教育・福祉・取材ライター中村藍
小学校・特別支援学校での20年の教師経験を活かし、教育や発達支援、福祉分野で活動するライター。
現在も公立学校非常勤講師として教育に携わる。日本音楽療法学会認定音楽療法士の資格をもち、社会福祉法人にて非常勤の音楽療法士としても勤務。
「わかる・できる・ラクになる」をモットーに、子どもたちや保護者に寄り添い、学校生活や家庭でのお悩みごとを解決に導く記事を心がけている。
花粉は春だけでなく、夏にも飛散しています。春のスギやヒノキとは違い、6月・7月・8月はイネ科とキク科の植物に注意しましょう。アレルギーの原因となる植物が生えている場所を避け、花粉を吸わない・つけない・持ち込まない対策が大切です。
暑い時期ならではのケアや気になる喉の症状についても解説するので、参考にしてください。花粉症が起こるメカニズムを知れば、年間を通しての自分にあった対策が取れるはず。
6月から8月にかけての花粉症は、主にイネ科やキク科の植物によって引き起こされます。ヒノキやスギによる春の花粉症と比べ、かゆみ・充血・腫れといった「目の症状」が強く出やすいのが特徴です。
夏の花粉症は、スギ・ヒノキ花粉症についで患者数が多いとされます。原因となる植物は主にイネ科とキク科の植物。地域によって飛散時期は異なりますが、イネ科は初夏から夏にかけて、キク科は夏から秋にかけて注意が必要です。
アレルギーを引き起こす主な原因は、カモガヤやハルガヤなどの野草といわれています。小動物を飼っているなら、オオアワガエリ(チモシー)にも気をつけましょう。
河川敷・公園・空き地に多く生えています。
もともとは明治期に牧草として導入されました。道端や草地に生息しています。
牧草や小動物のエサとして利用されるチモシー。ペットの飼料として使用する場合、人間のアレルゲンになるケースがあるので気をつけましょう。
日本人になじみの深い、田んぼの稲です。田植えや稲刈りの時期に花粉が多く飛散します。
キク科の花粉症は、ヨモギとブタクサが原因で起こるものがほとんど。夏の終わりごろになって、急に症状が出始めたら要注意です。風邪症状と混同しやすいので、下記の植物が生えているところに行ったかなどを基準に、様子をみておきましょう。
野原・河川敷・家の庭・道端に多く生息。花粉の粒子がきわめて小さいため、気管支や肺に入り込み、咳を引き起こす場合があります。
河川敷・道端・公園・空き地に多く生えます。繁殖力が強く、群生するのが特徴。近くを通るときは注意しましょう。
イネ科・キク科の植物が原因となる夏の花粉症。鼻の症状が中心となる春の花粉症と比べ、夏の花粉症では目や皮膚など全身の症状が多いと指摘する専門家もいます。主な症状は以下のとおりです。
目のかゆみや充血が強く現れるのが特徴。人によっては目の周囲が赤く腫れたり、まぶたが重くなったりする場合もあり注意が必要です。目の乾きやゴロゴロ感も感じやすくなります。
多いのは鼻水・鼻づまり・くしゃみです。呼吸のしづらさで眠りが浅くなると、暑さも重なってつらい睡眠不足の原因にもなります。
喉のイガイガ・かゆみ・痛み・乾燥感が現れます。咳や痰、声枯れを感じる人もおり、風邪症状との判別が難しいかもしれません。
露出している顔・首・腕の皮膚がかゆくなります。蕁麻疹にも注意が必要です。
まれに、頭痛・だるさ・倦怠感・食欲不振を感じる人がいます。
花粉症は、私たちの体がもつ免疫システムが誤作動して引き起こされるアレルギー性疾患です。花粉症のメカニズムは、季節にかかわらず以下の5つのステップで説明されます。
空気中に飛散している花粉が、鼻や目の粘膜から体内に侵入。私たちの体は異物を感知し、受け入れるかどうかを判断します。発症する人としない人がいるのはこのためです。
異物である花粉を排除すると体が判断すると、反応するIgE抗体がつくられます。
IgE抗体ができたあとに再び花粉が体内に侵入してくると、花粉を体外に排出しようと、化学物質であるヒスタミンを放出します。
放出されたヒスタミンは、鼻や目の血管を拡張し、粘膜の腫れや分泌液の増加を引き起こします。くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみといったアレルギー症状につながるのです。
花粉症が長期間続く場合、粘膜が慢性的に炎症を起こす可能性もあります。鼻づまり・副鼻腔炎・目の充血が悪化するケースもあるのです。
春の花粉症と比べ軽視されがちですが、実はつらい症状が多い夏の花粉症。上手に症状とつきあうには、以下の対策方法が有効です。
スギやヒノキと比べると、夏の花粉は飛散距離が短いのが特徴です。植物に近づかないよう心がけるだけで、吸い込む花粉の量はぐっと減ります。
まずは、花粉量が多い日は外出を控えましょう。イネ科やキク科の植物が多く生息する空き地や河川敷を避ける対策も有効です。自宅の庭や駐車場、通路に生える場合は除草を心がけましょう。
花粉の侵入を抑えるのがベスト。マスクでぴったりと鼻や口を覆うのがおすすめです。
とはいえ、夏のマスクは不快に感じる人も多いはず。暑い季節につけるコツをまとめました。
冷やしたタオル・保冷剤・冷感シートで首元やデコルテを冷やすと、体感温度が下がるので、マスクで感じる暑苦しさにも効果的です。
首周りの締めつけが少なく、風通しのよい衣類を選びましょう。男性なら半袖の開襟シャツ、女性なら風通しのよいシルエットのトップスやワンピースがおすすめです。
冷感素材のマスクを選んでみましょう。顔につけるとひんやりするので、暑い日でも比較的快適に着用できます。
マスクだけで花粉を防ぐより、帽子やメガネを併用するほうがぐっと効果は高まります。もちろん、暑さや紫外線防止にも役立つはずです。
顔や体に付着した花粉を洗い流すのが効果的。外出後は、うがい・手洗い・洗顔をこまめに行いましょう。
静電気が発生しにくいナイロンやポリエステル、ツルツルとした手触りの革がおすすめです。一方、花粉がもっとも付着しやすいのはウールとされています。夏にはあまり着ない素材ですが、心にとどめておきましょう。
屋外に干すと花粉が付着してしまうため、洗濯物は室内干しまたは乾燥機を使用しましょう。また空気清浄機の活用もおすすめです。床や窓のこまめな掃除も、症状軽減に役立ちます。
市販薬を使う場合は、効果・効能をよく読んで自分の症状に合った商品を選び、用法・用量を守って使用しましょう。
セルフケアでは症状が改善しないときは、できるだけ早く医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。
人によっては、春から始まり、夏・秋と、ほぼ1年中花粉に悩まされる生活となります。鼻や喉が過敏になるため、ほこりやハウスダストへの耐性が下がるケースもあり、注意が必要です。
今は無症状の人でも、突然症状が出る可能性があるのもアレルギーの特徴のひとつ。こまめな掃除やマスクの着用、セルフケアを心がけ、年間を通してアレルギーへの対策をとっていきましょう。グッズを上手に用いて花粉を防ぐと、ほこりやウィルス飛沫も防げます。自分に合った対策で快適にすごせるとよいですね。
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