パーソナルトレーナー・Webライター藤本千晶
一般の人から日本代表のアスリートまで幅広い人を対象にトレーニング・ダイエット指導を実施。
20年の経験とスポーツ科学修士を活かし、科学的根拠をもとに信頼性が高く、フィットネスに関する記事執筆を行っている。目標は一人でも多くの人が今よりも健康になることで、「面白い」記事執筆をすることを目標としている。保有資格はCSCS。
体が硬い運動初心者にとって、ヨガは難易度が高そうに見えるかもしれません。しかし、むしろ体力に自信がない人にこそ行って欲しいトレーニングです。自分に合ったポーズや方法で行うと、無理をせずにしっかりと体をほぐせて、体力向上にもつながります。
自宅で効果的に実践するために、ヨガの基礎知識・呼吸法・ポーズの種類・ポイントを知りましょう。さらに、初心者向けの解説動画を参考にして、動作・姿勢を確認しながら楽しく体を動かしましょう。
ヨガは、もともと古代インドで行われていた瞑想法です。ポーズをとることで体力向上が期待できるため、フィットネスとして注目されるようになりました。
自分に適した方法を選ぶために、ヨガの成り立ちや種類、メリット・デメリットを知っておきましょう。
ヨガはサンスクリット語で「つなぐ・つながり」を意味し、精神を統一して物質の束縛から解脱をはかる瞑想法です。古代インドから宗教的実践の方法として行われてきました。ヨガで行う呼吸法やポーズが健康に効果があると注目されると、フィットネスとして世界中に広まったのです。
世界で最も広く行われているのは、ハタ・ヨガです。ポーズと呼吸を中心に行い、身体面からアプローチをして心と体を整えるのが特徴です。身体機能の改善効果を狙いやすいため、フィットネスとして普及しました。
他にも、瞑想を中心としたラジャ・ヨガや、マントラと呼ばれるフレーズを唱えるマントラ・ヨガなどがあります。身体的な効果を狙いたい人は、ハタ・ヨガから始めると、望んだ効果を得やすいでしょう。
道具を使わずに体一つでできるのが、ヨガの大きなメリットです。マットがなくても、布団や床の上で十分に実施できます。激しい動きを行うポーズはほとんどなく、騒音の心配も少ないため、自宅で行うのにピッタリです。
効率的にトレーニングができるのも魅力の一つ。全身の筋肉を同時に使うポーズが多く、体幹を中心に筋肉を鍛えられ、関節の柔軟性も高められます。
デメリットは、局所的に鍛えにくい点です。ヨガは、全身の筋肉を同時に使うポーズが多いため、筋トレのように単一の筋肉だけを集中して鍛えるのが難しくなります。
ヨガを行う際は、メリット・デメリットを把握した上で行いましょう。
ヨガ初心者がスムーズにヨガを行うためには、呼吸法や適したポーズの選択が大切です。基本の呼吸法や初心者に適したポーズを知ってから行うと、効果を十分に出せるでしょう。
ヨガは、基本的に鼻から呼吸を行います。鼻呼吸は、口呼吸よりも体をリラックスさせ、筋肉を伸ばしやすくするからです。口呼吸は、口臭の原因や口元のたるみといった多くのデメリットがあります。できるだけ鼻呼吸を意識し、ゆっくりと長く行いましょう。
ヨガ初心者におすすめのポーズは、「臥位・座位・立位」です。
「臥位」は、床に横たわってポーズをとります。体幹を支える必要がなく、集中してポーズをとりやすいため、初心者におすすめです。
「座位」は、座ってポーズをとります。床による体幹の支えはなくなりますが、座ったまま安定しているため、初心者でも不安なく動作を行えるでしょう。
「立位」は、立ってポーズをとります。体幹を大きく動かすため、腹筋・背筋をより鍛えやすくなるのが特徴です。両足を動かさないポーズをとれば安定するため、初心者でも安心して行えるでしょう。
初心者は難しいポーズを行わないため、運動に適した服装であればどんなスタイルでもOKです。自宅で行うなら、Tシャツとハーフパンツでよいでしょう。ポーズの難易度を上げるタイミングで、伸縮性があり、汗が乾きやすい素材の服を選ぶと、快適に動けるでしょう。
ヨガ初心者がしっかりと効果を出すためには、ハタ・ヨガを週2回程度、夜のお風呂上がりに行うとよいでしょう。筋肉がしっかり伸びてリラックスし、筋力と柔軟性が改善され、睡眠の質が向上します。
ヨガを自宅で始めるなら、ハタ・ヨガを選びましょう。世界中で最も広く行われ、運動初心者向けのレッスンが充実しています。ポーズを中心に行うため、筋力の向上による引き締め効果や、柔軟性の向上による姿勢改善を狙えます。効果がわかりやすくモチベーションが保ちやすい点も、大きなメリットでしょう。
夜の運動は、朝や日中と比較して睡眠の質が高まりやすいと考えられています。睡眠の質が高まると、集中力の向上や脂肪燃焼の効果を得られるでしょう。
とくに、お風呂上がりで体温が上がっているタイミングで行うと、筋肉が伸びやすくなり、より高い効果を狙えます。
ヨガは、行った直後から柔軟性が向上します。しかし、期間を空けすぎると効果がなくなってしまいます。体の変化を狙うなら、週2回を目安に行いましょう。
参照:Yoga Is as Good as StretchingーStrengthening Exercises in Improving Functional Fitness Outcomes: Results From a Randomized Controlled Trial.ヨガは、体が硬い人や他の運動を行っている人ほど取り入れて欲しいトレーニングです。個々のレベルに合わせたり、さまざまな種類を組み合わせたりして行うと、より高い効果を得られます。
そもそも、ヨガのポーズは最初から完璧にできる必要はありません。体力レベルに合わせたポーズを行えば、十分に体力が向上し、継続によって徐々に難易度の高いポーズがとれるようになります。
逆にいえば、簡単なポーズでも体は柔らかく変化するため、体が硬い人は伸びしろがある状態です。積極的に行うとよいでしょう。
ヨガを他の運動と組み合わせて行うと、より大きな身体的効果が期待できるためおすすめです。たとえば、筋トレと組み合わせると、ヨガでは鍛えにくい局所的な筋を鍛えられ、身体機能の向上につながります。
逆に、筋トレしか行っていなかった人がヨガを始めると、柔軟性の改善が期待でき、今まで正しいフォームでできなかった筋トレのエクササイズができるようになるでしょう。
ピラティスは、ドイツ人の理学療法士であるジョセフ・ピラティスがリハビリの一環として始めました。一方、ヨガは心と体を統一するための瞑想方法で、目的がまったく違います。
ピラティスは身体機能の改善を主目的に、リフォーマーやラダーバレルと呼ばれる機器を用いつつ、参加者の身体状態に応じてプログラムが進行します。一方、ヨガは器機などを使うことは少ないですが、精神への効果を考慮してプログラムが作られます。
ヨガの初心者が自宅で行うのにオススメなのは、呼吸法を学びながら、体が振動せずに安定した状態で簡単にできるポーズです。動画を見ながら正しい方法で行いましょう。
1回の動画運動量の目安(※体重60kgの人の場合)
活動強度:2.5METs / 運動時間:1分(動画25秒から) / 消費カロリー:2.62kcal
立った状態で正しい呼吸方法を身につけるポーズです。すべてのヨガのポーズで使える呼吸法で、体をリラックスさせて筋肉を伸び縮みしやすくしてくれます。鼻で呼吸をしながら行いましょう。
1回の動画運動量の目安(※体重60kgの人の場合)
活動強度:2.3METs / 運動時間:1分(動画33秒から) / 消費カロリー:2.41kcal
お尻の外側にある中殿筋を伸ばすポーズです。椅子に座り脚を組み、ひじで膝を押しながら体をねじります。運動不足になると中殿筋が硬くなり、姿勢悪化や腰痛につながるため、寝る前にほぐしてあげましょう。
1回の動画運動量の目安(※体重60kgの人の場合)
活動強度:2.3METs / 運動時間:1分(動画の3分54秒から) / 消費カロリー:2.41kcal
お尻の最も大きな筋肉である、大臀筋を伸ばすポーズです。骨盤の傾きや背骨の並びに大きな影響を与えている筋肉なので、大臀筋が弱いと体の不調につながる可能性があります。
「健全なる精神は健全なる身体に宿る」といわれるように、体をよい状態に保つと心の健康も保ちやすくなります。運動をして体力が向上すると疲れにくくなるため、心の状態が悪くなりにくいと考えられているのです。
ヨガは、柔軟性だけでなく筋力や持久力アップといった、体力全般の向上が期待できます。道具が不要で、自宅で簡単に実践できるため、難しく考えずにまずは実践してみましょう。
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