30年勤務。超低出生体重児から103歳の高齢者まで看護を経験。
自らが家族の介護を行う中「自分の知識、経験が困っている人の役に立てるのではないか」と考えるようになり、ライターを開始。「読者が共感できる記事」をモットーに医療・健康分野の記事、看護師向け記事を執筆している。
頭痛薬(解熱鎮痛薬)を服用するタイミングは「痛み始めたとき」。早めに服用すると、痛みの原因物質であるプロスタグランジンの生成を抑えられるためです。我慢せず、早めに使用するようにしましょう。ただし、用法・用量や使用上の注意を守らない場合、副作用や薬物乱用頭痛を引き起こす可能性があります。頭痛薬は正しく使用し、痛みをコントロールするのが重要です。薬だけに頼らず、生活習慣の見直しも合わせて行うようにしてくださいね。
頭痛薬は痛みを感じ始めたときに服用するのが大事です。空腹時は避け、適切なタイミングに服用すれば、痛みを早めに軽減できます。ポイントをくわしくみていきましょう。
頭痛薬は、痛みを感じたら早めに服用するのが大切です。痛みが軽いうちに服用すると、原因物質であるプロスタグランジンの生成を抑えられます。薬には頼りたくないからといって、本格的に痛くなるまで時間をおくと、プロスタグランジンがさらに生成され、頭痛薬が効きにくくなります。
また、痛みを我慢するとストレスになったり、仕事や家事に影響をもたらしたりする可能性も。プロスタグランジンの生成が進んでないうちに、早めに服用しましょう。
市販の頭痛薬の添付文書には、なるべく空腹時は避けるように記載されています。胃にやさしい薬もありますが、胃への負担を極力抑えるために、空腹時は避けて服用しましょう。胃に食べ物や飲み物があると、負担を軽くできます。とはいえ、普段から頭痛に悩まされている方は、時間を問わず痛みがやってきます。空腹時に痛くなってきたら、おにぎりやビスケットなど何か軽く食べてから薬を服用するようにしてください。
頭痛薬は、痛みや熱に効く成分を配合し、頭痛に効果をあらわします。症状があらわれたとき、なるべく空腹時を避けて、コップ1杯の水または温湯で服用しましょう。服用間隔は4時間以上おいてください。すぐに効かないからといって、間隔をおかずに服用しないように。
頭痛薬について「服用しても大丈夫なのだろうか」と疑問を持つときがあるかもしれません。頭痛薬のよくある質問についてお答えします。
妊娠中や授乳中の方は、注意が必要な薬もあります。自己判断はせずに、必ず医師・歯科医師・薬剤師に相談しましょう。とくに、出産予定日12週以内の妊婦は避けた方がよい製品があるので、注意してください。
長期連用は避けてください。5~6回使用しても痛みがよくならない場合は、服用を中止し、医療機関を受診するようにしましょう。添付文書の注意事項を守るのが大切です。
風邪薬との併用はしないでください。風邪薬には熱や痛みに効く成分が配合されている場合もあり、成分の過剰摂取につながる恐れがあります。ほかの頭痛薬との併用もしないようにしましょう。
薬は頭痛薬に限らず、コップ1杯程度の水か温湯で服用するのが基本です。頭痛薬をお酒と一緒に服用すると、薬の作用が強く出たり、意識がなくなったり、体調不良を起こす恐れがあります。頭痛薬の使用前後はお酒を飲まないようにしてください。
頭痛薬を使用する際、妊娠中や授乳中以外でも相談が必要な方がいます。また、状況によっては頭痛薬で対処するのではなく、すみやかに受診すべき場合もあります。1つずつみていきましょう。
以下の方は服用する前に医師・歯科医師・薬剤師に相談してください。
過去に病気の診断を受けたり、治療したりした方も、注意が必要な場合があります。該当する方は、必ず確認するようにしましょう。
頭痛には市販薬で対処できる頭痛と、医療機関を受診すべき頭痛があります。以下の場合はすみやかに受診してください。
明らかに普段と違う頭痛には注意しましょう。
頭痛薬を決められた量より多く服用すると、副作用や薬物乱用頭痛が起こる可能性があるため、十分注意しなければなりません
頭痛薬を常用したり、用法・用量を守らずに過剰に服用したりすると、副作用を起こす可能性があります。使用頻度が増えている方は、医療機関を受診しましょう。
頭痛薬を服用しているのに、毎日のように頭痛に悩まされているのなら、薬物乱用頭痛の可能性があります。頭痛薬は正しく服用すれば効果を発揮しますが、用法用量や使用上の注意を守らずに使用すると、逆効果になるのです。頭痛が起こる回数が増えたり、痛みが強くなったりする可能性があるので、注意しなければなりません。
以下に該当する方は、薬物乱用頭痛の可能性があります。
放置しておくと、さらに悪循環におちいる可能性があるため、医療機関の受診をおすすめします。頭痛外来や脳神経内科、脳神経外科など頭痛治療専門の診療科のある病院やクリニックを選ぶといいでしょう。
頭痛対策にはアルコールを控え、ストレスをためないといった生活習慣の改善を合わせて行うのが効果的です。6つのポイントを解説します。
アルコールは血管を拡張させる作用があるため、痛みの原因となる場合があります。頭痛持ちの方は控えるようにしましょう。
ストレスは、頭痛の原因になると考えられています。趣味や楽しみの時間を設け、適度にストレスを発散できるようにしましょう。スポーツは体のためにも、ストレス解消にも効果的です。
睡眠時間は、長すぎても短すぎても頭痛の原因となります。適切な睡眠時間は個人差があるので、自分にとってちょうどいい時間を知るのが大切です。規則正しい時間に就寝・起床し、生活リズムを整えるようにしましょう。
食事は朝昼晩と、3食きちんと食べるようにしましょう。空腹による血糖値の低下が頭痛の原因となる場合もあるため、食事は抜かず規則正しく食べるのが大切です。食べ物ではチョコレート・チーズ・ハム・サラミが頭痛の原因になるとされています。ただし、食べると必ず頭痛が起こるのでなければ、量に注意して食べてもいいでしょう。
頭痛の原因には、体の緊張やコリもあげられます。長時間同じ姿勢でいると、筋肉が固まったり、血流も悪くなったりして、頭痛を引き起こす場合も。ストレッチや軽い運動を行い、筋肉の緊張を取り除くのが大切です。
頭痛を観察するために「頭痛ダイアリー」をつけるのもおすすめです。どんなときに、どの程度の頭痛が起こるのかわかり、医療機関を受診する場合に役立てられます。
参照:頭痛ダイアリー/一般社団法人 日本頭痛学会慢性的な頭痛がある方は「いつものことだから」「薬を服用すれば大丈夫」と思っている方がいるかもしれません。頭痛薬は、自分の頭痛の状態を観察しながら、正しく使用するのが重要です。服用しても効果があらわれにくい、痛みが強くなるなどの場合は、医療機関を早めに受診するようにしてください。
また、生活習慣の見直しで頭痛が改善される場合もあります。薬に頼るだけでなく、生活習慣の改善も合わせて行いましょう。
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