一級建築士・ライフスタイルライター神谷三理砂
住宅やインテリアの意匠設計に従事した経験を活かし、家の間取りやデザイン、インテリアなど住まいに関するコラムを多数手掛ける。ジュエリーデザイナーとしての経歴も長く、ファッション系コラムも執筆。最近は、より生活に役立つ記事を書きたいという思いから健康コラムに力を注ぐ日々。
刺繍や洋裁、家庭菜園といった手仕事を楽しむ暮らしを大切にしている。
ストレス社会で日々奮闘する現代人。多くの人が、「疲れやすい」「寝ても疲れがとれない」「やる気が出ない」「集中できない」といった症状で悩んでいます。もしかしたら、自分でも気づかない原因で、疲れが蓄積しているのかもしれません。
たまった疲れとサヨナラするためには、まずは疲労の原因を知り、生活習慣・環境を改善するところから始めましょう。今日から、ぜひ試してみてください。
「慢性的に疲れやすい」「だるくてやる気が出ない」「休んでも疲れがとれない」といった、つらい症状。疲れが引き起こされる原因は、おもに4つ考えられます。
すぐに体の疲れを感じる場合は、胃腸の疲れが原因かもしれません。食べ過ぎや飲み過ぎ、睡眠不足・ストレス・極端なダイエットなど、心当たりはありませんか?
胃腸の働きが弱まると、胃もたれ・下痢・便秘・肌トラブル・口臭といった症状を引き起こします。また、食べ物の消化・吸収がうまく行えなくなり、体がエネルギー不足となって、全身のだるさや倦怠感を生じてしまうのです。
外出不足や運動不足といった日々の活動量が少なく、不規則な生活を送っている場合、さまざまな不足点から疲れやすくなります。
家にいる時間が長く、日光を浴びる時間が少ない生活を送っていませんか?
日光不足はセロトニンやセロトニンの生成をサポートするビタミンDの不足を招き、疲れやすい状態に。
とくにセロトニンは、日光を浴びると分泌され、ストレスの軽減・脳の活性化・精神の安定に働きます。不足すると、疲労や慢性的なストレス・意欲低下・うつといった症状を引き起こしてしまうのです。
また、日光が不足すると、体内時計がずれて睡眠の質の低下や不眠・うつ病を生じやすくなります。体内時計のずれは、朝日を浴びて調整しましょう。
人とコミュニケーションをとる機会が少ないと、孤独感や疎外感に襲われて、心身に大きな影響を与えてしまう場合があります。
疲れているときは、人と関わるのがおっくうに感じてしまいがちです。しかし、そんなときこそ、家族や友人といった親しい人と話をして、気分転換をしましょう。
人と時間を共有して楽しく過ごすと、ポジティブで前向きな気持ちを促す脳内物質「ドーパミン」や、幸福感や社交性を高める「オキシトシン」が分泌されるため、元気を取り戻しやすくなります。
運動不足により血流が悪化すると、体に疲労物質が蓄積されやすくなります。とくにデスクワークの方は、長時間同じ姿勢をとり続けてしまうため、筋肉が緊張して血流が悪くなりやすく、慢性的な疲労を感じやすくなるでしょう。
十分な睡眠がとれていないと、疲れが解消されず、逆に疲労がたまってしまうため、体力や気力にも影響を与えてしまいます。「なんとなくやる気が出ない」「すぐに決断できない」といった状態に陥っているときは、日頃の生活を振り返り、しっかりと睡眠をとるようにしましょう。
栄養バランスの乱れは、疲れやすい体にしてしまいます。
おもに、下記の4つの栄養素が不足しないよう、毎日の食事を見直しましょう。
体内でブドウ糖に分解され、血液により全身の細胞へ運ばれてエネルギーになる栄養素です。糖質が不足すると、十分にエネルギーをつくれないため、疲労を感じやすくなります。
筋肉や細胞をつくるために必要な栄養素です。タンパク質が不足すると、体力や筋力が低下します。また、脳内の神経伝達物質であるドーパミンを生成できなくなってしまうため、意欲や集中力の低下につながります。
全身に酸素を運ぶ働きをする栄養素です。鉄分が不足すると、貧血・貧血による疲労・倦怠感・息切れを引き起こします。とくに女性は不足しやすい栄養素なので、意識的に摂取しましょう。
糖質・脂質・タンパク質といった栄養素を、エネルギーに変えるときに必要となる栄養素です。ビタミンB群が不足すると、疲労・倦怠感・食欲不振を引き起こします。中でも、ビタミンB1・B2・B6は、疲労回復に重要な栄養素です。熱に弱く調理で減少しやすいため、こまめに摂取するよう心がけましょう。
疲れやすさの原因の多くは、普段の生活習慣や環境にあります。
今日からスタートできる改善方法をご紹介しますので、ぜひ試してみてください。
疲れやすいと感じたら、まずは睡眠を見直しましょう。睡眠には、身体や脳を休める働きがあります。睡眠時間の目安は一般的に6~8時間程度ですが、個人差があるため、一概に何時間とればいいとは言い切れません。自分にとっての最適な睡眠時間は、日中に快適に活動ができているか、体の調子を確認しながら見つけましょう。
また、睡眠は時間の長さだけでなく「質」が大切です。枕の高さや照明・湿度など、自分に合うように調整してみてください。寝室にアロマオイルをとり入れるのも、香りによってリラックス感が高まるのでおすすめです。
胃腸に疲れが見られるときは、まずはしっかり休ませましょう。お粥・うどん・ささみ・白身魚といった、消化によい食べ物がおすすめです。揚げ物、脂肪分を多く含む肉・乳製品・スナック菓子は控えめにし、胃腸の負担を減らすようにしましょう。
お風呂に入って身体をあたためると、血行がよくなり、体内の老廃物や疲労物質が取り除かれます。お湯の浮力で全身の筋肉が緊張から開放されてリラックスできるのも、疲れの改善に効果的な理由です。ただし、熱いお湯や長時間の入浴は逆効果。40℃以下のぬるめのお湯に、10~15分ほどつかりましょう。
運動不足が原因で疲れている方は、できるだけ体を動かすように心がけましょう。とはいえ、運動習慣がない人は、急に激しい運動をすると大きな負担となります。いつもより少し長めに歩く、エレベーターやエスカレーターをやめて階段を使うといった、負荷の少ない方法からスタートしてみてください。運動に慣れてきたら、ウォーキング・ジョギング・サイクリング・水泳といった軽めの有酸素運動を1日30分程度を目安に行い、様子を見ながら少しずつ運動量を増やしていきましょう。
40代になると、男女ともにホルモンの分泌量が低下するため、多くの人に更年期障害の症状があらわれます。慢性的な疲労(更年期疲労)や、女性の場合はイライラ・不安感・不眠・うつ・無気力感といった症状がみられるでしょう。 女性の脳の構造は、男性よりもストレスを感じやすくなっています。脳にストレスが加わると自律神経の乱れを生じ、さらには女性ホルモンの分泌の乱れを引き起こすため、疲労を感じてしまうのです。 また、更年期になると、分泌される女性ホルモンの量が減少していき、脳が疲れを感じやすい状態になります。ストレスがたまらないように、休めるときは体のケアをしてあげましょう。
疲れやすい、疲労感がなかなかとれないといった状態は、病気などが隠れている可能性があります。日常に支障が出るほど強い疲労を感じたら、注意が必要です。症状が6か月以上続く「慢性疲労症候群」、慢性的に血糖値が高くなる「糖尿病」が、代表的な病気とされています。
また、不規則な生活習慣やストレスによって引き起こされる「自律神経失調症」は、疲れているときにあらわれやすい症状の総称です。
1週間ほど疲れがとれず、不安に感じたときは内科を受診し、1か月経ってもとれないときには心療内科を受診しましょう。
疲れは体からのSOSです。疲れやすい原因がわかったら、生活習慣や環境を見直し、疲労回復に大事な栄養素をしっかりとりましょう。ただし、ビタミンB群は水溶性ビタミンのため、大量に摂取しても尿として排出されてしまいます。必要に応じてビタミン剤や栄養ドリンクで補給してくださいね。
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