監修医師成田 亜希子
2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。
国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。
現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。
夏風邪の症状は、新型コロナウイルス感染症と初期症状が似ているため、違いが分からず判断に迷うときもあります。特徴的な症状もありますが、人によってあらわれ方も異なるため、自分で見分けるのは難しいでしょう。軽症であれば、外出や人との接触を控え、自宅で様子を見るのも一つの方法です。ただし、高齢者や基礎疾患のある方は重症化するリスクもあるため、医療機関の受診をおすすめします。感染予防の対策は同じなので、日々の咳エチケット、うがい・手洗い、換気を心がけましょう。
夏風邪は、主に夏の環境を好むウイルスが原因で引き起こされる感染症です。風邪のもとになるウイルスは200種類以上あるといわれており、ウイルスの種類によって症状の現れ方や重症度が異なります。原因となるウイルスや症状、感染経路について見ていきましょう。
夏風邪を引き起こす代表的なウイルスは、エンテロウイルス・コクサッキーウイルス・アデノウイルスです。これらのウイルスは暑くて湿度が高い環境を好み、夏に活発になります。三大夏風邪といわれる、手足口病・ヘルパンギーナ・咽頭結膜熱(プール熱)の原因となるため、注意が必要です。
家庭内で感染するケースも多く、室内外の温度差や暑さによる疲労で免疫機能が低下しているときは、大人も感染する可能性があります。
夏風邪の症状は、発熱・のどの痛みといった風邪症状の他、口の中や手足の発疹・腹痛や下痢・目の充血などが見られる場合もあります。
夏風邪の感染経路は、主に「飛沫感染」「接触感染」「糞口感染」の3つです。感染者が咳やくしゃみをして飛び散った飛沫を吸い込んだり、感染者が使用したタオルを共有したりして感染します。手足口病やヘルパンギーナは、便に触れた手を洗わなかったり、飛沫で汚染されたおもちゃをなめたりして、感染が広がる恐れもあります。お子さんがいらっしゃるご家庭では、とくに注意しましょう。
夏風邪、新型コロナウイルス感染症、インフルエンザはウイルスが原因となり発症します。症状の出方は人により異なるため、誤った判断をしないよう注意が必要です。熱の出方や、発疹の出現が目安の一つになるかもしれません。夏風邪と新型コロナウイルス感染症、症状が似ているインフルエンザについても違いを見ていきましょう。
<夏風邪、新型コロナウイルス感染症、インフルエンザの違い>
夏風邪と新型コロナウイルス感染症は、初期症状が似ているため、症状だけで見分けるのは困難です両者の特徴的な症状を見ていきましょう。
症状の出方は人により異なり、特徴的な症状が生じない人もいます。周囲の感染状況を確認し、次の対処方法をとりましょう。
症状が軽症であれば、外出や人との接触を避け、自宅で様子を見てもよいでしょう。夏風邪も新型コロナウイルス感染症も、軽症であれば1週間程度で症状が治まるとされています。新型コロナウイルスのワクチンを接種した人は、発症しても軽くすむケースが多いです。
風邪の諸症状を和らげるために、市販の風邪薬を服用しても問題はありません。ただし、息苦しさ(呼吸困難)や高熱、脱水等の強い症状があるなら、医師にすぐ相談してください。
新型コロナウイルスに感染しているか確認したい方は、市販の抗原検査キットでチェックする方法もあります。検査キットは「研究用」ではなく国が承認した「体外診断用医薬品」または「第1類医薬品」を選んでください。
参照:新型コロナウイルス感染症の一般用抗原検査キット(OTC)の承認情報/厚生労働省もっとも確実なのは、医療機関の受診です。「高熱が続いている」「食事や水分がとれない」「ぐったりしている」といった症状があるときは、医師の診察を受けましょう。受診する際は、事前に連絡してから行くようにしてください。
また、以下の方は重症化のリスクがあり、注意が必要です。新型コロナウイルス感染症が疑われる際は、早めに医療機関に相談しましょう。
夏風邪も新型コロナウイルス感染症も、基本的な予防対策は同じです。「咳エチケット」「手洗い」「換気」を心がけましょう。
ウイルスの感染症は、咳やくしゃみの飛沫が感染源になりやすいです。他の人にうつさないために、咳やくしゃみをする際は、マスク・ティッシュ・ハンカチを使用して口や鼻を覆いましょう。咳やくしゃみが出そうなときは、周囲の人からなるべく離れるようにしてください。
参照:咳エチケット/厚生労働省手洗いをこまめにおこないましょう。ドアノブやつり革などに触れて、自分の手にウイルスが付着している可能性があります。とくに、外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前は忘れずにおこなってください。
窓を開けて換気をしましょう。エアコンの効いた場所では窓を開けたくないかもしれませんが、感染予防のためには重要です。1時間に2回以上、数分程度窓を全開にしましょう。空気の流れを作るために、2方向の窓を開けると効果的です。
夏風邪は、1週間程度で症状が軽快するとされています。軽症であれば自宅で様子を見るのも一つの方法です。水分や栄養をしっかり補給し、体を休めてください。風邪の症状でつらいときは、市販の風邪薬を使ってもよいでしょう。
通園・通学しているお子さんに症状が見られたときは、小児科を受診してください。学校安全法では、咽頭結膜熱(プール熱)に感染した場合、主要症状が消えたあと2日間を経過するまでは出席停止とされています。診断の結果を園や学校に報告すれば、感染の拡大予防に役立つでしょう。
参照:咽頭結膜熱とは/NIID 国立感染症研究所
新型コロナウイルス感染症は夏にも多くの感染者がいます。
初期段階での症状の現れ方は一般的な夏風邪やインフルエンザなどと似ているため、症状のみで見分けるのは困難です。
新型コロナウイルス感染症は重症化するケースもあるため注意しなければなりません。
現在、新型コロナウイルス感染症には重症化を予防する抗ウイルス薬も開発されています。抗ウイルス薬は発症してから内服するまでの時間に一定の制限があり、時間が経過してから内服しても十分な効果が出ない可能性があります。
今回ご紹介した重症化リスクに該当する方は、発熱、のどの痛み、倦怠感などの症状があるときはできるだけ早めに医療機関を受診して下さい。
一方で、重症化リスクがない方で軽症な場合は新型コロナウイルス感染症であっても特別な治療は必要ないケースがほとんどです。
自宅で様子を見ながら市販の解熱剤や症状を和らげるお薬を内服して様子を見れば十分な場合も少なくありません。ご自身の状態や症状に合わせてケアをしていきましょう。
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