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疲れやすい体質の改善は東洋医学で。おすすめの漢方薬・生活習慣・食事を、疲れの特徴ごとに学ぼう

2024/07/24

疲れやすい体質の改善には、根本的な疲れの解決を目指す東洋医学の漢方薬が役立ちます。疲れは、エネルギー不足(気の不足)・自律神経の乱れ(気の滞り)・血や水の不足で起こるため、気血水を補い、巡りをよくする漢方薬が役立つのです。
また、気血水のどれが乱れているかで、適した薬・生活習慣・食事は異なるため、自分の体質の特徴をしっかり確認してください。漢方に詳しい医師がいる医療機関なら、体質に合った処方をしてもらえるでしょう。

 

疲れやすい原因とは

現代には、疲れの原因が数多くあります。原因は複合している場合もありますが、おおむね以下の3つです。
栄養不足のときは、体が十分なエネルギーを維持できないため、疲れやすくなります。また、インターネットやパソコンで仕事の密度が高くなっている現代人は、休息が不足しがちです。常に緊張状態で気を張っているため、自律神経が乱れやすくなっています。

疲れやすい原因


  • ・栄養不足
  • ・休息不足
  • ・自律神経の乱れ
 

漢方薬と東洋医学について

漢方・中医学・アーユルヴェーダ(インド)など、アジアの伝統医学は、東洋医学とされています。中でも漢方は、中国から伝わった中医学が日本の風土に合わせて進化を遂げた、日本の伝統医学です。
漢方薬は漢方から生まれた薬で、目的に合わせてさまざまな効能を持つ生薬を組み合わせて作られています。東洋医学は、症状を抑えるだけでなく、体質を改善し、不調を根本的に治療するのが得意です。

関連記事:東洋医学とはどんな医学?なぜ注目されているの?東洋医学の歴史や発展と考え方について解説
 

漢方の視点から見た疲れと「気」「血」「水」

疲れは、気血水の乱れにより起こりやすくなります。各要素について、確認しておきましょう。 気血水は、十分に存在し、巡っているのが大事です。気血水が乱れているときは、疲れやすくなります。

気血水とは


  • ・気:体を温め動かすエネルギー
  • ・血:血液と血液が含む栄養やホルモン
  • ・水:血以外のすべての体液(体の潤い)

疲れやすさを招く気血水の乱れ


  • ・気の不足(気虚)
  • ・気の巡りの滞り(気滞)
  • ・血の不足(血虚)
  • ・水の不足(陰虚)
 

疲れやすい体質を漢方の視点で見る

一口に疲れやすいと言っても、体質ごとに特徴が異なります。気血水の乱れについて、ひとつずつ見ていきましょう。

気虚(ききょ)

エネルギー不足・栄養不足の状態です。休むと少し疲れがとれますが、体を動かすとまたすぐに疲れてしまいます。朝起きた直後は元気でも、少し動いただけで疲れてしまうのが気虚です。他にも、以下の特徴があります。

気虚の特徴


  • ・息切れ
  • ・声が小さい
  • ・食欲がない
  • ・風邪を引きやすい
  • ・舌に歯の跡がついている

気滞(きたい)

気の巡りが滞っており、西洋医学で言うところの緊張続きで、自律神経が乱れている状態に近いです。体を軽く動かすと疲れはよくなりますが、動かないと疲れが抜けません。朝起きてすぐに疲れを感じるときは、気滞の可能性が高いといえるでしょう。他にも、以下の特徴があります。

気滞の特徴


  • ・ため息が多い
  • ・胸の脇が張って痛い
  • ・お腹がガスで張る
  • ・イライラや落ち込みがある
  • ・喉がつかえた感じがある

血虚(けっきょ)

立ちくらみや、めまいを生じるケースが多く見られます。女性は、生理による経血が少なくなり、色は薄くなるのが特徴です。鉄欠乏性貧血も血虚のひとつですが、血虚は血液が含む栄養やホルモン全般が少ない状態と考えてください。他にも、以下の特徴があります。

血虚の特徴


  • ・顔色が蒼白
  • ・唇の色が薄い
  • ・爪が弱い
  • ・眠りにくく、寝ても夢が多い
  • ・舌が痩せている

陰虚(いんきょ)

体力不足を感じ、皮膚や粘膜が乾燥して便秘に悩まされるケースがほとんどです。他にも、以下の特徴があります。

陰虚の特徴


  • ・頬が赤い
  • ・のぼせ・暑がり
  • ・寝汗をかく
  • ・舌苔がない
  • ・口の中が乾く
 

疲れやすい体質を改善する漢方薬を紹介

とくに疲れやすい体質を改善するために、よく使われる漢方薬を紹介しましょう。同じ体質でも、どれくらい状態がよくないか、胃腸が弱いかどうかで、使う漢方薬は異なります。

気虚

気を補う漢方薬を使います。
食欲不振で胃腸がとても弱い人は、四君子湯(しくんしとう)がよいです。胃腸の消化吸収力を高め、体に栄養を補います。また、四君子湯に胃を動かす生薬を足した六君子湯(りっくんしとう)を使う場合も。食欲不振で体力不足なら、四君子湯をベースに、体力を補う生薬を足した補中益気湯(ほちゅうえっきとう)がおすすめです。
やる気が出ずボーッとするときは、帰脾湯(きひとう)を試してみてください。胃腸だけでなく精神にもエネルギーを補給し、元気にします。ドラッグストアで多く販売されている加味帰脾湯(かみきひとう)は、のぼせ・イライラによい生薬を足した薬です。

気滞

気の巡りをよくする漢方薬を使います。
加味逍遙散(かみしょうようさん)は、気の巡りをよくするのによく使われる漢方薬です。また、きゅう帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)や女神散(にょしんさん)は、気だけでなく血の巡りもよくしてくれます。
不眠・不安の症状には、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)や柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)がおすすめです。喉につかえた感じがあるなら、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)がよく使われます。
イライラには、抑肝散(よくかんさん)がよいでしょう。胸がもやもやして気分がすぐれないときは、香蘇散(こうそさん)を用いると気分が晴れます。

血虚

血を補う漢方薬を使います。
四物湯(しもつとう)は、血を補う基本の漢方薬です。気虚と血虚が同時にあるときは、四物湯に体力を補う生薬を合わせた十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)や、人参養栄湯(にんじんようえいとう)を使います。
血虚と気滞が同時にあるときは、四物湯に気血の巡りをよくする生薬を足したきゅう帰調血飲第一加減がよいでしょう。ただ、血を補う生薬は、胃腸に負担をかけてしまいます。胃腸が弱い人は、四君子湯をしばらく飲んで消化吸収力を高めてから、血を補う漢方薬を使いましょう。

陰虚

体の潤いを補う漢方薬を使います。
六味丸(ろくみがん)は、体の潤いを補う基本の漢方薬です。のぼせ・ほてりがひどいときは、六味丸に体を冷やす生薬を足した、知柏地黄丸(ちばくじおうがん)が向いています。粘膜の乾燥がひどいときは、六味丸に潤いを補う生薬を足した、味麦地黄丸(みばくじおうがん)がおすすめです。
ただ、潤いを補うのによく使う生薬「地黄」(じおう)は、胃腸に負担がかかります。胃腸が弱い人は、四君子湯をしばらく飲んで消化吸収力を高めてから、地黄を含む漢方薬を使いましょう。

 

疲れやすい体質を改善するには生活習慣の見直しを

体質ごとに、見直すべき生活習慣は異なります。生活習慣で気をつけるべきポイントを紹介しましょう。

気虚

こまめな休憩が必要です。睡眠時間はしっかり確保しましょう。食欲がない場合は、一回の食事の量を減らし、減らした分だけ食事の回数を多くすると胃腸に負担がかかりません。

気滞

ストレス解消に努めましょう。屋外での運動や大きな声を出すカラオケがおすすめです。また、漢方ではよい香りが気の巡りをよくすると言われています。好きな香りの香水やアロマオイルを生活に取り入れましょう。

血虚

夜は早く就寝してください。漢方では、血は眠っているとき、夜の早い時間に作られると考えます。また、ほうれん草・人参・黒豆・赤身肉・レバーなど、血を補う作用が強い食材を積極的にとりましょう。

陰虚

睡眠時間をしっかり確保してください。漢方では、眠っている間に潤いが補給されると考えます。汗は体の潤いになるため、汗をかきすぎる運動やサウナは避けましょう。

 

漢方薬は医療機関で処方してもらうのも可能

漢方薬は、医療機関でも手に入ります。漢方に詳しい医師なら、あなたにぴったりな漢方薬を選んでくれるでしょう。漢方の専門医は、日本東洋医学会のホームページから検索できます。医療機関で漢方薬を処方してもらうと保険が効くため、比較的安く手に入るのもメリットです。

リンク:漢方の専門医は日本東洋医学会
 
慢性的な疲れには漢方薬を使ってみよう

漢方の観点から見た疲れやすい体質は、「気虚かつ血虚、血虚かつ気滞」など、気血水の要素が複合する場合があります。複合した体質に合う漢方薬も種類が豊富にあるため、医療機関や、漢方専門の薬剤師がいる漢方薬局に相談してみてください。通販で漢方薬を買うなら、漢方薬の説明をよく読んでから選びましょう。

  • 田中彩

    アロマ・ハーブ・薬膳・漢方ライター田中彩

    「紅生姜」の名義でハーブ・薬膳・漢方を中心に書くWebライター。植物と昆虫の研究で修士号を取得。農分野で研究員として働いた経験とバイオ系で遺伝子検査や抗体精製などに関わった経験あり。 薬膳コーディネーター、メディカルハーブセラピスト、アロマ&ケアスペシャリスト、紅茶検定中級の資格あり。理系として、研究論文(英語含む)、書籍を参考に執筆するよう心がけている。