監修医師成田 亜希子
2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。
国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。
現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。
「たまった疲れをなんとかしたい…」と思っていませんか?忙しい毎日の中で、食事や運動に気をつかうのは案外難しいもの。睡眠時間を十分に取れていない方も多いでしょう。そんなときに活用したいのが、必要な栄養素を手軽に摂取できるサプリメントです。
サプリメントを上手に活用して疲れを取るために、摂りたい栄養素や成分、サプリメントの選び方の基本、選ぶ際の注意点について紹介します。
疲れがたまる主な原因として、睡眠不足やストレスが挙げられますが、栄養不足も疲れを感じさせやすくする原因の一つです。食生活が不規則になりがちな方には必要な栄養素をピンポイントで補えるサプリメントがおすすめです。サプリは種類が豊富にあるので、どの栄養素が含まれているサプリを選べばよいのかを理解しておきましょう。
3大栄養素の「糖質(炭水化物)・脂質・タンパク質」や「ビタミンB群」の不足は疲労の大きな原因の一つです。エネルギーの源となる糖質・脂質・タンパク質が十分に得られていないと、バテやすくなり、疲れや倦怠感を引き起こします。
とくにタンパク質を構成しているアミノ酸は筋肉の主成分なので、積極的に摂りたいところ。
また、ビタミンB群の中でもビタミンB1は、脳や神経系の主要なエネルギー源となる糖質からエネルギーを生成するため、疲労対策に必須です。その他、ビタミンB2、B6、B12なども疲労回復に必要なビタミンとされています。とはいえ、必要な栄養素をすべて食事から摂るのはハードルが高いと感じる方は多いでしょう。そこで活用したいのがサプリメントです。足りない栄養素は、手軽に摂取できるサプリでしっかり補いましょう。
疲労の原因や、年齢・性別・体の状態によって、サプリの選び方は変わります。自分にあったサプリを見つけるために、選び方の基本を確認しておきましょう。
一口に疲れを取るサプリと言っても、疲れの原因によって必要な成分は異なります。自分の疲れの原因を把握し、自分の体のニーズに合っているか成分をよく確認してから、適切なサプリを選びましょう。
体に必要な栄養素の摂取量は、年齢や性別によって異なります。サプリの対象年齢を確認し、病気や妊娠などで体が変化したときには、一度サプリを見直しましょう。
サプリメントは栄養補給のための食品なので、疲れを取るには継続して摂取する必要があります。そのため、長く続けやすいサプリを選びましょう。たとえば、粉末のサプリは、水に溶かすのが面倒に感じる人もいるでしょう。出先や移動中にサッと飲みたい場合は、タブレットやカプセルタイプが適しています。
どこで、どのタイミングで自分がサプリを飲むのかを考え、気長に続けられるタイプを選びましょう。
サプリメントは、日常生活で不足しがちな栄養素を手軽に補える「食品」で、「医薬品」や「医薬部外品」ではありません。また、食品には「機能性表示食品」や「健康食品」といった種類があります。
適切なサプリメントを選ぶために、それぞれの特徴や違いについて知っておきましょう。
医薬品とは、病気の治療・予防を目的とした、有効成分の効果を厚生労働省が承認している薬剤のことです。医師の処方箋が必要な「処方箋医薬品」と、処方箋がなくても薬局やドラッグストアで購入できる市販薬の「一般用医薬品」などがあります。
予防や衛生を目的とした製品で、医師の処方箋は必要ありません。厚生労働省が認めた効果・効能に有効な成分が配合されています。
国の定める一定のルールに基づき、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた安全性や機能性を販売日の60日前までに消費者庁に届け出た食品です。医薬品や医薬部外品と異なり、厚生労働省の承認は必要ありません。商品パッケージに届出情報が記載され、誰でも確認できるように消費者庁のウェブサイトでも公開されています。
法律上の定義はなく、医薬品・医薬部外品を除いた健康の維持や増進に役立つとして販売される食品全般です。病気や体の不調を治すためではなく、あくまでも食品なので、効能や効果は謳えません。
サプリメントを選ぶ際は、含まれている成分をよく確認しましょう。疲れの症状に合わせた、とくに注目したい成分をご紹介します。
なかなか抜けない全身の疲れやだるさには、滋養強壮によいとされる生薬が含まれたサプリメントを活用しましょう。中でも、次の5種類の生薬がおすすめです。
にんにくから抽出した成分。血流を促進する作用があり、元気が欲しいときに優れた滋養強壮効果を発揮するとされています。
エゾウコギの根から抽出した成分。体の活力を高める優れた滋養強壮効果や抗ストレス作用があり、疲労回復を促するとされています。
キバナオウギの根から抽出した成分。元気をつける生薬として知られ、末梢の血管を拡張し、新陳代謝を高め、優れた滋養強壮効果をあらわすとされています。
トチュウの樹皮は、強壮・鎮痛作用があり、古くから使用されている生薬です。葉には血圧を安定化する作用が報告されており、健康茶として飲まれています。
血液の滋養や抗酸化作用があり、疲労に効果をあらわすとされる生薬です。その他、鎮痛作用や抗炎症作用などもあるとされています。シャクヤクはとくに、女性向けの強壮薬として使用されます。
寝ても疲れを感じる、眠りが浅い、寝覚めが悪いといった状態のときは、睡眠の質を改善するサプリメントを摂りましょう。ノンカフェイン・リラックス・抗ストレス作用のあるサプリがおすすめです。血流を促進する「オキソアミヂン」・抗ストレス作用がある「エゾウコギ」に加えて、リラックス効果のある「チョウジ」が配合されているとよいでしょう。
また、ノンカフェインタイプなら寝る前に服用でき、寝ている間に疲れた体に働きかけてくれます。
チョウジの木のつぼみを粉末にした成分。スパイシーな香りがするスパイスのクローブとして知られている生薬です。体をあたため、すっきり目覚められるように導いてくれるとされています。
現代人の多くが抱えている目の疲れには、眼精疲労の症状を緩和するサプリメントを選びましょう。以下の成分に注目しましょう。
ビタミンB群のひとつで、末梢血管を拡張し、血流量を増やして血流を促進します。
筋肉・神経の働きを正常に保ち、疲れの解消に効果を発揮します。
体内でのエネルギー生成を促進させて、目のピントを調節する筋肉(毛様体筋)の収縮力を高めます。
目の神経の働きをスムーズにします。
血管を拡張し、末梢血流を促進させます。
疲れがたまりすぎると、疲れているはずなのに疲労を感じなくなる場合があります。疲れは、体の変調や異常を知らせるサインです。
休息や睡眠をとってもなかなか疲れが取れないと感じたら、サプリメントの力を借りるとき。できるだけ早く回復するよう、状態に合わせたサプリを選んで、体の内側からサポートしましょう。
日頃から疲れを感じやすい方は、第一に生活習慣を見直してみましょう。
食生活が乱れがちな方は、必要な栄養素の不足が疲れの原因になっている可能性も少なくありません。忙しい生活の中で栄養が不足する場合はサプリメントを活用しましょう。
今回ご紹介した成分を参考に、ご自身の体や食生活の状態に合わせたサプリメントを選んで下さい。サプリメントは長く続ける必要があるため、成分とともに入手しやすさ、飲みやすさ、価格などの考えて購入しましょう。
ただし、疲れは心身の病気が原因になっていることも。生活の見直しやサプリメントの活用などをしても疲れがとれないときは医療機関への受診をおすすめします。また、定期的な健康診断を受けてご自身の体の状態を把握するのも大切ですね。
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