セラピストライター白井未奈子
サービス業を10年経験するなかで、リラクゼーション業務に出会い「人を癒す」ことに目覚める。
フリーランスに転向して以降は、ボディートリートメントとフェイシャルエステの知識を活かし、美容・健康系の記事執筆を中心に担当。今は手ではなく、文章で読者にくつろぎとすこやかさを届けることを目指している。
食欲不振・吐き気とは、主に食べすぎや飲みすぎ、ストレスが原因となる不調です。女性の場合、PMSにより引き起こされるケースも珍しくありません。多くは一過性で、胃腸薬などを服用したり、ゆっくり休んだりすれば、症状は徐々におさまります。ただし、頭痛・腹部膨満感・倦怠感を伴うなら、ほかの病気が隠れているかもしれません。自分の状態に目を向け、いざという時にどのタイミングで何科を受診するべきか、知識をつけておきましょう。
食欲不振とは、食欲が沸かない状態です。通常、食事をしていないと血糖値が下がり、空っぽになった胃が収縮すると、摂食中枢(食欲)が刺激され空腹を感じます。摂食中枢に異常をきたすと、脳が食欲を感じにくくなるのです。
食欲不振は、以下の症状を引き起こします。目安にしてみてください。
吐き気とは、胃のムカムカ感をはじめとする不快感を指します。通常、胃に入った食べ物は逆流しない仕組みです。しかし、食欲不振で嘔吐中枢が刺激されると、胃の内容物が逆流しようとしてしまい、吐き気へとつながります。食欲不振が吐き気を引き起こすだけでなく、吐き気から食欲不振へとつながる場合も。いずれにせよ、ますます食べるのが困難になると想像できるでしょう。
食欲不振と吐き気は一時的な症状で、時間とともに落ち着くケースが多いです。とはいえ、原因によっては放置すると危険な可能性もあります。十分な対策や心づもりをするために知っておきたい、食欲不振・吐き気の原因をみていきましょう。
食欲不振と吐き気を引き起こす代表的な原因は、食べすぎや飲みすぎです。食べすぎると、胃のはたらきが低下し、胃に食べ物が長くとどまるため、胃もたれといった不快感を覚えやすくなります。
また、二日酔いによる吐き気は、肝臓でアルコール処理が追いつかず、嘔吐中枢が刺激されて起こるのです。食べすぎ・飲みすぎによる食欲不振と吐き気がつらいときは、市販の胃薬を服用し、しばらく様子をみればおさまるでしょう。
ストレスや不安が蓄積されると、体を活発にする交感神経ばかり働き、消化吸収を助ける副交感神経のはたらきが低下します。結果、バランスが崩れて食欲不振・吐き気につながるのです。 緊張しやすい人や人間関係に悩みやすい人、責任感が強く真面目な人は、ストレスや不安による食欲不振・吐き気を引き起こしやすいでしょう。リラックスを意識し、適度にストレスを解消するよう心がけるのが大切です。
夏の暑さに弱い人は、夏バテや熱中症が原因かもしれません。夏バテは、水分・塩分不足だけでなく、屋内外での寒暖差といった自律神経の乱れから起こります。自律神経の乱れは、食欲不振・吐き気・だるさなど、複数の症状を同時に招きかねないのです。
夏バテを放置したまま運動や活動を続けていると、倦怠感や脱力感といった熱中症の症状につながりやすくなります。季節の変化により体調を崩しやすい人は、なるべく早い段階で涼しい場所に移動しましょう。
女性は、PMSが原因で引き起こされるケースも。PMSとは月経前症候群ともいわれ、生理前に起こる心身の不調を指します。食欲不振や吐き気のほか、腹痛・頭痛・首や肩のこりなど、PMSにより起こる不調は人それぞれですが、総じてホルモンバランスの乱れが大きく関係しています。心と身体をゆっくり休ませてあげると、食欲不振や吐き気も起こりにくいでしょう。
症状が長引くなら、胃や食道に病気が隠れているかもしれません。胃周辺に不調が起こると、消化機能が弱まって食べ物をうまく処理できなくなり、吐き気が起こりやすくなります。なかでも機能性ディスペプシアは、消化器官の機能低下・ストレス・内臓の知覚過敏など、原因が多岐にわたります。若い女性に多い病気で、検査をしても異常がみつからないケースも珍しくありません。腹部膨満感があり、原因不明の食欲不振・吐き気に悩む女性は注意しましょう。
また、「お腹は空いているのに、いざ食べると吐き気がする」なら、胃・十二指腸潰瘍の典型的な症状です。
食欲不振と吐き気に加え、ほかの症状がみられるときは、別の病気も考えられます。頭痛・体重減少・めまいが同時に起こっているなら、胃や食道以外に原因があるのかもしれません。+αの症状から考えられる病気をチェックしてみましょう。
頭痛を伴う場合は、うつ病を疑ってみてください。ほかの代表的な症状は、気分の落ち込みや意欲・関心の低下、不安感、焦燥感などです。ストレスによって自律神経が乱れると、発症しやすくなります。
「身体が重だるい」「すぐに疲れる」といった倦怠感を伴うなら、胃がん・ウイルス性肝炎・急性肝不全かもしれません。ウイルスや細菌感染、肝機能の著しい低下により起こります。
とくに胃がんは、早期の初期症状がほとんどありません。食欲不振・吐き気・倦怠感が同時にみられたら、できるだけ早い検査を検討しましょう。
食欲不振と吐き気に加え、げっぷが出るなら、逆流性食道炎かもしれません。たんぱく質もしくは脂肪分の多い食事による胃酸急増や、加齢・薬の副作用・ストレスの蓄積が主な原因です。若者から高齢者まで、幅広くなりやすい病気でもあります。
すっぱい液が喉まで上がってくる以外にも、胃液により喉を焼く感覚を覚えたり、腹部膨満感を伴うケースもあります。放置すると、食道がんを発症するリスクもあり要注意です。
体重減少が著しいときは、まず拒食症が考えられます。痩せに対する感覚がまひし、本人は異常な痩せ方をしていると感じていない方も多いです。必ずしも食欲がないわけではなく、過食気味の人も該当します。
また、胃がんによる細菌感染から体重減少を伴う場合もあるため、注意しましょう。
食欲不振・吐き気・めまいが重なっている場合、自律神経失調症が疑われます。頭痛・腹痛・ほてり・下痢といった複数の症状を伴うのが特徴です。
自律神経失調症は主に、「体質」「ストレス」「うつ病」といった、精神症状の3つから引き起こされます。
食欲不振と吐き気がなかなかおさまらないときは、医療機関の受診を検討しましょう。受診が推奨されるタイミングは、症状の出始めから2週間以上です。
もし続けて服用している薬があるなら、薬の副作用である可能性もゼロではないため、まずはかかりつけ医にみてもらいましょう。
「食欲不振と吐き気があっても、栄養をつけるために食べなきゃ!」と思ってしまうかもしれません。食事は必要ではありますが、無理に食べようとするとストレスがたまったり、嘔吐に発展したりと、逆効果になりかねません。
食欲がないときは、柔らかくて消化しやすい、喉越しがよいといった、胃や食道に負担の少ない食べ物を選びましょう。卵や豆腐をはじめとする、少ない量で栄養をとれる食べ物を積極的にとるのも一案です。
各ブランドの商品一覧をご確認いただけます。