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家の湿気はカビや健康被害の原因になる?10の対策を実践して部屋の湿度を抑え、快適な毎日を過ごそう

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2024/07/17

家の中に溜まった湿気を放置すると、快適性が損なわれるだけでなく、カビ・ダニの発生や健康被害を生じてしまいます。大切なのは、部屋の空気を循環させることです。とくに、水まわりや風通しが悪い場所、ジメジメとした梅雨や秋雨の時期は湿気がこもりやすく、冬場は室内外の温度差が大きくなって結露を生じやすいため注意が必要。風通しをよくしたり、湿気を効果的に逃がして、清々しい室内環境をつくりましょう。

 

家の湿気を放置するとどうなる?

湿気が多い部屋で過ごしていると、不快な気分になるだけではありません。カビやダニの発生を促し、体調にも大きな影響を与えます。

カビや害虫が発生する

湿度の高い状態が続くと、大きな問題となるのがカビの発生です。壁や床、窓まわりなどにカビが繁殖してしまいます。とくに「湿度60%以上、温度25~28℃」になる梅雨の時期や秋の長雨時は、カビにとって好条件が揃い、繁殖が旺盛になります。また、温度と湿度が高くなると、ダニや湿気虫と呼ばれるチャタテムシといった害虫が活発化する恐れも。
部屋のカビ対策については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

関連コラム:部屋のカビ対策をしないと健康に悪影響を及ぼす?3つの原因から予防・除去方法を知って今すぐ対処を

体調に悪影響を及ぼす

高湿度の環境下で過ごしていると、健康被害を生じる可能性があります。汗をかいても蒸発しにくく、体温調節がうまくできなくなるため、体調不良や熱中症を引き起こしやすくなってしまうのです。さらに、カビやダニ(死骸・フン)を吸い込むと、アレルギー症状を引き起こすリスクも高まります。

参照:カビ対策マニュアル基礎編/文部科学省
 

家の理想的な湿度は40~60%

家の中は、湿度40~60%が理想です。湿度が60%を超えると、カビやダニが発生しやすくなります。快適な室内環境を保つために、温湿度計を使って定期的に湿度をチェックし、必要に応じて換気や除湿をおこないましょう。

参照:健康・快適居住環境の指針 平成28年度改訂版/東京都福祉保健局
 

家の中でもとくに湿気が溜まりやすい場所

家の中には、湿気がこもりやすい場所があります。湿度が上がりすぎないように、下記の場所は重点的に対策をしましょう。

水まわり

浴室・洗面室・キッチンといった水まわりは、湿度が高い場所です。シンク下の収納スペースは配管があり、物を詰め込んでいると風通しも悪くなるので、さらに湿気が溜まりやすい状態になります。

北向きの部屋

日当たりが悪く、温度が上がりません。ジメジメとして、結露やカビに悩まされやすくなります。

家具の裏

壁に接して家具を配置していると、空気がうまく流れずに湿気がこもってしまいます。とくに、動かしにくい大きな家具は注意が必要です。

靴箱

靴箱は、汗を吸い込んだ靴を収納する密閉空間です。扉を閉めっぱなしにしていると湿気が溜まるうえに、嫌なニオイの原因にもなります。

クローゼットや押し入れ

クローゼットや押し入れといった収納スペースは、汗や湿気を含んでいる洋服・布団をしまう場所です。洋服は、着用後すぐにしまわずに一晩ハンガーにかけて湿気を飛ばしてください。また、大人は寝ている間にコップ1杯ほどの汗をかくため、布団をしまう場所は定期的に扉を開けて換気して、晴れた日には布団を干しましょう。

窓まわり

室内のあたたかな空気が外気で冷えた窓ガラスに触れると、空気中の水蒸気が水滴となってガラス面やサッシにあらわれ、湿気を帯びた状態に。とくに、冬場は窓まわりが結露しやすくなります。

床下収納

床下収納は、「通気性が悪い・水道管に近い・開閉する回数が少ない」と、湿度が上がる条件が揃っています。除湿や換気を心がけるだけでなく、物を詰めすぎずに空間に余裕を持たせるのも大事です。

 

部屋の湿気を取り除く10の対策

家の湿気はカビや健康被害の原因になる?

部屋の湿気を取り除く10の対策を紹介します。こまめな換気や除湿をおこない、水分があれば拭き取って、湿気を溜めない工夫をしましょう。

1.こまめに換気をして空気を入れ替える

1年を通して定期的に部屋の換気をおこない、湿気を外へ逃がしましょう。窓は2カ所以上、できれば対角線上の窓を開けると、効率的に換気できます。部屋に窓がない場合は、ドアを開け、扇風機などを使って空気が通るようにしましょう。梅雨や冬の時期も換気は必要ですが、雨が室内に降り込んでくる日は避けて、冬場は室温が急激に低下しないように気をつけてください。厚生労働省では、1時間に2回以上、数分間ほど窓を全開にする方法を推奨しています。

2.エアコンや除湿機を使う

エアコンの除湿機能や除湿機を使うと、手軽に湿気対策ができます。除湿機は、除湿能力の目安となる適用畳数(除湿可能面積)を確認し、部屋の広さに合った製品を選びましょう。

3.サーキュレーターで空気を循環させる

風通しが悪く、うまく換気できない場所は、サーキュレーターで空気を循環させましょう。クローゼットや押し入れなど密閉された空間は、扉を開けて中に風を送ると、湿気を逃しやすくなります。

4.入浴後に浴室の換気扇を回す

浴室は、家の中でもとくに湿気が多い場所です。入浴後は、浴室内の水気をタオルやスクイージーでしっかり拭き取り、換気扇を回してこもった湿気を逃がしましょう。ただし、水蒸気が充満している入浴中に換気扇を回すと、天井まわりで結露が発生するため、使用を控えてください。また、浴槽にお湯を溜めたままにするときは、フタを閉めておくと結露予防になります。

5.除湿剤を使う

手軽に除湿する方法といえば、除湿剤の活用です。湿気をしっかり吸収する据え置きタイプ(容器タイプ)・薄型のシートタイプ・吊るして使うハンガータイプがあるため、置き場所と広さに合わせて製品を選びましょう。

6.炭を活用する

無数の微細な穴があいている多孔質の炭は、水分を吸着し、調湿や消臭をする効果があります。陰干しをして乾燥させれば、繰り返し使用可能です。

7.重曹を活用する

空気中の水分を吸収する性質があり、消臭や脱臭作用もあります。使い方はいたってシンプル。できるだけ口の広い容器に重曹を入れて、フタをせずに靴箱やクローゼットに置くだけです。こぼれるのが心配な場合は、通気性のよいガーゼなどを被せてください。
重曹は、湿気を吸うと固くなってきます。2~3カ月ほど使用した後は掃除に利用できるので、無駄なく使い切れるでしょう。

8.押し入れにすのこを置く

布団を押し入れ内に直置きすると、押し入れと布団の間に湿気が溜まってカビやダニが繁殖する原因に。布団の下にすのこを置けば、風通しがよくなります。天然桐のすのこは、調湿効果があるのでおすすめです。

9.家具を壁から離して配置する

家具の裏側に空気が通るように、壁との距離をとりましょう。寝ている間にかいた汗を吸い込んでしまうベッドも、壁から離せば湿気が逃げやすくなります。

10.調湿壁材を使う

湿気が溜まりやすい部屋には、調湿性能のある壁材を使う方法もあります。クロス・タイル・塗り仕上げタイプなど、機能性だけでなくデザイン性にも優れた壁材が多数あるので、お部屋の雰囲気づくりも楽しめるでしょう。ニオイや有害物質を低減する機能を持つ製品もあるので、好みに合わせて選んでください。

 
マンションは湿気が溜まりやすいので要注意

マンションは住戸同士が接しているため、窓を設置できる場所が限定されており、空気の通りが悪くなりやすい特徴があります。また、建物に使用されているコンクリートは建築時に多くの水分を含んでおり、自然に蒸発するのに3~4年、落ち着くまでに約10年ほどかかるのです。新築のマンションは、とくに湿気が高い状態になるため、しっかり対策をしましょう。

  • 神谷三理砂

    一級建築士・ライフスタイルライター神谷三理砂

    住宅やインテリアの意匠設計に従事した経験を活かし、家の間取りやデザイン、インテリアなど住まいに関するコラムを多数手掛ける。ジュエリーデザイナーとしての経歴も長く、ファッション系コラムも執筆。最近は、より生活に役立つ記事を書きたいという思いから健康コラムに力を注ぐ日々。
    刺繍や洋裁、家庭菜園といった手仕事を楽しむ暮らしを大切にしている。