管理栄養士ライター高村恵美
12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。
夏野菜には、暑い時期に不足しがちな栄養素が含まれています。積極的に摂りたいきゅうりやトマトなどの食材をピックアップし、特徴を一覧にまとめました。栄養素の働きを十分に活かすには、皮つきのままや加熱時間を短くするといった、調理の仕方が大切です。効率よく栄養補給をするための4つの調理のコツと、食欲が落ちても食べやすい「揚げびたし」や「サッパリしたレシピ」を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
夏野菜とは、夏に旬を迎える野菜です。夏の暑さで汗と一緒に体外へ流出しやすいビタミンやミネラルのほか、健康維持に役立つ食物繊維といった栄養素を含んでいます。厳しい夏の暑さに負けないために、積極的に摂りましょう。
代表的な夏野菜の種類と、特徴的な栄養素(成分)を一覧で紹介します。旬の食材は、価格がお手頃になる傾向があるので、健康づくりだけでなく節約にも効果的です。
トマトの赤は、有用成分であるリコピンの色です。油との相性がよいので、炒め料理や油分のある食品と一緒に摂るとよいでしょう。種の周りにあるゼリー質の部分には、うまみ成分のグルタミンが含まれています。 注目成分:ビタミンC・リコピン
ジューシーで甘みのある味わいが特徴的です。生でも加熱しても食べられます。 注目成分:ビタミンC・ビタミンE
ピーマンに含まれるビタミンCは、加熱しても損失が少ないとされています。青臭さを和らげるにも、加熱調理が有効です。 注目成分:ビタミンC
独特な苦みは、種とワタを取り除いて塩もみすると和らぎます。ゴーヤに含まれるビタミンCは加熱しても損失が少ないので、天ぷらや炒め料理におすすめです。 注目成分:ビタミンC
なすの皮の紫色は、水溶性のポリフェノールの一種であるナスニンによる色です。栄養を無駄なく摂取するには、皮ごと水にさらさない調理法が適しています。 注目成分:ナスニン
大豆が熟す前段階で収穫したのが、枝豆です。ビタミンCやビタミンAの量が大豆よりも多く含まれています。 注目成分:大豆イソフラボン・ビタミンC
クセがなく、料理に使いやすい夏野菜です。切り方や加熱時間により食感が変わるため、いろんな味わいを楽しめます。 注目成分:ビタミンC
爽やかな香りの正体は、食欲や発汗を促すとされる香気成分のα-ピネンです。香りを活かすために、生のまま食べるのがおすすめ。 注目成分:α-ピネン
「冬の瓜」と書きますが、じつは夏に旬を迎えます。一説によると、「冷暗所で保存すると冬まで保存できる」というのが名前の由来です。種とワタを取り除き、薄く皮を剥いてから調理しましょう。 注目成分:ビタミンC
特有のネバネバの正体は、水溶性食物繊維の一種であるマンナンです。根元には硬い筋があるので、切り落として食べましょう。 注目成分:マンナン
特徴的なネバネバの正体は、水溶性食物繊維の一種であるペクチンです。火の通りが早いので、1分ほど茹でたら、すぐに食べられます。 注目成分:ペクチン
夏野菜に含まれるおもな栄養素の働きを見ていきましょう。栄養素はチーム戦で協力して働くため、1つに偏らず多彩な栄養素を補給するのが理想的です。
皮膚や血管の健康維持に必要なビタミンです。
粘膜や皮膚の健康維持に必要なビタミンです。
摂取した脂質をエネルギーに変換する際に必要なビタミンです。
ホルモンの分泌やスムーズな血流に関与しているビタミンです。
水溶性のミネラルの一種で、とくに塩分の多い食事が好きな方は、積極的に摂取すべき栄養素です。筋肉や神経の機能維持にも関与しています。
骨や歯の構成成分として欠かせないミネラルの一種です。
大豆製品に含まれる有用成分で、女性ホルモンと似た働きをします。
トマトの赤い色素成分で、紫外線が強い夏の健康維持に役立ちます。
なすの皮に含まれる色素成分で、ポリフェノールの一種です。
水溶性の食物繊維の一種です。水を含むとゲル状になり、小腸で吸収されないため満腹感を得られます。
水溶性の食物繊維の一種です。水を含むとゲル状になり、小腸で吸収されないため満腹感を得られます。
せっかくの栄養素も、調理の仕方次第で半減してしまいます。夏野菜の栄養を無駄にせず、しっかり栄養補給をするために、調理のコツを4つ紹介しましょう。
夏野菜をたくさん食べるには、蒸す・焼く・茹でる・炒めるといった加熱調理や、すりおろしてカサを減らすのがおすすめです。
きゅうりやゴーヤといった夏野菜の皮には、実よりも栄養が多く含まれている傾向があります。栄養を無駄にしないためにも、皮は剥かずに調理しましょう。 きゅうりは、繊維を断ち切るように薄くスライスすると食べやすく、スムージーにもおすすめです。ゴーヤは、スライスしてスープや炒め料理にするとよいでしょう。
トマトやパプリカといったカラフルな夏野菜には、脂溶性のビタミンA(カロテン)が含まれています。油との相性がよいため、オリーブオイルやアボカドオイルをかけたり、炒めたりする料理がおすすめです。
きゅうりやトマト、みょうがといった夏野菜は生のままでも食べられますが、枝豆・さやいんげんは加熱をしたほうがおいしく食べられます。栄養の吸収においても、加熱調理がおすすめです。 しかし、ビタミンCは熱に弱いため、加熱時間はできるだけ短くするほうがよいでしょう。
暑さで食欲が減退しやすい夏に、ひんやりしてさっぱりと食べられる夏野菜レシピを2つ紹介します。どちらも多めに作り置きしておくと便利です。
なすの皮には、水溶性の有用成分ナスニンが含まれているため、水さらしや皮むきをせずに使用します。みょうがや大葉の爽やかな香りが、食欲をそそる一品です。
脂溶性のビタミンA(カロテン)が豊富なトマトに、相性のよいオリーブオイルを組み合わせた、効率よく栄養補給できる一品です。爽やかなバジルの香りとはちみつレモンのフルーティさが、トマトとよくマッチします。
暑い夏は、スパイスの香りが食欲をそそる夏野菜カレーもおすすめです。下記にてレシピを紹介していますので、参考にしてみてください。
関連記事:【管理栄養士おすすめ】素揚げ夏野菜のキーマカレーのレシピ!レンジ利用で20分以内で作れる簡単ポイント夏野菜を使うと彩りが加わり、食卓が華やかになります。栄養価だけでなく、目で見たときにワクワクするのも、食を楽しむ醍醐味です。 どれだけ優秀な栄養素でも、1つだけでは力を発揮できません。健康のためには、多種類の栄養素をまんべんなく摂れる食事が理想です。 野菜の自然な色で食卓がカラフルになればなるほど、多様な栄養素を摂取できます。炭水化物やタンパク質の源となる食品も組み合わせながら、夏を元気に乗り切りましょう。
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