アロマ・ハーブ・薬膳・漢方ライター田中彩
「紅生姜」の名義でハーブ・薬膳・漢方を中心に書くWebライター。植物と昆虫の研究で修士号を取得。農分野で研究員として働いた経験とバイオ系で遺伝子検査や抗体精製などに関わった経験あり。 薬膳コーディネーター、メディカルハーブセラピスト、アロマ&ケアスペシャリスト、紅茶検定中級の資格あり。理系として、研究論文(英語含む)、書籍を参考に執筆するよう心がけている。
ペットボトルの水は区分が4種類あり、「ミネラルウォーター」はその中の1種です。どのペットボトルの水も、安全性は水道水と同程度ですが、一度開栓すると腐りやすく、保存が効きません。災害備蓄や保存目的なら、ペットボトルの水全般が適していますが、おいしさが目的なら、硬水と軟水を選び分けるとよいでしょう。健康が気になるなら、ミネラルが補給できる硬水や海洋深層水がおすすめです。目的に合わせて水を選びましょう。
ペットボトル入りの水は、すべてミネラルウォーターではありません。大きく分けて4種類あります。はっきりとミネラルウォーターと呼べるのは、1種類だけです。種類ごとの特徴を説明しましょう。
特定の水源から採取し、ゴミを沈殿・ろ過、加熱殺菌をした商品です。ミネラル分はあまり含まれていません。複数の水源の原水を混ぜている場合があります。
地層中のミネラルが溶け込んだ地下水(鉱化された地下水)を使ったナチュラルウォーターです。一般的なミネラルウォーターではありません。ナチュラルウォーターと同じく、ゴミの沈殿・ろ過、加熱殺菌のみ施してあります。複数の水源の原水を混ぜているケースも。
ナチュラルミネラルウォーターを原料とし、品質の安定や味調整のために、ミネラル調整や空気の溶かし込み(ばっ気)が行われています。複数の水源のナチュラルミネラルウォーターが混ぜられている場合も。もとからミネラルが含まれていても、あとから添加しても、どちらもミネラルウォーターです。ミネラルの種類や量によって、味が変わります。
最近話題のシリカ水も、ミネラルウォーターの一種です。シリカを多く含む水源の原水であれば、ナチュラルミネラルウォーターの場合もあります。
水道法で定められた基準により、飲用に適していると認められた水を容器に詰めた商品です。水道水と同等の基準(飲用適という基準)を満たしていれば、製造方法は問いません。水道水などをろ過、もしくは蒸留して得た純水を使っているケースがほとんどです。
水道局の広報のために、水道水をそのまま詰めて売っているボトルドウォーターもあります。海洋深層水は、ボトルドウォーターの一種です。
水は含んでいるミネラル分の量により、軟水と硬水に分かれます。ミネラルウォーターにも軟水と硬水があるため、2つの違いについて見ていきましょう。
軟水と硬水は、硬度によって分類されます。硬度とは、水が含むカルシウムとマグネシウムの総量を表す基準です。日本の基準では、カルシウムとマグネシウム総量が100mg/L未満なら軟水、100mg/L以上なら硬水となります。日本の水は、基本的に軟水です。
硬水と軟水の基準は、世界的にはもう少し厳密に、以下のように決められています。
軟水は、味にクセがなくさわやかです。一方、硬水は飲みごたえがあり、人によっては苦みを感じます。マグネシウムにより腸を刺激するので、お腹のすっきりを期待したい人におすすめです。逆に、下痢気味の人は避けたほうがよいでしょう。
最近、シリカ水や水素水が注目されています。さらに、以前から注目を集めている海洋深層水もあり、いずれも健康によいとされています。しかし、一部で疑問が示される場合も。それぞれの水の成分や特徴を知りましょう。
ミネラルの一種ケイ素を含む、ミネラルウォーターの一種です。水源によっては、ナチュラルミネラルウォーターとなります。
ケイ素は人の肌・髪・血管に含まれ、肌のハリに関わるコラーゲン・エラスチンを強化する作用があると言われる成分です。ただ、安全性に関するデータは十分でなく、摂取基準もとくに定められていません。
水素が溶け込んだ水です。水素は活性酸素と結合して、体の酸化を防ぐかもしれない、と言われています。ただし、水に溶ける水素はごく微量です。
また、水素はとても小さな分子なので、ペットボトルの壁を通って水から抜けてしまいます。実際、水素水を飲むときの水素含有量は、パッケージ記載の水素含有量より少ないと示したデータも。ペットボトルの水素水を飲んでも、十分な量を摂取できない可能性があります。
水深200m以下の海で採取された水を脱塩処理し、塩気を抜いた水です。日光が届かない深海の水は、性質が環境に左右されず、いつも安定しています。
また、日本の天然水があまり含まないリン・マグネシウム・カリウムといったミネラル分を数多く含んでいるのが、海洋深層水の大きな特徴です。
一番身近にある水道水と、ペットボトルの水はどう違うのでしょうか?両者の安全性・栄養分・保存性について説明します。
日本の水道水は、世界的に見ても質が高く、細菌や有害な重金属が含まれない水のみを使用しているのが特徴です。水道水が含む塩素は風味に影響するものの、殺菌効果が高く、水を腐りにくくします。ペットボトルの水も、信頼できる水源から取った水に殺菌処理を行い、無菌状態でペットボトルに詰めているため、開栓しない限り腐る心配はありません。
日本の水道水は軟水が多く、ミネラル分は少なめです。カルシウムやマグネシウムをより多く摂りたいなら、硬水のミネラルウォーター(または硬水のナチュラルミネラルウォーター)が向いています。
ペットボトルの水は無菌状態で詰めているため、開栓しない限り腐りません。一方、水道水は塩素で殺菌しているものの、水を放置していると塩素が抜けてしまい、殺菌効果がなくなります。つまり、ペットボトルの水のほうが長く保存できるのです。
ペットボトルの水は、種類によって長所が違うので、用途に合わせて選びましょう。健康面やおいしさで選ぶのはもちろん、近年では災害備蓄としても使用する方が増えています。
保存や備蓄には、ペットボトルの水全般が適しています。ただ、通常の商品だと、何年かするとペットボトルの壁を通して水蒸気が抜けてしまい、中の水が減ってしまいます。備蓄用に作られたタイプであれば、ペットボトルの壁が厚いので水蒸気が抜けにくく、水が減りにくいので5年以上保存可能です。
健康目的に水を選ぶなら、ミネラルウォーターが適しています。硬水のミネラルウォーターなら、カルシウムやマグネシウムをより多く摂取できるでしょう。
まろやかさや飲みやすさを重視するなら、軟水をおすすめします。日本の水道水は軟水が多く、日本人は軟水のほうを飲み慣れているためです。
重みがある水をおいしく感じるなら、硬水のミネラルウォーター(または硬水のナチュラルミネラルウォーター)がよいでしょう。一般的に硬水は飲みごたえがありますが、苦みを感じる人もいます。好みに応じて、硬水と軟水を選び分けてください。
ペットボトルの水の種類は多く、災害備蓄などに使うなら安価なペットボトルの水でもとくに問題ありません。より自分に合った水を選ぶには、味わいやミネラル分の含有量を考慮しましょう。ヨーロッパは硬水が多いため、フランスやイギリスで売られている紅茶をいれるときは、硬水でいれると現地の味を再現できます。また、マグネシウムには便を柔らかくする作用があるため、お腹のすっきりを期待したいなら、硬水を飲む習慣をつけてもよいかもしれません。
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