一級建築士・ライフスタイルライター神谷三理砂
住宅やインテリアの意匠設計に従事した経験を活かし、家の間取りやデザイン、インテリアなど住まいに関するコラムを多数手掛ける。ジュエリーデザイナーとしての経歴も長く、ファッション系コラムも執筆。最近は、より生活に役立つ記事を書きたいという思いから健康コラムに力を注ぐ日々。
刺繍や洋裁、家庭菜園といった手仕事を楽しむ暮らしを大切にしている。
目が開けられないほど光をまぶしく感じたら、白内障の初期症状かもしれません。白内障は、目の中の水晶体が濁って視力に影響を与える病気です。年齢を重ねるにつれて発症率が上がります。光に対して敏感になるだけでなく、目のかすみや視力の低下といった症状もあらわれ、症状の進行具合によっては点眼薬や手術による治療が必要です。目の変化に早く気付けるよう、こまめにセルフチェックをおこないましょう。
目の中にある水晶体を構成しているタンパク質が変性して、白色や黄白色に濁る病気です。水晶体は本来無色透明で、カメラのレンズのようにピントを合わせる役割をしています。ところが、白内障を発症すると、水晶体の透明度が徐々に失われて白濁していき、視力に影響を与えてしまうのです。原因は、外傷や薬の副作用・放射線・アトピー・先天性などさまざま。とくに多いのは、加齢によって生じるケースです。有病率は80代になるとほぼ100%といわれているため、老人性白内障とも呼ばれています。
白内障の初期段階では、ほとんど自覚症状が出ません。症状は徐々に進行していくため、見え方にもゆっくりと変化があらわれます。おもな症状として挙げられるのは、「光をまぶしく感じる」「目がかすむ」「視力が低下する」の3つです。
白内障になって水晶体が濁ると、光がまっすぐ網膜まで届かず散乱(乱反射)するため、まぶしく感じます。とくに、太陽光や車のヘッドライトに異常に反応し、弱い光でも影響するケースも。そのため、外出や車の運転に支障が出てしまいます。
白内障の症状が進むと、本来は無色透明の水晶体が白く濁っていき、光を透過しにくくなります。カメラのレンズが曇った状態と同様に、視界が白くかすんでスッキリ見えない状態に。
水晶体の濁りが強くなるにつれ、網膜に届く光の量が低下し、視力が少しずつ下がっていきます。ただし、多くの場合、水晶体の端から少しずつ濁っていくため、症状がよほど進行しない限りは視力の低下を感じにくいのが特徴です。
もしかして白内障かも?と気になったら、まずはセルフチェックをしてみましょう。あてはまる症状が2~3個見られたら、速やかに病院を受診してください。
水晶体が濁り、光が網膜にまっすぐ届かなくなると、光の散乱(乱反射)が生じてまぶしく感じます。晴れた日の屋外や逆光、夜間の街灯や車のヘッドライトに対して、目が開けられないほどのまぶしさを感じてしまうでしょう。
白内障により水晶体の濁りが進むと、視力が低下します。近視や老眼などとは異なり、メガネやコンタクトレンズでは、視力は改善されません。ただし、白内障以外の原因によって、視力が下がる場合もあります。
目がかすんで見えにくい、霧がかかったように見えるといった状態は、白内障の代表的な症状です。皮質白内障と呼ばれ、水晶体の外側の皮質から濁りがはじまります。加齢によって生じる白内障の中でも発症頻度が高く、濁りが水晶体の中央に達するまで自覚症状が出ないケースがほとんどです。
白内障は、片目ずつ進行するケースと、両目ともに進行するケースがあります。片目だけの場合は視力の低下に気づきにくいため、左右の見え方の違いや、視力が以前よりも下がっていないかを確認しましょう。
水晶体が濁ると、光の侵入が妨げられるため、薄暗いと感じやすくなります。とくに、ネイビーやダークブラウンといった暗い色は、見分けにくくなるでしょう。
水晶体が不均一に濁ると、片目で見たときに物が二重・三重に見えます。もし、両目で見たときに重なって見えたら、白内障以外の病気を疑ってください。
水晶体の中央の核が濁り硬くなっていく核白内障では、光の屈折率が変化し、近視が進行します。老眼が治ったと勘違いしたり、メガネやコンタクトの度数が合わなくなったりします。
近視・遠視・乱視・老眼といった屈折異常はメガネで矯正できますが、白内障は水晶体の濁りにより発症します。そのため、メガネでは症状が改善しません。メガネを変えてもすぐに合わなくなったときは、白内障の可能性があります。
白内障のおもな原因は加齢です。まれに若年層でも発症しますが、年齢が上がるとともに発症リスクが高まります。厚生科学研究班の報告によると、白内障の有病率は以下のとおりです。
普通自動車免許では、両目で0.7以上の視力が必要とされます。白内障はゆっくり症状が進むため視力の低下を自覚しにくく、視力検査を受けるまで気づかないのは珍しくありません。検査で不合格になったなら、一度病院で診てもらいましょう。
水晶体には神経や毛細血管が通っていないため、白内障によって目の痛みや充血といった症状はあらわれません。痛みや充血がある場合は、別の病気が原因となっている可能性があります。
白内障と緑内障は、どちらも視力に影響を与えますが、原因や治療法が異なります。白内障は、水晶体の濁りによって生じ、治療が可能です。一方、緑内障は、眼圧が上昇して視神経が損傷し、視野が狭くなる病気です。元には戻らないため、定期的に目のチェックをおこない、早期発見・早期治療ができるようにしましょう。
一度白く濁ってしまった水晶体は、自然治癒や自力での改善はできません。進行の程度によって、点眼薬や手術による治療をおこないます。
「症状が軽い」「手術が怖い」といったときは、点眼薬による治療をおこないます。ただし、現段階では、白内障を治す点眼薬は存在しません。あくまでも、白内障の進行を抑える程度なので、症状によっては手術が必要になります。
日常生活に影響が出るほど進行した白内障や、自覚症状がなくても失明のリスクがあるときは、手術をおこないます。メスで白目と黒目の境目に小さな傷口をつくり、機械を入れて白く濁った水晶体を超音波で砕いて取り除き、人工のレンズに交換。手術によって、白内障の症状はなくなります。
年齢を重ねると、誰もが発症する可能性がある白内障。症状はゆっくり進行するため、なかなか自覚できず、ものが見えにくくなると、つい「年のせい」と考えてしまいます。白内障は、見え方を定期的にセルフチェックして早期発見するのが大事です。もし、これまでとは違う変化や異常を感じたら、適切な対策を講じるために、一度眼科を受診しましょう。
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