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虫刺されにステロイドを使用するのは問題ない?市販薬は用法用量・使用上の注意を守り正しく使おう

皮膚用薬SKIN MEDICINE
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2024/07/12

虫刺されには、ステロイド成分を含む虫刺され薬を使用するのも効果的です。ステロイドには炎症を抑え、かゆみ・赤み・腫れといった症状を抑えるはたらきがあります。かゆみが軽いときは抗ヒスタミン成分がメインのタイプ、炎症やかゆみが強いときはステロイド成分を含むタイプを選ぶとよいでしょう。子どもには、肌の負担を考慮したタイプを使用してください。用法用量や使用上の注意を守り、正しく使用するのが大切です。

 

虫刺されにステロイドを使ってもよいの?

虫刺されの薬は大きく分けると、ステロイド成分を含むタイプと、ステロイド成分を含まないタイプの2つです。虫刺されによる炎症やかゆみを抑えるステロイド成分を含む薬は、一般的に「ステロイド外用薬」と呼ばれます。
ステロイドと聞くと副作用のイメージがあり、使ってもいいのか疑問を持つ方もいるでしょう。結論をお伝えすると、虫刺されにステロイドの使用は可能です。
一般的に聞く副作用は、飲み薬や注射薬を長期間にわたり投与した際に生じる、全身への影響を指します。いっぽう塗り薬は、全身への影響を考慮し、局所的に効果をあらわすようにつくられているのです。とはいえ、誤った使い方をすると効果があらわれなかったり、副作用が出たりする恐れもあります。使用する際は、用法用量や注意事項を必ず守り、正しく使用しなければなりません。

 

ステロイド外用薬(塗り薬)を使用した方がよいケース

虫刺され薬は、かゆみの強弱・赤み・腫れの有無で使い分けるとよいでしょう。ステロイドを含む虫刺され薬を使用するかどうかは、以下を目安にしてみてください。

ステロイドを含む虫刺され薬を使用するかどうか
 

ステロイド外用薬の市販品と処方薬の違い

ステロイドには多くの種類があり、強さによって5つのランクに分類されます。市販薬と処方薬は、取り扱われているランクに違いがあるのです。
市販薬では弱い方から3つのランクの製品が、病院の処方薬はすべてのランクの製品が取り扱われています。

ステロイド外用薬の市販品と処方薬の違い

医療機関で医師の診察を受けると、使用部位・年齢・症状を考慮し、それぞれに合った強さのステロイド外用薬が処方されます。しかし市販薬は、薬局やドラッグストアで薬剤師や登録販売者のアドバイスを元に購入するか、自分や家族が判断しての購入になるため、ストロングまでの製品しか認められていません。

 

虫刺され薬の選び方

虫刺されにステロイドを使用するのは問題ない?

虫刺され薬は、かゆみや炎症の状態に合わせて選ぶのが大切です。また、シーズン・使用場面・肌への負担も考慮し、使用感で選ぶのもよいでしょう。一つずつ解説します。

かゆみや炎症の程度で選ぶ

虫刺され薬に含まれる代表的な成分は、「抗ヒスタミン成分」「ステロイド成分」「局所麻酔成分」「局所刺激成分」の4つです。含まれている成分は製品により異なり、殺菌成分や血行促進成分が含まれている製品もあります。

「抗ヒスタミン成分」「ステロイド成分」「局所麻酔成分」「局所刺激成分」

かゆみだけのとき

かゆみだけのときは、抗ヒスタミン成分を含む虫刺され薬がおすすめです。抗ヒスタミン成分は、かゆみのもととなる「ヒスタミン」のはたらきを抑え、かゆみをしずめます。

かゆみに加え赤みや腫れがあるとき

ぶり返すかゆみ・赤み・腫れがある場合は、ステロイド成分や抗ヒスタミン成分、局所麻酔成分を含む虫刺され薬を選んでみてください。

強い炎症や我慢できないかゆみがあるとき

強い炎症や激しいかゆみがあるときは、抗炎症成分・抗ヒスタミン成分・局所麻酔成分の、3成分を含む虫刺され薬を選ぶとよいでしょう。抗炎症成分の1つPVA(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)は、炎症や腫れにすぐれた効果を示す「アンテドラッグ」と呼ばれる成分です。アンテドラッグは患部ですぐれた効果を発揮し、体内で分解されると作用がおだやかになる性質を持ちます。

使用感で選ぶ

虫刺され薬には液体タイプ、ゲルタイプ、軟膏タイプがあります。使用シーンなどに合わせて、好みの使用感で選んでみましょう。

液体タイプ

手を汚さず塗りたいときは、液体タイプがおすすめです。とくに夏の時期は、さっぱりした使用感を求める方が多いでしょう。メントールを含む製品は、スーッとしてかゆみを抑えてくれます。キャンプや花火大会といった野外のイベントには、携帯しやすい小型のタイプを選ぶとよいでしょう。

ゲルタイプ

ゲルタイプは、さっぱりした使い心地でありながら患部にとどまるため、有効成分が浸透しやすいです。ベタつきが苦手な方も使いやすいでしょう。ゲルタイプもメントールが含まれている製品もあります。

軟膏タイプ

軟膏タイプは、どんな状態の患部にも使用でき、肌が弱い方も使いやすいです。ただし、液体タイプやゲルタイプよりベタつきが気になる方もいるかもしれません。

 

ステロイド外用薬を使用するポイント・注意点

かゆみが強いときは、早めにステロイド外用薬を使用するのがポイントです。子どもに使用するときは、「負担を考慮したタイプを選ぶ」「長期間の使用は避ける」「健康な皮膚には塗らない」など注意しましょう。

かゆみが強いときは早めにステロイド外用薬を使用する

かゆみが強く、赤みや腫れもみられるときは、炎症を起こしている可能性が高いです。ステロイド外用薬を使用し、炎症を抑えるようにしましょう。かゆみが強い場合、一度かいてしまうとさらにかゆくなってしまい、かき壊して治りにくくなるケースも。虫刺されをきれいに治したいときは、早い段階で使用してみてください。

子どもには肌の負担を考慮したタイプを選ぶ

子どもには、肌の負担を考慮した虫刺され薬を選んでください。購入時は、製品のパッケージをよく確認して購入しましょう。不安なときは、店舗の薬剤師や登録販売者に相談してください。
また子どもは、かき傷から細菌感染して「とびひ」になる恐れもあります。かいてしまって水ぶくれやただれができ、あちこちに広がっているなら、早めに小児科もしくは皮膚科を受診しましょう。

参照:皮膚科Q&A とびひ/公益財団法人日本皮膚科学会

長期間使用しない

虫刺されは、軽症であれば市販薬が効果を発揮します。しかし、5~6日以上使用しても症状がよくならないときや悪化しているときは、使用を中止し皮膚科を受診してください。

 

こんなときは医療機関の受診を

ステロイド外用薬を使用しても、症状がよくならず悪化している場合は、副作用や別の皮膚疾患の可能性があります。以下に該当するときは、早めに皮膚科を受診しましょう。

  • ・ 使用後に発疹・赤み・かゆみ・腫れがあらわれた
  • ・ 水虫・ニキビ・化膿症状・持続的な刺激感があらわれた
  • ・ 5~6日使用してもよくならない、悪化している
  • ・ 炎症がひどい、患部が広範囲である
  • ・ 薬などでアレルギーを起こした経験がある
 
ステロイド外用薬は、適切に使用すれば虫刺されに効果が期待できる

虫刺されによるかゆみが強くかき壊してしまうと、あとが残ったり細菌に感染したりして、症状が悪化する恐れがあります。とくに子どもは、かき壊してしまうケースが多いため注意しましょう。悪化を防ぐには、早めにステロイド外用薬を使用し、炎症やかゆみを抑えるのが大事です。
ハチなどに刺されたときは、市販薬で対処できない場合があります。息苦しさ・吐き気・広範囲のむくみといった症状がみられるときは、早急に医療機関を受診してください。

  • 北村由美

    看護師ライター北村由美

    看護師として総合病院、地域病院、訪問看護ステーション等で約30年勤務。超低出生体重児から103歳の高齢者まで看護を経験。
    自らが家族の介護を行う中「自分の知識、経験が困っている人の役に立てるのではないか」と考えるようになり、ライターを開始。「読者が共感できる記事」をモットーに医療・健康分野の記事、看護師向け記事を執筆している。