管理栄養士ライター高村恵美
12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。
暑い夏に、なぜか熱々のカレーを食べたくなる…。理由は、コンビニや飲食店に魅力的なメニューの品揃えが増えたり、汗をかいて体温を下げようとしたり、夏の冷えからの防御反応が関わっているようです。
具材にブロッコリーやパプリカといった夏野菜を使用したり、カレーを朝に食べると、身体を活動モードにして健康的な一日を後押ししてくれます。とはいえ、常温放置は危険なため、保存のコツはおさえておきましょう。管理栄養士おすすめ、ヘルシー志向の方に人気の素揚げ不要のレシピは、今夏に試したい一品なので、ぜひ試してみてくださいね。
夏は涼を求めてビールやアイスといった冷たい食品にそそられる一方、熱々のカレーを食べたくなる日もあります。要因は、どうやらスパイスにあるようです。
カレーには、クローブやシナモン・ターメリック(ウコン)といった数種のスパイスが使用されています。スパイスは、古来からマレーシアやインドネシアといった熱帯気候の国々の料理によく使われており、人々の健康維持に役立てられています。
熱くてスパイシーなカレーを食べて汗をかいた経験のある方は多いと思いますが、汗をかくと放熱されるため、体温が下がってくれるのです。「暑いのに、なぜか熱々のカレーが食べたい」と感じるのは、暑さに負けないために身体がスパイスを求めているからかもしれませんね。
夏は、暑さを和らげようと冷たい飲み物や食べ物を摂りすぎたり、冷房により身体が冷えがちです。胃腸が冷えると消化機能が低下するのに加え、冷房が効いた部屋と暑い屋外の往来により自律神経のバランスが乱れてしまいます。
辛くて熱いカレーを食べると身体の中から温まるので、夏の冷えから身を守るために本能的に欲してしまうのかもしれません。
夏の飲食店やコンビニでは、カレーの品揃えが多くなったり、夏野菜をふんだんに使ったカレーメニューが並び、人気を集めます。スパイシーな香りと彩り豊かな色彩に食欲が刺激される機会が増えるため、「カレーの気分」になる日が増えるのかもしれませんね。
夏の健康維持に役立つカレーは、食べるタイミングや栄養の組み合わせを工夫すると、より健康的に食べられます。意識したいポイントを確認しましょう。
朝食は、生活リズムをリセットする働きがあります。1日の始まりにカレーを食べると、刺激的な味わいと温かさにより身体が目覚め、活動モードへの後押しに役立つのです。
夏は暑さで食欲不振になりやすく、エネルギーが不足して体調を崩しがちです。エネルギー補給には糖質が適しているので、糖質を含むごはんやパン・麺といった主食を組み合わせましょう。
カレーは有用成分を含むスパイスを使用した健康的なメニューですが、スパイスのみでは栄養不足を補えません。栄養豊富な具材をチョイスして、夏の暑さを乗り切りましょう。
糖質をエネルギーとして使うには、ビタミンB1が必要です。しかし、ビタミンB1は水溶性なので、体内に溜めておけず汗と一緒に流出してしまいます。夏は、下記の食品を積極的に使いましょう。
アリシンは、ビタミンB1と結合すると水に溶けにくくなり、体内に留まる時間が長くなります。夏カレーの具材には、アリシンとビタミンB1を組み合わせましょう。
水溶性のビタミンCも、夏場は汗により損失しやすいビタミンの1つです。また、暑さや強い日差しで心身にストレスがかかると、消耗されてしまう栄養素なので、不足しないように摂取しましょう。
水溶性のカリウムも、夏場は汗により損失しやすいミネラルの1つです。カリウムが不足すると、足がつったり、だるさを感じるといった不調を招くため積極的に補いましょう。
クエン酸は、梅干しに代表される酸味成分の1つで、食欲がないときにおすすめです。梅干しを想像すると唾液が出てきますが、唾液は消化を助ける働きがあります。
「カレーは2日目がおいしい」と言われますが、適切に扱わないとウェルシュ菌が増殖して食中毒を引き起こすリスクがあります。ウェルシュ菌は、もともと土壌や動物の腸管内といった自然界に広く存在している細菌です。
加熱しても芽胞という殻を作って生き残る性質があり、12~50℃(とくに活発になるのは43~45℃)の温度帯になると、復活して増殖します。
カレーを調理後に常温保存していると、芽胞となり生き残ったウェルシュ菌が増殖して、食中毒を招くのです。下記の食中毒対策のポイントをおさえて、無駄なく安全にカレーを食べきりましょう。
夏場のカレーは作った日に食べきるのが望ましいですが、多めに作った場合は12~50℃(とくに活発になるのは43~45℃)になる時間を、短くする工夫が必要です。例えば、小さめの容器に小分けすると短時間で冷ませます。冷めたら、直ちに冷蔵庫で保存しましょう。
2日目以降のカレーは、よくかき混ぜながらグツグツするまでしっかりと煮込んでから食べましょう。加熱調理後に芽胞となったウェルシュ菌は、温度が低くなると、芽胞ではなく熱に弱い栄養体として存在しています。つまり、再加熱するとウェルシュ菌の数を減少でき、食中毒のリスクを減らせるのです。
面倒な素揚げは一切不要のお手軽レシピです。栄養豊富な夏野菜をたっぷり使い、スタミナ食材である豚肉と玉ねぎを組み合わせています。脂質や塩分が気になるカレールーを使用せずに、カレー粉と身近な調味料で仕上げたさっぱりヘルシーそうめんです。
世界中でカレーが愛され続けている理由は、おいしさやスパイスの有用性だけにとどまりません。調理の手軽さや、アレンジが自由自在な点、冷蔵庫に残った食材を使い切れるエコロジーさも魅力的です。具材が増えるほど、栄養価もアップするので一石二鳥ですね。
また、子どもが好きなメニューや、おふくろの味の代表格でもあり、「2日連続で食卓に出しても文句が出ない」という家庭も多いのではないでしょうか?料理の手間が省けて心強いですが、食中毒には要注意です。多めに作った日には常温放置せずに、衛生管理をして最後までおいしく食べきりましょう。
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