パーソナルトレーナー・Webライター藤本千晶
一般の人から日本代表のアスリートまで幅広い人を対象にトレーニング・ダイエット指導を実施。
20年の経験とスポーツ科学修士を活かし、科学的根拠をもとに信頼性が高く、フィットネスに関する記事執筆を行っている。目標は一人でも多くの人が今よりも健康になることで、「面白い」記事執筆をすることを目標としている。保有資格はCSCS。
自律神経が乱れている人はいつも心が落ち着かず、体も緊張し、筋肉はガチガチに固まっているかもしれません。心も体もリラックスさせるためにはストレッチがおすすめです。副交感神経の活動を優位にして体をゆるめてくれます。
ストレッチの効果を最大限に出すためには、いくつか注意したい大切なポイントがあります。動画を見てポイントを理解しながら適切にストレッチを行い、自律神経を整えていきましょう。
自律神経とは、自分の意志とは関係なく、体の状態を環境やストレスなどに合わせて調整する神経です。
まずは自律神経について、乱れるとどんな影響が出るのかを詳しく解説します。
人は環境やストレスに合わせ、心拍数や呼吸数を、自らの意志とは関係なく変化させます。意志とは無関係に、「自律」して体の状態を調整する神経が自律神経です。
たとえば、ジョギングをすると筋細胞はより多く酸素が必要になり、心拍数や呼吸数を増加させます。逆に睡眠前には睡眠に適した状態にするため体温を低下させ、心拍数や呼吸数を減少させるのです。
自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類が存在します。交感神経は、体を活発に動かすときに働く神経で、体は興奮して心拍数や呼吸数の増加などを起こすのです。いっぽう副交感神経は、体を休息させるときに働く神経で、交感神経とは逆に心拍数や呼吸数の減少を起こします。
自律神経が乱れると、生命活動を行うための調整が適切に行えず、体にさまざまな変調が出ると考えられています。本来、自律神経は心臓や呼吸などの生命活動を身体状態や環境などに合わせて適切に調節します。
しかし、自律神経が乱れると体や環境の変化に適切に調整できません。
たとえば、何もしていないときでも心拍数や呼吸数が増加したり、食事に問題がないのに便秘・下痢につながったりと、体の働きを正常に保てなくなるのです。
体をさまざまな環境に適応させるには、自律神経を適切に働かせる必要があります。
ストレッチは交感神経が過剰に働き、副交感神経の活動が弱くなっている人におすすめです。筋肉を伸ばしてゆるめると、副交感神経の活動を優位にできます。
ストレッチを行い副交感神経の活動を優位にすれば、睡眠の質が改善するなど日常生活をリラックスして過ごしやすくなります。
自律神経の中でも副交感神経の働きが悪い人には、ストレッチが効果的です。ストレッチは筋肉を伸ばして柔軟性を高めるための運動方法。筋肉を伸ばすと、さらに筋肉が伸びるように副交感神経が働きます。その結果、筋肉がゆるみ、体のリラックスにつながるでしょう。
ですから、普段から緊張状態になりやすいと感じている人は、ストレッチを行うことで副交感神経の活動を活性化させ、体をリラックスさせると、自律神経が整いやすくなるのです。
ストレッチを行うと睡眠の質が改善し、自律神経の乱れを整える効果につながると考えられています。自律神経が乱れる原因は、心身へのさまざまなストレスが大きな原因と考えられています。ですから、自律神経を整えるためにストレスマネジメントが大切なのです。
ストレスから体を回復させるために、効果的なのが睡眠です。良質な睡眠を十分にとれば、ストレスから体が回復しやすくなり、自律神経が整いやすくなります。
ストレッチを行うと、副交感神経が活性化します。副交感神経が活性化すると、体はリラックスしやすくなり、寝付きがよく深い睡眠につながって、睡眠の質が改善していくのです。
副交感神経の活動を優位にし、自律神経の働きを整えるのに効果的なストレッチですが、具体的には何から始めたらいいのでしょうか?体をリラックスさせて自律神経を整えるおすすめのストレッチを、動画解説付きで5つ紹介します。
1回の動画運動量の目安(※体重60kgの人の場合)
活動強度:4METs / 運動時間:3分 / 消費カロリー:12.6kcal
首・肩のこわばりは、緊張状態で不快感を覚えやすい状態です。呼吸が浅くなり首・肩周りの呼吸補助筋が過活性すると、筋肉の硬まり・コリにつながります。
まずは、簡単にできる首の筋肉をほぐすストレッチを紹介します。ぜひ、朝の日光を浴びながら行ってください。
口をすぼめて強く・長く息を吐き、鼻から軽く息を吸う呼吸を意識しましょう。
とくに吐く方を意識しましょう。強く・長く息を吐くと筋肉がゆるみやすくなり、ストレッチ効果がでやすくなります。
1回の動画運動量の目安(※体重60kgの人の場合)
活動強度:2.3METs / 運動時間:3分 / 消費カロリー:7.2kcal
日常生活を送っていく中で硬くなりやすいのが、肩周りの筋肉です。押したり手を上げたりしたときに使われる筋肉ですが、日常生活では肩を大きく動かす機会は少なく、だんだん硬くなりやすい部位です。一日の終わりの夜に、寝る前に行える、肩周りのストレッチを紹介します。
視線を腕に合わせて動かしていくよう意識しましょう。また、胸を開いたときに、膝も一緒に開かないよう手で押さえておきましょう。
1回の動画運動量の目安(※体重60kgの人の場合)
活動強度:2.3METs / 運動時間:3分 / 消費カロリー:7.2kcal
※太もも・お尻・もも裏のストレッチは、同じ動画で解説してます。
太ももの筋肉は、立ったり歩いたりしているとき常に使われている筋肉で、硬くなりやすい部分です。太ももの筋肉は骨盤につながっており、硬くなると骨盤の位置をずらしてしまうため、姿勢悪化につながります。
さらに姿勢悪化によって背骨の負担が増加してしまうのです。やがて腰痛・肩こりにつながりますから、日々のストレッチを行い対処しましょう。
やや腰を丸める意識で行いましょう。腰を反りすぎてしまうと、太ももの筋肉に十分なストレッチをかけられません。
1回の動画運動量の目安(※体重60kgの人の場合)
活動強度:2.3METs / 運動時間:3分 / 消費カロリー:7.2kcal
※太もも・お尻・もも裏のストレッチは、同じ動画で解説してます。
お尻の奥の方にある深層外旋六筋のストレッチを行います。
深層外旋六筋の名前の通り、お尻の奥深くにある六つの筋肉で、太ももの骨を外側に回す働きがあります。
深層外旋六筋が硬くなると、骨盤のズレや股関節の動きが悪くなり、腰痛につながります。日常生活ではあまり大きく動かさない筋肉で、硬くなりやすい部分です。しっかりストレッチを行いましょう。
胸を張りながら行いましょう。腰が丸まると骨盤の位置がうまく決まらず、お尻の筋肉をしっかり伸ばせません。
1回の動画運動量の目安(※体重60kgの人の場合)
活動強度:2.3METs / 運動時間:3分 / 消費カロリー:7.2kcal
※太もも・お尻・もも裏のストレッチは、同じ動画で解説してます。
ももの裏にある筋肉である、ハムストリングスのストレッチを行います。ハムストリングスは骨盤の下部からすねの骨にかけて縦に走っている筋肉で、膝を曲げたり、骨盤を後ろに倒したりする筋肉です。
ハムストリングスが硬くなると骨盤は前に倒れなくなります。そのため、前屈ができなくなったり、姿勢が崩れて腰痛などの原因につながります。
椅子に乗せている足側の膝角度を固定して行いましょう。体を前に倒していく過程で膝が曲がって行ってしまうと、ももの裏の筋肉を十分に伸ばせません。 完全に膝を伸ばす必要はありませんが、伸ばせない場合は無理をしない程度に軽く曲げて角度を固定したまま行いましょう。
自律神経を効果的に整えるために、ストレッチをしながら意識したいのは呼吸と伸ばす強さです。また、入浴の時間にも注意しましょう。
少しの注意で、副交感神経の活動を助けてくれるよう作用するので、どちらも意識して行ってください。
ストレッチ中に意識して欲しいのは呼吸です。呼吸は自律神経の働きに影響を与えます。とくに息を吐くと、横隔膜を弛緩させるため副交感神経が活性化します。逆に、息を長く多く吸うと交感神経を活性化し体を目覚めさせます。
そこで、ストレッチは息をしっかりと吐きながら行いましょう。無理のない範囲で、肺とお腹の中の空気をできるだけ出すつもりで吐き、鼻からほんの少しだけ吸う意識で行います。
ストレッチを行う際は、痛みを感じるほど伸ばさず、気持ちのよいストレッチ感が得られる程度の範囲で行うとよいでしょう。ストレッチは強く伸ばすほど効果が高いわけではありません。やや伸びている程度で十分に効果があり、副交感神経の活動は活性化します。
逆に、強く伸ばしすぎると、けがにつながる可能性が高まるため、無理のない範囲で行うようにしましょう。
自律神経を整えるために、お風呂から上がる時間を意識しましょう。
お風呂から上がる時間は睡眠の質に影響を与えます。人は寝るときには睡眠に適した体内環境にするために、体温を自然に下げます。お風呂に入ると一時的に体温が上昇するため、一見すると睡眠には悪影響のように感じます。
しかし、お風呂から上がると、体が睡眠に適した体温まで下げようとします。ですから、普通よりも体温の落差が大きくなります。その際により大きな眠気が発生し、質の高い睡眠につながるのです。
いっぽう、就寝予定時刻の直前にお風呂から上がると、体温が十分に下がらず交感神経が優位なままなため、睡眠の質を低下させてしまう可能性があります。
ですから、お風呂上がりから就寝まで十分に時間をとるのが大切です。目安としては90分前までには上がりましょう。
自律神経が整っていない人は、普段から緊張状態にあり、全身の筋肉が硬まっているのではないでしょうか?とくにリラックスできず、体がガチガチになっている人には、ストレッチを行うことで、副交感神経の活動を優位にし、筋肉をゆるめてリラックスにつながります。
ちょっとしたスキマ時間に行うだけでストレッチの効果は出てきます。ですから無理なく、できそうなタイミングでストレッチを行い、副交感神経を活性化させて、体をリラックスさせ自律神経を整えましょう。
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