看護師ライター北村由美
看護師として総合病院、地域病院、訪問看護ステーション等で約30年勤務。超低出生体重児から103歳の高齢者まで看護を経験。
自らが家族の介護を行う中「自分の知識、経験が困っている人の役に立てるのではないか」と考えるようになり、ライターを開始。「読者が共感できる記事」をモットーに医療・健康分野の記事、看護師向け記事を執筆している。
虫刺されで腫れてしまうのは、虫の毒成分や唾液成分に対してアレルギー反応が生じているためです。刺された直後から症状があらわれる「即時型」と、翌日以降にあらわれる「遅延型」があり、虫の種類や刺される人の体質によって異なります。虫刺されで腫れないようにするには、まずは予防が大切です。肌の露出を抑えたり、虫よけを使用したりして対策をとってください。腫れやすい虫の種類や、刺されたときの対処法も理解しておきましょう。
虫刺されは、虫に刺されたり血を吸われたりして生じる状態をいいます。刺されたときにみられる主な症状は、かゆみ・痛み・腫れです。虫の種類や、刺された人の年齢・体質によって、症状のあらわれ方に違いがあります。
かゆみや腫れは、虫の毒成分や唾液成分に対するアレルギー反応の一つです。虫に刺されたり咬まれたりすると、虫の毒成分や唾液成分が抗原となり、体内の抗体と反応してしまいます。すると、かゆみや腫れの原因となるヒスタミンが分泌され、アレルギー反応が起きるのです。
痛みは、虫が皮膚を刺したり咬んだりしたときの刺激と、皮膚に注入される物質の刺激によって生じます。
虫刺されの腫れのあらわれ方は2つのパターンがあります。刺された直後からあらわれる即時型と、しばらく経ってからあらわれる遅延型です。それぞれくわしくみていきましょう。
虫刺されの直後から数時間以内に症状があらわれるのは、即時型の反応です。虫の毒成分や唾液成分によってかゆみや腫れ、痛み、赤みがみられます。痛みは、刺されたり咬まれたりなどの刺激で生じるとされており、数時間以内に軽減するのがほとんどです。
刺されたあとしばらく経ってから症状があらわれるのは、遅延型の反応です。刺されて1~2日後にかゆみや腫れ、赤みがみられて、数日から1週間程度でよくなります。即時型より症状が強く出る場合が多いです。個人差が大きく、アレルギー体質の人はより強く出るとされています。また腫れがひどい場合は、水ぶくれや硬いしこりを生じるときもあるため注意しなければなりません。
刺されると腫れを起こすのはどんな虫でしょうか。虫の種類や生息場所、虫刺されの特徴を解説します。
代表的な虫の種類と生息場所、発生時期は以下のとおりです。とくに夏は、あらゆる場所で虫刺されの危険があります。
虫の種類別による、虫刺されの特徴を解説しますので、判別や対策をとる際の参考にしてください。
蚊は、家の周囲や山野といった広範囲に生息し、刺される頻度が一番高い虫です。屋内ではアカイエカ、屋外ではヒトスジシマカなどが生息しています。体質や刺された頻度による個人差が大きいのが特徴です。
ブユは小さなハエのような虫で、水場の近くや山野に生息しています。地域によりブヨ・ブトとも呼ばれる虫で、蚊よりも症状が強くあらわれるのが特徴です。
マダニは家の中に生息するダニとは異なり、山野や草むらなどに生息する体長2~8mm大のダニです。無理にとろうとすると虫の一部が皮膚に残り、炎症や感染症を起こす恐れもあるため、医療機関の受診が推奨されます。
毛虫は公園や庭木に生息する、チョウやガの幼虫です。毒を持つ毛虫に触れたり、毛が付着した木の枝や葉に触ったりすると、症状があらわれます。ドクガの毛虫は、刺された直後に症状があらわれるケースと、翌日以降にあらわれるケースに分かれます。
ムカデは石や落ち葉の下に生息し、夜間活動するのが特徴です。ムカデに気づかずに踏んだり触ったりすると、咬まれてしまう場合もあります。家の中では玄関や風呂場、台所で見かける機会も多い虫です。
ハチは家の周囲・山野・畑に生息し、夏から秋に活動が活発になります。スズメバチ・アシナガバチは、巣を守るため人を攻撃する習性があるので、刺激を与えないようにしましょう。ハチに刺されるのが2度目以降の人は、意識消失や呼吸困難といった全身症状に注意が必要です。
虫刺されで腫れたときの対処方法と、子どもの注意点を解説します。とくに子どもは、かゆみから強めにかきむしりやすいため、注意が必要です。
虫刺されで腫れたときには、以下の方法で対処してみてください。改善がみられないときは、皮膚科の受診をおすすめします。
子どもは、かゆみがあるとかきむしってしまうため、悪化したり化膿したりする可能性もあります。清潔にしてから、虫刺され薬を塗りましょう。爪が伸びていると、かいたときに雑菌が入りやすくなるため、爪の長さも気をつけてください。
虫刺されの症状が強かったり、かきむしったりすると、跡になって残るケースもあります。症状が強い場合やなかなか改善しないなら、早めに小児科または皮膚科を受診しましょう。
虫刺されの腫れを防ぐには「虫に刺されない」ことが重要です。予防対策をお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
虫は、肌が露出している部分をねらってきます。屋外活動をするときは、長袖や長ズボンの着用がおすすめです。とはいえ、暑い夏にはつらいときもあるかもしれません。水分補給をこまめにおこない、ひんやりグッズを使用するといった対策をとってみてください。黒っぽい服は虫が寄ってきやすいので、着用は避けましょう。
虫よけを使用するのもおすすめです。虫よけにはさまざまなタイプがあるため、使用するシーンに合わせて選ぶとよいでしょう。たとえば、家で使用するときは置き型、キャンプや屋外のレジャーではスプレータイプがおすすめです。子ども用の虫よけは、購入する際にパッケージをよく確認してください。選び方に迷うときは、店舗の薬剤師や登録販売者に相談しましょう。
以下の場合はすみやかに医療機関を受診しましょう。とくに刺されてから呼吸困難や嘔吐などの全身症状がみられるときは、迷わず救急車を呼んでください。命に関わるリスクがあるためです。
虫刺されの腫れには、刺された直後にあらわれる即時型と、翌日以降にあらわれる遅延型があります。気づいたときに早めに対処するのが大事です。かきむしったりして症状が長引くと、跡が残る可能性もあります。とくにお子さんが刺された場合「とびひ」などに悪化する恐れもあるので、注意してください。
虫刺されで嫌な思いをしないように、屋外活動やレジャーではしっかり対策をとりましょう。
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