監修医師成田 亜希子
2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。
国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。
現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。
二日酔いで吐き気・胸やけ・腹痛といった症状があるときは、症状緩和に効果的なセルフケアを試してみましょう。適切な食べ物や飲み物の摂取、ツボ押し、市販薬の服用など状況に合わせた対処法を実践すれば、症状の改善が期待できます。また、激しい運動や入浴、迎え酒は二日酔いを悪化させるおそれがあるため、控えるのも大切です。
飲酒量が増えがちな飲み会では、自分の適量に合わせて、飲みすぎないようにしましょう。
二日酔いの際は足りない栄養や水分を補うため、アルコールの分解を助ける食べ物や水分の摂取が大切です。症状が辛いときは、ツボ押しを試したり市販薬を服用したりするのもよいでしょう。無理せず安静に過ごすのが、二日酔いを早めに改善するポイントです。
状況に応じて適切なセルフケアを選択し、実践してみましょう。
二日酔いの症状を和らげるには、アルコールの分解を促進するために肝臓の働きを高める食べ物の摂取がおすすめです。たとえば、しじみやアサリの味噌汁を飲むと、貝類に豊富な「タウリン」により、肝臓の解毒機能をサポートする働きが期待できます。さらに、しじみには「オルニチン」も含まれており、肝臓の働きを助ける効果も。
また、タンパク質も肝臓の働きに必要なアミノ酸の元となるため二日酔いの症状緩和に有効です。鶏のささみ・納豆・プロセスチーズといったタンパク質が豊富な食品を食事に取り入れると、肝臓の機能を高める効果が期待できます。
アルコールには利尿作用があるため、飲み物による水分補給が重要です。水分が不足すると、頭痛・めまい・吐き気といった二日酔いの症状が現れやすくなります。
二日酔いの際には、適度な塩分と糖分が含まれており、体内に吸収されやすいスポーツドリンクがおすすめです。単に水分を補給するだけでなく、失われた電解質も補給できます。
また、肝臓の働きを高めるとされているビタミンEを手軽に補給できる野菜ジュースやトマトジュースもよいでしょう。ただし、スポーツドリンクや市販の野菜ジュースには糖分が多く含まれている商品もあるため、飲みすぎには注意しましょう。
二日酔いによる辛い症状を和らげるには、ツボ押しも効果があるといわれています。ツボを押す際は、強すぎず弱すぎない、心地よい程度の力で押すのがポイントです。
以下のツボは吐き気や頭痛に効果があるといわれているため、ぜひ試してみましょう。
胸やけ・胃痛・頭痛といった二日酔いの症状が辛いときは、市販薬を服用すると症状を和らげられます。
飲みすぎによる胃もたれや胸やけには、胃腸薬が有効です。アルコールを摂取すると胃酸の分泌が促進されるため、胃酸を抑える胃酸分泌抑制薬や、胃酸を中和する制酸薬を選ぶとよいでしょう。胃酸過多による胃痛がある場合は、胃粘膜の荒れを修復する胃粘膜保護作用がある胃腸薬が適しています。
また、頭痛に悩まされるときは、イブプロフェンやアセトアミノフェンが含まれている鎮痛剤が効果的です。
ただし、市販薬を服用する際は必ず用法・用量を守り、過剰摂取に気をつけましょう。特に鎮痛剤は胃の粘膜にダメージを与えるものもあります。イブプロフェンなど非ステロイド系の鎮痛薬は空腹時の服用は避けてください。
二日酔いからなるべく早く回復するには、身体を十分に休めるのが重要です。強い光や大きな音といった刺激は避け、静かで落ち着いた場所で過ごしましょう。身体を締め付けない楽な服装で横になると、ゆったり過ごせます。
また、休養を取りつつも、適度な水分補給や軽い食事を忘れないようにしましょう。バランスの取れた休養と適切なケアを組み合わせれば、二日酔いの症状をより早く緩和できます。
二日酔いの症状を和らげるには、アルコールの分解をサポートするビタミンB1を積極的に摂取しましょう。ほかに、ビタミンCにはアセトアルデヒドの分解を助ける作用、カフェインには血管拡張による頭痛を緩和する作用があります。
栄養素を多く含む食材を紹介するので、ぜひ意識的に取り入れてみてください。
アルコールを分解する過程で大量のビタミンB1が消費されるため、積極的な補給が重要です。ビタミンB1が不足すると糖質からエネルギーを作れなくなり、だるさや疲労を感じやすくもなります。
ビタミンB1を摂取するには、豚ヒレ肉のとんかつやうなぎのかば焼きを食べるのがおすすめです。また、カシューナッツにもビタミンB1が豊富に含まれています。お酒を飲む際におつまみとして一緒に食べると、二日酔いの予防になるでしょう。
ビタミンCには体の代謝をサポートする作用があり、二日酔いの症状を緩和するのに効果的な栄養素です。しかし、アルコールを摂取すると、体内のビタミンCが急速に消費されます。また、水溶性で体内に長時間とどまらず、尿として排出されやすい特徴も。お酒を飲む際には、意識的な補給を心がけましょう。
ビタミンCを多く含む食品には、キウイフルーツやいちごなどのフルーツがあります。赤ピーマンやブロッコリーといった野菜も豊富です。
ただし、ビタミンCは水に溶けやすい性質があるため、調理方法に注意しましょう。茹でると栄養が流出してしまうので、電子レンジでの加熱がおすすめです。野菜スープならば、溶け出したビタミンCも一緒に摂取できます。
カフェインには、二日酔いによる頭痛を和らげる効果が期待できます。アルコールの過剰摂取によって生じる頭痛の主な原因の一つは、アセトアルデヒドによる血管の拡張です。カフェインには脳の血管を収縮させる作用があるため、頭痛のつらさを軽減できます。
手軽に摂取するなら、コーヒーがおすすめです。ただし、胃腸への負担を軽減するために、牛乳や豆乳を加えてマイルドにしてから飲みましょう。
なお、カフェインには利尿作用があり、過剰に摂取すると脱水症状を引き起こすおそれがあります。二日酔いによる頭痛の原因には脱水も挙げられるため、カフェインの摂取は適量にとどめましょう。
二日酔いの際に誤った行動を取ると、症状を悪化させる可能性があります。激しい運動や入浴は、脱水症状につながるため避けましょう。また、二日酔いを長引かせる迎え酒も禁物です。
二日酔いのときに避けた方がよい行動を理解し、体調の回復を待ちましょう。
二日酔いのときは脱水状態を避けるため、激しい運動や入浴は避けた方がよいでしょう。大量の汗をかくと体内の水分が失われ、脱水による頭痛や吐き気といった症状を悪化させる可能性があります。
運動する際は軽いストレッチ程度に留め、入浴もシャワーで済ませましょう。どうしても浴槽に浸かりたいときは、ぬるめのお湯で時間を短くすると体への負担を軽減できます。
二日酔いの際に迎え酒をするのは、症状を悪化させるため避けるべきです。迎え酒をしてしまうと、新たに摂取されたアルコールを処理するために肝臓への負担が増し、アセトアルデヒドの分解も遅くなります。結果的に頭痛や吐き気が長引き、体調不良が続くでしょう。また、迎え酒を継続しているとアルコール依存のリスクも高まると考えられています。
二日酔いの際は体をしっかりと休め、アルコールの分解をサポートする食べ物や飲み物を摂取すると、回復も早くなります。
二日酔いを防ぐには、お酒を飲みすぎないのがもっとも重要です。体が一度に処理できる以上のアルコールを摂取すると、二日酔いが引き起こされます。アルコールの代謝能力には個人差があるため、自分にとっての適した飲酒量を知っておきましょう。
二日酔いを防ぐには、お酒と一緒に水を飲むのが効果的です。水分を適度に補給しながら飲酒すると、アルコールの摂取量を抑えられるほか、脱水症状も防げます。飲み会の際には適度なペースを心がけ、飲みすぎに注意しましょう。
二日酔いの明確な発症メカニズムは解明されていない部分も多いですが、以下のような要因が重なり合って生じると考えられています。
・アセトアルデヒドの蓄積
・脱水
・電解質バランスの変化
二日酔いを防いだり改善したりするには、アセトアルデヒドの分解を促進するために肝臓の機能をサポートする飲食、十分な水分と電解質の補給が大切です。
もちろん、ご自身の適量以上の飲酒を避けるのが最も重要ですが、体調によってはいつもの適量を飲んでいるにもかかわらず、二日酔いになってしまうケースも少なくないでしょう。
飲酒をするときは、今回ご紹介した対策を心がけて気持ちの良い翌朝を迎えてください。
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