監修医師成田 亜希子
2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。
国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。
現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。
一般的な感染症予防に有効な対策は、「手洗い・咳エチケット(マスク)・消毒」です。新型コロナウイルス感染症やインフルエンザといった感染症は、定期的に流行しています。病原体を「持ち込まない・持ち出さない・拡げない」のが、感染症対策の基本です。また、病原体と戦うためには栄養バランスの取れた食事と十分な睡眠、さらに腸活をプラスして免疫機能のアップを目指すのも大切です。また、同居家族が感染症にかかった場合は、通常の感染対策以外に、換気をして空気中の病原体濃度を下げましょう。
マスクや手洗いの習慣が薄れた結果、感染症は増えています。とくに、新型コロナウイルス感染症は5類に移行した後も、流行を繰り返している状況です。新型コロナウイルス感染症も別の感染症も目立った症状がないまま病原体をまき散らす可能性があるため、自分がかからない努力と、他人に感染させない努力が必要とされます。
参考:新型コロナ・季節性インフルエンザ・RSウイルス リアルタイム流行・疫学情報 厚生労働省は、感染対策の原則として、『すべての血液・体液・分泌物(喀痰等)・嘔吐物・ 排泄物・創傷皮膚・粘膜等は感染源となり、感染する危険性があるものとして取り扱う』としています。
咳やくしゃみによって目に見えないほど細かい飛沫が飛び散り、飛び散った飛沫の中にウイルスや細菌が含まれて病原体となるケースも。マスクは咳やくしゃみの飛沫が飛び散るのを抑えるため、感染症対策として効果的です。
感染症予防の三原則を踏まえ、普段から徹底したい対策は、「手洗い・咳エチケット(マスク)・消毒」です。夏にマスクを着用するのは暑くてつらいですが、ミント系のマスクスプレーや立体マスクを使うと、暑さを軽減できます。
石鹸をよく泡立て、手のひら・手の甲・指先・指の間・親指・手首の順で念入りに洗いましょう。石鹸がないときでも、流水で念入りに洗えば多くの病原体を減らせます。流水で洗った後、さらに消毒液を使用するとよいでしょう。
咳やくしゃみが出るときはマスクをつけるのが一番おすすめです。マスクがない場合は、ティッシュで口と鼻を覆い、人から顔を背けて咳やくしゃみをしましょう。使ったティッシュには病原体が付着している可能性があるので、すぐに捨ててください。
アルコールなどの消毒液は、指・手のひら・手の甲・手首に入念にすり込み、よく乾かしましょう。病院・スーパー・コンビニでは、消毒液が設置されている場合が多いので、積極的な活用をおすすめします。また、消毒液が設置されていないときのために、持ち歩きできる小分けの消毒液を常備しておくのもおすすめです。
感染症にならないためには、免疫機能をキープするための生活習慣が大切です。健康のための生活習慣が、そのまま感染症予防のための生活習慣となります。
免疫機能を維持するには、バランスの取れた食事と十分な睡眠が必要です。ビタミンやミネラルは免疫機能に関わっており、タンパク質は免疫細胞を作る材料となります。バランスのよい食事をとるのが難しいときは、栄養ドリンクやサプリメントで必要な栄養を補いましょう。また、腸内環境は免疫機能に深く関わっているため、「腸活」も免疫機能の維持に役立つと考えられています。
体の回復には十分な睡眠が欠かせません。 どんなに栄養バランスの取れた食事や腸活をしていても、睡眠が不足していると吸収した栄養を効率よく利用できない可能性があります。夜ぐっすり眠るために、睡眠ホルモン「メラトニン」の原料となるトリプトファン・ビタミンB6・炭水化物をバランスよくとりましょう。バナナは3つすべてが含まれる優れた食材です。また、大豆製品はトリプトファンが豊富なので、一日の食事で積極的に取り入れましょう。
夜ぐっすり眠り、食欲を出すためには、適度な運動が大事です。有酸素運動や筋トレがおすすめですが、普段運動不足の方はストレッチやラジオ体操から始めるとよいでしょう。激しい運動は眠る3時間前までに済ませておかないと、交感神経が刺激されて逆に眠りにくくなるため注意が必要です。
病原体に感染しないためには、マスクや手洗い以外にも気をつけるべきポイントがあります。空気中の病原体が増えやすい季節や、感染を防ぎたい人の年齢ごとに感染対策は少しずつ異なるため、今一度確認しておきましょう。
夏と冬は換気をする回数が減るため、空気中の病原体濃度が高くなりやすく、感染症にかかるリスクが高くなる原因の一つでもあります。積極的な換気を心がけましょう。換気は室内の二酸化炭素濃度を減らし、集中しやすい環境を作るため、仕事や家事の効率向上にも役立ちます。
小さな子どもは、自分でできる感染対策が限られてしまいますが、できる限りの対策を行いましょう。高齢者は、新型コロナウイルス感染症になると重症化するリスクが高いとされています。入念な感染対策を行いましょう。
小さな子どもにとって、自分で感染対策をするのは容易ではありません。そのため、親が助けて手洗いと消毒をしっかり行ってあげましょう。マスクは、小さいうちから慣れさせて、いつでもつけられるようにしてください。暑い季節は屋外にいるときは適度にマスクを外して熱中症対策も忘れないようにしましょう。
参考: 暑熱環境下における歩行時のマスク着用が生理量変化に与える影響の検討高齢者は感染症にかかると重症化するリスクが高いため、マスク・手洗い・消毒を徹底しましょう。老人ホームや病院などの施設では、面会者が『病原体を持ち込まない』を徹底するのが大事です。面会者もマスクを着用し、手洗い・消毒を徹底しましょう。
入院患者の感染症を防ぐには、面会者が『病原体を持ち込まない』を徹底しましょう。つまり、マスク・手洗い・消毒です。病院内での感染対策は医療従事者がきっちり行っているため、面会者が病原体を持ち込まないのが、最も重要となります。
自覚症状がなくても感染症にかかっていることもあるため、目立った症状がなくても感染対策は徹底してください。
同居家族が感染症になるケースは多く見られます。まだかかっていない人は、感染予防を意識しつつ看病しなければなりません。マスク・手洗い・消毒など、感染対策の徹底が求められます。
家族全員でマスクを着用し、可能なら子どもにもマスクを着用させましょう。子どもが使用したトイレや風呂場は、消毒してください。可能であれば、子どもにも手洗いと消毒を心がけさせましょう。
かかった人もかかっていない人も、マスク・手洗い・消毒を欠かさないでください。可能であれば患者とは部屋を分けて、トイレや浴室を使用したあとは消毒しましょう。また、患者が出した痰などをくるんだティッシュは、決して素手で触らないでください。痰には病原体が含まれています。
部屋の換気を心がけ、空気中の病原体濃度を下げてください。
新型コロナウイルスは、発症日を0日として、発症後10日まではウイルスを出しています。症状が軽快してから24時間するとウイルスの排出量は大幅に減ると分かっていますが、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患がある家族がいる場合は、10日ほどマスクを着用するのもおすすめです。 さらに、同居家族も、患者の発症後14日までは発症するリスクがあります。基本的な感染対策を心がけましょう。
新型コロナウイルス感染症の流行ピーク時には、しばしば病院や救急車の処理能力がパンクします。ブレインフォグや慢性疲労といった深刻な後遺症を引き起こす場合も。また、手足口病・帯状疱疹などは、大人がかかると症状が重くなります。感染症にかかってよいことはないため、予防を徹底し、とにかく『うつさない・うつされない』ようにするのが大事です。できる範囲で、マスク・手洗い・消毒を心がけましょう。
ワクチンがある感染症であれば、接種すると予防できたり、かかっても症状が軽くなったりします。病院と相談して、適切な対策をとってみてください。
新型コロナウイルス感染症への警戒が弱まってから、基本的な感染対策をしなくなった方も多いのではないでしょうか?
しかし、感染対策をする方が減り、人との接触の機会が増えたことで手足口病やインフルエンザなどの感染症も流行しやすくなっています。
新型コロナウイルス感染症が警戒されていた時期と同程度の感染対策を徹底する必要はありません。しかし、感染症にならないためにも周囲でなにか流行しているときは今回ご紹介した基本的な感染対策を心がけましょう。
また、とくに重症化しやすい高齢者や基礎疾患をお持ちの方は新型コロナウイルスやインフルエンザのワクチンを接種するのがおすすめです。
接種時期になったら医師に相談して早めの接種をしましょう。
各ブランドの商品一覧をご確認いただけます。