管理栄養士ライター高村恵美
12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。
「辛い頭痛を和らげる食べ物はないの?」と疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。じつは、頭痛対策に役立つ栄養素を含む食品は、身近にたくさんあります。反対に摂り過ぎに注意が必要な食品もあるので、チェックしてみましょう。また、頭痛を改善するには、食事だけでなく生活習慣の改善、薬や治療が必要な方もいます。管理栄養士の視点からセルフケアのポイントやコンビニで買えるおすすめ商品も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
慢性的な頭痛で最も多いのが「緊張型頭痛」です。頭・首・背中周辺の筋肉の張りやコリにより神経が刺激されて頭の痛みを起こすと考えられています。原因の大半は生活習慣が関係しているので、以下の見直しにより改善が期待できます。
姿勢が猫背で、さらにあごが上に向くクセのある人は、背筋を伸ばしてあごを引くように意識しましょう。スマートフォンの使い過ぎも要注意です。イスに座る際は、足を組まないようにしましょう。
朝起きて肩こりを感じる場合は、枕の見直しが大切です。頭が沈み過ぎたり、高くなり過ぎると、一晩中悪い姿勢をとってしまい、頭痛の原因になります。自分に合った枕選びをして、頭痛を予防しましょう。
デスクワークの方は、筋肉が緊張してしまうので、1時間に1回は5分以上休憩をしましょう。歩いたり、立ち上がって背伸びをしたりして、筋肉をほぐすのがポイントです。
肩や首の冷えは、血流を悪化させてコリの原因になります。首にスカーフを巻く・ハイネックの衣服を着るといった工夫をしましょう。
じっとしていると頭痛を感じやすいので、適度な運動をして筋肉をほぐしましょう。水泳は、体重の負荷を減らしながら肩周りを動かせるので、運動習慣におすすめです。
温かい湯船に浸かって血流を促しましょう。入浴中に両手を首の後ろで組んで温めると、首周辺の筋肉がほぐれます。
頭痛の予防には、生活習慣以外に食事面も重要です。以下の成分が含まれる食べ物・飲み物には注意しましょう。
MAO阻害薬を服用している人は、チラミンを含む食べ物・飲み物を控えましょう。チラミンは、ノルアドレナリンを放出させる働きがあります。ノルアドレナリンは、交感神経を刺激して血圧を上げたり、身体を活動モードにするホルモンです。
通常、食品中に含まれるチラミンは、肝臓や腸管壁にある消化酵素(MAO)により速やかに分解されるため、身体への影響は起こりません。
しかし、特定の医薬品(イソニアジドなど)は、消化酵素(MAO)を阻害する働きがあるため、チラミンを含む食品を摂取していると、体内にチラミンが蓄積して頭痛や血圧上昇を招くリスクがあります。
万が一、MAO阻害作用のある薬を服用している場合は、以下の食品の摂取に関して、かかりつけ医に相談しましょう。
アルコールを飲み過ぎて、頭が痛くなった経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。アルコールによる頭痛は、波を打つようにガンガンと痛むのが特徴です。アルコールを摂取すると、体内でアセトアルデヒドに分解されます。アセトアルデヒドは、血管を拡張させて神経を圧迫するため、炎症が生じ頭痛を起こすのです。
また、拡張した血管から水分が漏出して脳にむくみが発生し、神経が圧迫されて頭痛を生じる場合もあります。
さらにアルコールをたくさん飲み過ぎると、アセトアルデヒドが蓄積され、痛みを増す物質が発生するため、頭痛がひどくなるのです。
つぎは、頭痛対策のために積極的に摂りたい栄養素と、食べ物・飲み物を確認しましょう。
頭痛対策には、「マグネシウム」を意識して摂りましょう。頭痛を引き起こす原因の一つに血管の拡張があります。頭痛を和らげるために重要な働きをするのが、セロトニンというホルモンです。
セロトニンは、血管の拡張を抑制したり、拡張した血管を収縮させて、痛み(炎症)を抑える働きがあります。セロトニンの合成には、マグネシウムが必要です。また、マグネシウムは、神経細胞の死につながる過度な興奮を抑える働きもあるため、不安感の軽減にも役立ちます。
ビタミンB2は、片頭痛の予防に効果的です。片頭痛を起こしやすい人は、細胞内にあるミトコンドリアの働きが悪い傾向がみられます。ビタミンB2は、ミトコンドリアの働きをサポートし、片頭痛を防ぐのです。
米国頭痛学会および米国神経学会のガイドラインにより、「コエンザイムQ10」の頭痛改善効果が示唆されています。
コエンザイムQ10は重篤な副作用の報告がない栄養素ですが、ワーファリン(血液抗凝固剤)を含む医薬品を服用している場合は、ワーファリンの薬効を弱める可能性があるため、注意が必要です。
頭痛対策におすすめの、コンビニで手軽に買える食品を5つご紹介します。
コエンザイムQ10が豊富な青魚は、缶詰で摂取するのが手軽です。イワシの水煮缶やサバの味噌煮缶は、長期保存が可能で、調理せずにそのまま食べられます。総菜コーナーの青魚の焼きものもおすすめです。
おにぎりを選ぶ際は、マグネシウムやビタミンB2が豊富な焼きのりを使用した商品を選びましょう。おすすめの具材は、塩昆布・おかか・わかめご飯です。
おやつには、アーモンドが入ったミックスナッツを選びましょう。マグネシウムやビタミンB2・コエンザイムQ10が補給できるので、頭痛対策に心強い食品です。
ココアは、おいしくマグネシウム補給ができます。ココア粉末で手作りする場合は、甘みがついた「ミルクココア」よりも、マグネシウム含有量が3倍以上多い「純ココア」がおすすめです。
最近は、ストレートの青汁だけでなく、フルーツや豆乳で飲みやすいタイプの青汁も、コンビニで手に入ります。ビタミンB2補給に役立つでしょう。
生活習慣や食事を見直し、市販薬を使用しても頭痛が改善しないときには、医療機関に受診しましょう。
頭痛は身近な不調なだけに、「頭痛程度なら…」と我慢してしまいがちです。しかし、病気で頭痛を引き起こしている場合は、適切な治療が欠かせません。治療により劇的に症状が良くなるケースはたくさんあるので、辛い頭痛は早めに受診しましょう。
頭痛で受診をする目安は、以下のとおりです。
頭痛が辛いと勉強や仕事のパフォーマンスが下がったり、気分が落ちてしまったりと、生活の質に大きく悪影響を与えます。
いち早く不調のない毎日を取り戻すためにも、食事の工夫や生活習慣の見直しをしてみましょう。市販薬で痛みを和らげるのも手です。
しかし、「いつもと違う」と感じたり、なかなか改善せずに不安を抱いている場合は、早めに医療機関に受診して、適切な治療を受けましょう。
原因がわかれば、自分が何をすべきなのかが明確になり、不安も解消していきます。快適な明日のために正しく行動していきましょう。
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