監修医師成田 亜希子
2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。
国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。
現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。
「体がキンキンに冷える」「感覚を失うほど冷たい足先が気になる」といったお悩みを解消したいなら、今すぐできる対策はたくさんあります。諦めて放置してしまうと、さらなる悪化を引き起こしかねません。1杯の白湯を飲むところから1日をはじめるのがおすすめ。日中はカイロや保温素材の靴下をまとってみてください。座ったままや立ったままできるストレッチもあります。心身ともにあったかくなって、QOLを向上させてみませんか?
冷えの多くは生活習慣や体質によりものです。対策をしたとしてもすぐによくなるわけではありません。今ある冷えをやわらげ、さらなる悪化を防ぐ対策をチェックしてみましょう。
朝起きたら、まずマグカップ1杯の白湯を飲みましょう。睡眠中は体内の水分が失われやすいため、起床時にしっかりと水分補給すると血行悪化を防ぎ冷えにくくなります。起床時は体の負担になりにくい白湯がおすすめです。完成した白湯は10~20分ほどかけて、冷ましながら飲んでみてください。飲むタイミングは、起床後できるだけ早くがおすすめです。睡眠中に失われた水分を早く補ってあげましょう
季節を問わず、日中や夜間も乾燥した空気や空調の影響で体の水分はどんどん失われていきます。喉の渇きを感じる前にしっかり水分補給しましょう。
参考:「白湯を飲んで健康になろう!」/医療法人 高生会夜のお風呂は、40℃前後のお湯を満たしたバスタブにゆっくり浸かりましょう。手足が冷えやすい方ほど、お湯の設定温度を上げがちです。ですが、お風呂から上がったときの寒暖差と血管の収縮により、さらなる冷えを招きかねません。国土交通省では、「41℃以下で10分以内の入浴」を推奨しています。
心地よいと感じる温度には個人差があるため、体調なども考慮しながら適度な温度での入浴を心がけてください。入浴後は体が冷えやすくなります。しっかりと水気をタオルで拭き、靴下などを履いて足先を冷やさないようにしましょう。
また、足元に冷水をかけてから上がると血管が収縮して熱が逃げにくくなります。感じ方には個人差がありますが、不快に感じない方はぜひ試してみてください。
普段あまり運動をしない方や痩せ型の方は、積極的に体を動かしてみてください。手や足は筋肉量が少なく、ただでさえ冷えやすいパーツです。適度な運動で筋肉量をアップできれば、冷えにくい体に近づけるでしょう。
運動が苦手な方でも取り組みやすい、立ったまま・座ったまま・寝たままできる3つのストレッチをまとめました。
なるべく手間をかけずに足元をケアしたいなら、あったかグッズの活用がおすすめです。足先のあたため用に、靴下やヒーターを新調したい方も参考にしてみてください。
冷えた足先をつつみこんでくれるのが、保温効果のある素材を使った靴下です。タイトなつくりの着圧ソックスは熱を逃しにくく、蒸れて汗冷えを招きかねないため避けましょう。締め付けによる不快感が少なく、血行が悪くなりにくいゆったりとした履き心地のものを選んでください。ストッキングの下に仕込むなら、足裏の通気性に配慮したつま先だけの靴下も活用できます。また、寝るときは、つま先から熱を放出できるレッグウォーマーも試してみてください。
冷えた足元をあたためたいなら、靴下の足先の裏に貼るタイプのカイロが便利です。靴の中に敷くカイロも役立ちますが、蒸れてしまうと汗が冷えたときにかえって冷えやすくなる場合もあります。第二の心臓と呼ばれるふくらはぎに貼るのもよいでしょう。足先にはセルフケアに役立つツボがたくさんあります。ツボを目がけて貼ってみましょう。
「暖房が苦手」「暖房をつけると顔がほてる」といった方は、足元だけを効率的にあたためられるフットヒーターを導入してみてください。フットウォーマーとも呼ばれ、足元を囲うパネルタイプや、足をのせられるマットタイプ、足を差し込むこたつタイプなどがあります。いずれもデスクの下に忍ばせられるので、快適に作業できるでしょう。
「冷え=体質」と思われやすいですが、じつは生活習慣も影響します。足先の冷えに悩んでいる方は、心当たりがないか確認し、行動をあらためてみるとよいでしょう。
運動不足の状態が続くと、筋力を低下させ、足元が冷える原因に。とくにふくらはぎの筋力が低下すると、心臓に血液を戻すポンプの働きが弱まって血行が悪くなり、足先があたたまりにくくなってしまいます。寒い冬も暑い夏も、外に出るのが億劫になり、運動不足になりがちです。家の中でできる軽めの体操や筋トレ、ストレッチなどをうまく取り入れるとよいでしょう。
近年多くなっているのが、冷房による夏冷えです。外気温が40℃近くともなると、ガンガンに冷房を効かせる施設も少なくありません。外との温度差もよくないため、カイロやヒーターといったグッズを使った対策をするか、しっかりと職場や家庭内で温度交渉をしてみましょう。
夏に足先が冷える原因として、薄着もあげられます。暑さのあまり、ノースリーブにサンダルといった組み合わせで過ごす日も多いでしょう。寒暖差が7度を超えると、体温調整がうまくいかず、体のあたたかさを保ちにくくなるといわれています。夏に限らず、冬も寒暖差をつくってしまう服で出かけると、ますます冷えを招くため要注意です。
「男性より女性の方が冷えやすい」と考えられる理由は、筋肉量が少ない傾向にあるためです。脂肪は熱を持ちにくく、あたたまるのに時間がかかります。女性が冷えやすいのは筋肉量に差があるためです。
女性は足元の血行を悪くするパンプスを履く機会も多く、気づかないうちに冷えが悪化してしまうケースも少なくありません。女性が男性よりも冷えやすいのは体質や体格の違いです。冷えときちんと向き合い、うまく付き合っていくことこそQOL向上のカギでしょう。
体の冷えはむくみ、だるさ、頭痛、気分の落ち込みなど心身の不調のほか、肌や髪のコンディション悪化など美容にも大きな影響を与えます。
冷えの根本的な原因は血行の悪化ですが、足先はとくに血行が悪くなりやすい部位です。足先の冷えを自覚している方は今回ご紹介した対策を中心に、血行を改善するための生活を見直してみましょう。
しかし、冷えは次のような病気によって引き起こされる場合があります。
・貧血
・甲状腺機能低下症
・更年期障害
・低血圧
・子宮や卵巣の病気
・膠原病
適切な対策をしても冷えが改善しない場合は思わぬ病気が原因となっているケースもあります。
軽く考えずにできるだけ早めに医療機関を受診しましょう。
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