管理栄養士ライター高村恵美
12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。
夏に食欲がなくなる原因は「胃腸の機能低下」です。痩せるチャンス!と思う方がいるかもしれませんが、栄養不足で痩せると疲れやすくなり、メンタル面にも悪影響を及ぼします。
暑さに負けずに過ごすためは、良質なタンパク質・ビタミンB1・ビタミンC・MMSCといった栄養素を摂りましょう。胃や消化に負担がかからない食べ方や食べ物を選ぶのも大切です。簡単なレシピも2つ紹介しますので参考にしてみてください。
夏に食欲がない理由は、厳しい暑さによる「胃腸の機能低下」が原因です。
暑くなると、冷たい麺類やゼリー・アイスクリームといった口当たりのよい食事ばかりを食べてしまう傾向になります。すると、2つの理由から食欲低下を招いてしまうのです。
暑いからと、冷たい食べ物や飲み物ばかりを摂取していると、胃腸も冷えてしまいます。胃腸は37度前後の温度で活発に働くため、冷えると機能が低下してしまうのです。
食事が炭水化物に偏ると、炭水化物の代謝に必要なビタミンB1が大量に消費されます。ビタミンB1が不足すると、エネルギーをうまく作り出せなくなるため、食べる気力も失われてしまうのです。
「夏は痩せたい」と思う方も多いかもしれませんが、食欲不振によるダイエットは、やつれた印象になるためおすすめできません。ビタミンB1の不足は、気力・活力・集中力を低下させ、情緒不安定にもつながるとされています。健康美を保つためにも、しっかりとビタミンB1を補給しましょう。
胃腸の機能が低下しがちな夏場は、身体を動かすために必要な栄養素が不足すると、活力が失われてしまいます。胃腸を休めるのも重要ですが、以下の栄養素や食べ物を意識的に摂るようにしましょう。
夏の暑さで食欲が減退すると、食事量が減少してタンパク質も不足しがち。タンパク質が不足すると、筋肉量が低下し、基礎代謝量や熱を生み出す力も落ちてしまうのです。
タンパク質は筋肉だけでなく、精神の安定に関わるセロトニンや、意欲に関わるドーパミンといったホルモンも構成します。不足すると集中力が低下したり、情緒不安定を招いてしまうのです。
食事の量が少ない場合は、必須アミノ酸(体内で合成できないアミノ酸)をバランスよく含んだ良質なタンパク質を選んで摂りましょう。身体の構成物質として、効率よく活用されます。
糖分をエネルギーに変換するのをサポートをします。筋肉の疲労を防ぎ、神経の働きを正常に保つビタミンです。不足すると疲れやすくなるので、食事でしっかり補給しましょう。
夏の暑さにより身体がストレスを感じると、大量のビタミンCを消耗します。ビタミンCは体内で合成できないため、食事からの毎日の摂取が重要です。
キャベツの汁から発見された成分です。荒れて弱った胃の粘膜を、正常な状態に整えるのをサポートします。熱に弱いので、生のまま摂るのがおすすめです。
前述したとおり、欠食したり炭水化物に偏った食事をしていては、負のスパイラルに陥ります。なるべく多種類の栄養素を補給できるように、下記の4つを意識して、夏を元気に乗り切りましょう。
冷たい飲み物や食べ物の摂取は、暑さを緩和するのに有効ですが、摂り過ぎは厳禁です。胃腸を冷やさないためにも、常温や温かい食事の摂取を心がけましょう。
冷たい食品を摂ったあとは、温かい飲み物を飲んで、胃腸の冷えケアをするのもよい方法です。
消化機能が低下しているときは、消化のよい食べ物を選びましょう。下記の食べ物を参考にしてみてください。すりおろしたり、柔らかく煮たりするとさらに消化しやすくなります。
夏は食欲とともに、やる気も減退しがちです。台所に立つ気力がないときもあるでしょう。そんなときにすぐに食べられる食品を常備しておけば、栄養管理に役立ちます。
私たちは、食べ物の香りや味付けにより食欲が刺激されます。夏におすすめの食欲が増す食べ物は以下のとおりです。
夏の食欲のなさを吹き飛ばす、おいしくて栄養満点なレシピを2つ紹介します。身近な食材で簡単に作れるので、参考にしてみてくださいね。
豚肉に含まれる良質なタンパク質とビタミンB1、キャベツに含まれるMMSCが同時に摂取できる簡単レシピです。酸味のあるポン酢と、パンチのあるにんにくの香りで食欲を刺激してあげましょう。
ビタミンB1が補給できる玄米に、ビタミンCも補給できる枝豆と良質なタンパク質を含むシラスを混ぜるだけの簡単レシピです。片手でパクパク食べやすいので、朝食やお弁当にも重宝します。
食欲のない夏を脱却するには、食事の工夫だけでなく運動も大切です。身体を動かすと胃や腸の働きが活発になり、栄養の吸収もよくなります。
暑いからと家の中でじっとしていると、筋肉や骨が弱くなり体力はどんどん低下…。体力アップのためにも、自宅でできるトレーニングや散歩をして運動量を増やす工夫をするのが望ましいです。
毎日の食事と運動習慣が、夏をイキイキ過ごすためのカギとなります。できることから1つずつ取り入れてみてくださいね。
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