美容×健康ライター中村里歩
元美容師で「超」がつく美容・健康マニア。試した美容法・健康法は数知れず…。経験を活かし、美意識の高い女性や、健康に悩む男性に寄り添う記事を執筆するべく活動中。
モットーは「明るく前向きに」「日進月歩」。AIに負けない、読者への愛がたくさん詰まった記事を執筆するため日々勉強中。
髪が抜けるのは、ヘアサイクルの一つ「退行期」が訪れるからです。髪は1日100本抜けるとされており、季節の変わり目には200本以上の抜け毛が発生するともいわれています。抜け落ちた髪を見て不安になるかもしれませんが、過度に心配する必要はありません。
ただし、特定の原因がある場合には要注意。抜け落ちた毛が細かったり短かったり、いつもと状態が違うと感じたら、髪と頭皮の様子を確認してみましょう。
通常、髪は毛周期(ヘアサイクル)によって抜け落ちます。
<毛周期(ヘアサイクル)>
このように、抜けるべくして抜ける毛を「自然脱毛」といいます。一般的には、1日約100本の髪が自然脱毛で抜け落ちるのです。
「抜け毛が多くて心配」と思う方もいるかもしれませんが、意外と抜け毛は多いもの。気にしすぎる必要はないかもしれません。
抜け毛は、季節によって量が増えたり減ったりします。とくに「季節の変わり目」の春と秋の始まりには、抜け毛の量が一時的に増加する傾向に。多いときは、通常時の2~3倍抜け毛が増えるといわれているほど。つまり、いつもなら100本程度の抜け毛が、200~300本に増える可能性があるのです。
春に抜け毛が増える大きな理由は、生活環境の変化です。就職・転勤・進学といった、これまで慣れ親しんだ環境から離れ、新しい生活が始まります。頑張ろうとしすぎたり、環境にうまくなじめなかったりして、自律神経が乱れがちに。
自律神経が乱れると、血流がうまく流れず、頭皮に十分な栄養を届けられなくなります。すると、髪を成長させる養分が足りずにヘアサイクルが乱れ、抜け毛が増えてしまうのです。
また、冬に蓄積された頭皮へのダメージも、抜け毛となって春先にあらわれてきます。寒さや乾燥によって低下した頭皮のバリア機能が、春の急激に強まる紫外線にうまく対応できないためです。春特有の花粉や気温の乱高下も、抜け毛を増やす理由の一つでしょう。
秋の抜け毛には、夏に蓄積された体の疲労や紫外線のダメージが大きく影響しています。たとえば、猛暑によって食生活や生活習慣が乱れていると、免疫力が低下して皮膚トラブルを起こしやすくなります。強い紫外線のダメージや汗による蒸れで、頭皮のコンディションが悪くなっている可能性も高いでしょう。そのままの状態で秋の気温低下や乾燥にさらされていると考えると、頭皮に大きな負荷がかかってしまうのはイメージしやすいですよね。
さらに、気温低下による血管の収縮が追い打ちをかけます。頭皮に十分な栄養が運ばれないために髪が育たず、生えてくる髪よりも抜け毛が増えてしまうのです。
季節の変わり目に抜け毛が増えるのは、ごく自然な現象です。ただし、短く細い毛が急に増え始めたり、局所的な抜け毛が目立ってきたりしたら要注意。もしかしたら、なんらかの原因で抜け毛が引き起こされる「異常脱毛」かもしれません。
不安なときは、抜け落ちた毛の状態を確認してみましょう。ヘアサイクルによって自然に抜け落ちた毛は、根元に白い毛球がついています。一方、毛根全体が黒かったり、毛根が細く短かったりするときは、抜け毛の原因を探る必要があるかもしれません。
バランスの偏った食事や睡眠不足、喫煙といった生活習慣の乱れが、抜け毛を増やす場合があります。たとえば、無理なダイエットをしていると、髪を育てる栄養が不足して、髪がやせ細ったり抜け落ちたり。逆に、脂質の多い食事をとりすぎている方は、脱毛症を引き起こすリスクが高いといわれています。
生活習慣の乱れは、髪だけでなく全身に悪影響を及ぼします。肌が荒れている、便秘がち、なんとなく体がだるいなど、不調を感じていませんか?体からのSOSサインを見逃さないようにしましょう。
ストレスは、自律神経を不安定な状態にします。自律神経の乱れによる血行不良は、抜け毛を引き起こすだけでなく、ホルモンバランスの乱れにより皮脂が過剰に分泌されるため、頭皮トラブルを生じるリスクも高まります。
また、ストレスを過剰に浴び続けると起きる「円形脱毛症」や、休止期が急激に増える「休止期脱毛症」といった脱毛症にも、注意が必要です。
毎日の習慣が、頭皮や髪に負担をかけている可能性もあります。たとえば、シャンプーは以下のように行っていませんか?
つい髪を濡れたまま放置してしまう方は少なくないでしょう。しかし、髪や頭皮が濡れていると、気化熱でどんどん頭皮が乾燥します。
頭皮が乾燥すると、皮脂を過剰に分泌しようと働いたり、ターンオーバーが乱れてフケがでてきたりして、頭皮環境が悪くなるため注意が必要です。
いざというときのために、抜け毛と病気の関係性を覚えておきましょう。たとえば、抜け毛を引き起こす脱毛症には、以下の種類があります。
<脱毛症の例>
脱毛症の疑いがあるときは、皮膚科や薄毛治療専門のクリニックで相談してみてください。髪の状態を見て、育毛剤や内服薬などを処方してくれます。
また、「膠原病」や「バセドウ病」といった病気の症状の一つとして、脱毛が起きている可能性も。薬の副作用や貧血といった理由も考えられるため、常用薬がある方や不安な方は、かかりつけの内科医に相談してみるとよいでしょう。
最近では、新型コロナウイルス感染症の後遺症と抜け毛が関係しているのではないかともいわれています。ただ、関係性は明らかになっていないようです。
抜け毛が気になるときに、できる対策を紹介します。いずれも難しいものではありませんが、無理をするとかえって負担に感じてしまいます。抜け毛を意識するのではなく、「キレイな髪のために」と前向きに考えて取り組んでみてください。
ヘアケアが間違っていないか、今までのやり方を確認しましょう。たとえば、シャンプーは最初にしっかり予洗いをしてから、地肌に指の腹をつけて泡立てるのがポイントです。シャンプーはもちろん、トリートメントもしっかりすすぎましょう。
ドライヤーは必須ですが、乾かすときは地肌に長時間熱風を当てすぎないように注意してください。できるだけタオルドライで水気を切り、ドライヤーの時間はできるだけ短縮します。
洗い流さないトリートメントは、頭皮に付着しないよう注意しましょう。油分が多いため、頭皮につくと皮脂バランスが崩れて頭皮トラブルにつながります。
ヘアケア方法と一緒に見直したいのが、使用しているシャンプーの種類です。洗浄力が強いと必要な皮脂まで奪ってしまい、頭皮の乾燥を招く可能性があります。
抜け毛が気になる方や、頭皮の状態が不安定なときは、洗浄力がマイルドなアミノ酸系・ベタイン系の洗浄成分を配合したシャンプーが適しています。
アミノ酸系のなかでも、とくに頭皮にやさしいのが「グルタミン酸系」。保湿力が高いため、乾燥肌の方におすすめです。一方、脂性肌の方や整髪剤を使う方は、ほどよい洗浄力のある「グリシン系」「サルコシン系」の洗浄成分が向いています。
髪を結ぶ機会が多い方は、髪を下ろしたり、髪の分け目を変えたりして、負担を減らすように意識してみてください。髪の絡まりやもつれが気になる方は、ヘアオイルで髪をコーティングしてあげるのも大切です。
また、いつも使用しているヘアアイテムに、香料や着色料・アルコール剤などの添加物が入っていないかも確認してみましょう。なるべく刺激になり得る成分は、避けた方が無難です。
髪を育む栄養分が頭部に十分に届くよう、頭皮マッサージで血行を促進しましょう。両手の平で側頭部を挟んだり、指の腹を使って頭頂部のツボを押したりして、気持ちよいと感じるくらいの圧をかけてみてください。
頭皮マッサージをするときは、頭皮用のエッセンスを使用するのもよいでしょう。保湿成分が配合されているローションであれば、頭皮にうるおいを与えられて一石二鳥です。
「髪によい食事をとりましょう」と聞くと、なんだか難しく思えますが、ポイントはバランスのよい食事です。脂質や糖分を絶ったり、毎食ワカメを食べたりするのではなく、一日のバランスを見て過剰摂取や不足を調整しましょう。
どうしてもバランスが偏ってしまいそうなときは、「タンパク質」「ミネラル」を意識して摂取してみてください。タンパク質が含まれる食品には、鶏肉や豚肉・卵・乳製品などがあり、ミネラルが含まれる食品には、カルシウムを含む乳製品・魚介類・豆類・海藻類、亜鉛を含むカキやカツオなどがあります。できれば、野菜や果物のビタミンもあわせて摂取できるとよいですね。
髪を育てる「成長ホルモン」は、睡眠中に分泌されるといわれています。抜け毛の進行を防ぎ、髪をすくすく育てるためにも、良質な睡眠をとれるよう意識しましょう。
睡眠時間は6時間以上を確保したいところですが、どうしても睡眠時間が短くなってしまうときは、睡眠の質を高められるように工夫してみてください。
室温や湿度を調整する・肌触りのよい寝具をそろえる・寝る前の食事や入浴は避ける・スマホやパソコンは寝る90分以上前に絶つなど、できる内容から取り組んでみましょう。
抜け毛対策の方法はいろいろありますが、大切なのは気にしすぎないことです。抜け毛を気にしすぎると、ストレスを感じてさらに抜け毛を悪化させてしまうかもしれません。
髪が抜けるのはごく自然な現象ですし、誰しも髪が抜けやすい時期があります。できる対策から始めて、気長に髪と付き合っていきましょう。
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