教育・福祉・取材ライター中村藍
小学校・特別支援学校での20年の教師経験を活かし、教育や発達支援、福祉分野で活動するライター。
現在も公立学校非常勤講師として教育に携わる。日本音楽療法学会認定音楽療法士の資格をもち、社会福祉法人にて非常勤の音楽療法士としても勤務。
「わかる・できる・ラクになる」をモットーに、子どもたちや保護者に寄り添い、学校生活や家庭でのお悩みごとを解決に導く記事を心がけている。
エアコンのカビは、臭いや空気汚れの原因になります。カビだらけになってしまう前に、発生と繁殖のメカニズムを知って対策するのが大切です。吹き出し口やフィルターを中心に、定期的に手入れをして、キレイな状態を維持しましょう。
自動掃除機能付きエアコンは「手入れ不要」と思われがちですが、実は自分でケアすべき部品があります。喉が痛い、咳が出るといった健康面に影響が出る前に、しっかり対策しましょう。
「温度」「湿度」「ホコリ・汚れ」の3つの要素が重なると、カビが発生・繁殖します。つまり、エアコンはカビにとって、最適な環境なのです。
カビが繁殖しやすいのは、20~35℃といわれています。エアコンによってほどよく調節された室温は、人間だけでなくカビにとっても快適な環境です。
カビは湿度60%以上で活発化し、80%を超えると繁殖スピードが急激に上昇します。冷房運転中は、エアコン内部で結露が発生しやすく、高湿度状態に。
空気の循環によってエアコン内部に蓄積したホコリや油汚れは、カビの栄養源になります。 フィルターが目詰まりを起こすと、さらにホコリが溜まりやすくなるので注意が必要です。
エアコン内部のカビは、健康面にデメリットをもたらすだけではありません。実は、エアコンの性能にも悪影響を及ぼします。電気代の無駄遣いにつながるだけでなく、故障によって修理費用がかかってしまう可能性も。
エアコンの風に乗って室内に拡散されたカビを吸い込むと、アレルギー疾患や呼吸器系疾患を悪化させるリスクが発生します。臭いで気分が悪くなるケースも。
カビがエアコン内部の熱交換器に付着すると、冷却効率が低下してしまいます。結果、エアコンの効きが弱くなり、性能の低下にもつながるでしょう。
冷却効率の低下によってエアコンの消費電力が増加し、電気代がアップします。カビや蓄積した汚れが原因でエアコンが故障すれば、当然修理費用がかかってしまうでしょう。
エアコンのカビは、湿気が多く、ホコリや汚れが溜まりやすい場所に発生します。とくに「ドレンパン」「送風ファン」と「吹き出し口」の3カ所は要注意。
一方、フィルターにはカビはあまり付着しません。しかし、フィルターのホコリはカビの栄養源となるため、掃除はまめに行いましょう。
エアコン内部で発生した結露水を溜める受け皿です。冷房やドライ運転時に発生する結露水の一部が溜まり、ホコリや汚れが混ざると、カビが繁殖しやすい環境になります。
エアコン内部で冷やされた空気を、室内に送り出す部品です。ドレンパンで発生したカビは冷風と共に送風ファンに運ばれ、さらに繁殖します。また、送風ファンの近くにあるアルミフィンは、空気の温度調節を行う際に結露が発生しやすく、カビの温床に。
エアコンから室内に風を送り出す部分です。ドレンパンや送風ファンで繁殖したカビは、最終的に吹き出し口に到達します。
家庭で掃除できるのが、フィルター・吹き出し口・ルーバーの3つです。作業の前には、エアコンの電源プラグを抜くのを忘れずに。カビとは直接関係ありませんが、本体外側のホコリも自分で除去できます。
いずれのパーツも、エアコンの種類によって掃除方法が異なるので、必ず取扱説明書を確認してから始めましょう。心配なら無理をせず、専門家へ依頼してください。
定期的にフィルターを掃除すると、カビ抑制に効果的です。エアコンをよく使う時期は、少なくとも月に1回、できれば2週間に1回の掃除を心がけましょう。
エアコンの吹き出し口にカビが生えていると、運転のたびに胞子が部屋に撒き散らされてしまいます。目視で確認しやすい部分なので、シーズン前にチェックを。
エアコンの吹き出し口についている、羽状の部品がルーバーです。1カ月に1回は掃除しましょう。柔らかい布でやさしく拭くのが基本です。汚れが落ちにくければ、水やぬるま湯に浸して固く絞った雑巾を使いましょう。ルーバーはプラスチック製なので、変形の原因となる熱湯の使用は禁物です。
エアコンに発生したカビの掃除をする際は、自己判断で機器を分解したり、内部を掃除したりするのは避けましょう。感電や故障の危険があります。安全のため、以下の注意点を必ず守ってください。
エアコン内部の掃除には、専門知識・工具・洗浄技術が必要です。無理に行うと、エアコンが故障するリスクがあります。とくに、アルミフィン・送風ファン・ドレンパンは、自分で掃除をするのは避けて、専門業者へ依頼しましょう。
エアコン内部には、水に濡れると故障の原因となる電装部品があります。 外側の掃除で水を使うときは、電装部品にかからないように注意が必要です。 エアコン洗浄スプレーを使用する際も、電装部品への直接噴射を避けましょう。
感電やエアコンの故障を防ぐために、掃除を始める前には電源プラグを抜きましょう。 フィルターや吹き出し口などの掃除を行う際も、忘れないでください。
吹き出し口のカビを拭き取った後、アルコールでの除菌は有効です。 ただし、引火性が高いため、使用前に必ず換気をし、火気がないかを確認してください。また、エアコン内部の電子部品にアルコールがかかると、故障の原因となります。吹きつける範囲には注意が必要です。
市販のエアコン洗浄スプレーは、手軽にエアコンの汚れを落とせる便利なアイテムです。しかし、正しく使用しないと、かえって汚れの原因となったり、エアコンの故障につながったりします。 使用前にエアコンの取扱説明書をよく読み、注意点を守って正しく使用しましょう。
電子部品が多く、複雑な構造をしているエアコン。素人が掃除を行うには難易度が高く、危険が伴います。内部の徹底的な掃除は、専門の業者に依頼しましょう。
エアコン内部の湿度を下げ、カビの栄養源となる汚れを取り除く工夫が、臭いやカビ予防には欠かせません。エアコン内部の乾燥や、部屋の換気を徹底しましょう。
冷房や除湿運転の後は、エアコン内部に湿気が溜まっています。30分~1時間程度の送風運転を行い、内部を乾燥させましょう。
部屋の湿度が高い状態が続くと、カビが発生しやすくなります。窓を開けて空気を入れ替え、湿度を下げるようにしてください。 エアコン内に取り込まれる空気の汚れを減らす効果も期待できます。
せっかくフィルターを水洗いしたり、吹き出し口を水拭きしたりしても、乾燥が不十分では逆効果となってしまいます。手入れの際は、各パーツを完全に乾かす意識を忘れないようにしましょう。
自動掃除機能付きエアコンも、掃除は必要です。掃除は不要と誤解されがちですが、むしろ掃除機能のないエアコンよりも密閉度が高く、エアコン内部の湿度が上がりやすいため、カビ増殖のリスクは高いといえます。
自動掃除機能には、フィルターのホコリを自動で掃除するタイプが多く見られ、「内部クリーン」のボタンがある機種や、電源停止後に風が出てくる機種には、内部を掃除する機能もあります。しかし、あくまでも運転中に発生した結露を乾かすだけです。発生したカビや臭いを除去できるわけではありません。
必ず掃除すべきなのは、ダストボックスとフィルターです。とくにダストボックスは、自動掃除機能によって溜まったホコリやゴミで一杯になる前に、キレイにしましょう。
本体カバーを開けて、ダストボックスを取り外します。 機種によって取り外し方に違いがあるので、取扱説明書の確認を。
溜まったホコリを取り除き、汚れが気になるようなら水洗いしましょう。 頑固な汚れには、薄めた中性洗剤または弱アルカリ性洗剤をつけた歯ブラシで、やさしく洗うのがおすすめです。
自動掃除機能付きエアコンでも、細かいホコリは取り除けない恐れがあり、フィルターの掃除が必要です。ダストボックス同様に、定期的なチェックを忘れずに。 ホコリを掃除機で吸い取ったり、汚れ具合によって水洗いをしたりしましょう。
外側からでは汚れがわかりにくいエアコンは、手入れがおろそかになりがち。気づいたら内部がカビだらけに…なんて悲劇は避けたいですね。「フィルター掃除は毎月第3日曜日」「専門業者への依頼は毎年5月」と、ルーティン化しましょう。カレンダーやスケジュール帳に書き入れておくのがおすすめです。
快適な室内環境で、暑い夏を乗り切りましょう。
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