監修医師成田 亜希子
2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。
国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。
現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。
喉の乾燥対策には、加湿やこまめな水分補給、マスクの着用がおすすめです。乾燥の原因は、空気の乾燥や口呼吸、水分不足が考えられます。そのままにしておくと、他のトラブルが起きる可能性もあるため、早めに対策を。加湿器を使用するときは、湿度50~60%を目安にしてください。喉によい食べ物や飲み物で栄養補給するのも重要です。朝から寝る前まで生活の中で、喉のうるおいを保てるよう工夫していきましょう。
空気の通り道である喉や口は粘膜で覆われ、通常はうるおいが保たれています。しかし、空気の乾燥や口呼吸、水分不足といった原因により、乾燥してしまう場合があるのです。原因を詳しく見ていきましょう。
空気の乾燥は、喉が乾燥する原因の一つです。外気温が低くなる冬は、空気中の水分量も少なくなります。加えて、エアコン暖房の使用頻度も増えるため、乾燥しやすくなるのです。エアコンは暖房だけでなく、冷房でも使用するため、空気の乾燥は夏場にも注意しなければなりません。
喉が乾燥する原因には、口呼吸もあげられます。口呼吸になると、空気をそのまま取り込んでしまうため、喉や口の中が乾燥するのです。朝起きたときにイガイガや乾燥感があるときは、口を開けて呼吸している可能性が高いでしょう。マスクの着用によって口呼吸になる場合もあります。息苦しさから口を開けて息をするためと考えられます。長期間マスクを着用する習慣が身についている方は、マスクを外しても口呼吸になっている場合があるため注意が必要です。
水分不足も乾燥につながるため注意が必要です。冬場はとくに喉の渇きを感じづらくなり、水分の摂取がおろそかになります。いつの間にか水分不足となり、喉も乾燥するのです。
乾燥をそのままにしておくと、喉の炎症が起き、痛みや腫れにつながります。さらに、ウイルスや細菌を防御する力も弱くなり、感染症にかかりやすい状態に。起こりやすいトラブルを解説します。
喉が乾燥すると粘膜がダメージを受けやすくなって炎症が生じ、痛みや腫れが引き起こされます。
喉が乾燥すると、口の中の唾液も減少し、雑菌が繁殖しやすくなります。うるおいが不足していると、口臭が強くなりやすいです。
喉がうるおっていれば、体内に侵入したウイルスや細菌を体外へ追い出す線毛(粘膜に密生している細かい毛)がうまく機能します。しかし、乾燥すると線毛の働きが鈍くなりが低くなり、感染症にかかるリスクが高まるのです。
喉の乾燥は、痛みや口臭を招くほか、ウイルスや細菌に感染しやすくなるといったトラブルの原因となるため、日頃からの対策が重要です。「室内にいるとき」「外出時・外出先から帰ったとき」「寝るとき」にできる対策を紹介します。
自宅やオフィスにいるときは、加湿や水分補給を心がけましょう。カフェインを含まないお茶や水がおすすめです。
乾燥対策でよく使用されるのは、加湿器です。オフィスのデスクまわりでは携帯用の加湿器を使用してみましょう。水を入れたコップを置いておくのも方法の一つです。
喉の乾燥を防ぐには、水分補給も重要です。1日1.5~2L程度を、8~10回にわけて飲むようにしましょう。渇きを感じる前に飲むのがポイントです。しかし、冬は渇きを感じにくくなるため、時間を決めて飲むなど工夫してくださいね。
喉の乾燥対策は、外出時・外出先から帰ったときが大事なタイミングです。うがいをこまめにおこないましょう。小型のうがい薬を携帯するのも手です。
乾燥やウイルスが気になる時期は、マスクを着用して外出しましょう。感染症対策になるだけでなく、息に含まれる水分が逃げにくいため喉の保湿効果も期待できます。
人混みに出かけたあとはうがいをおこなってください。ガラガラ・ブクブクを合わせてうがいをしましょう。CPC(セチルピリジニウム塩化物水和物)が含まれるうがい薬は、喉や口を殺菌・消毒する働きがあります。口臭への一時的な効果も期待できるでしょう。
朝起きたときの喉のイガイガや不快感を防ぐために、寝るときにも対策をとりましょう。水を飲む、加湿器を使用する、マスクをして寝るといった方法を習慣にしてください。
寝る前に水分をとると、喉の乾燥対策になります。コップ1杯程度の水を飲むようにしてください。人は睡眠中も汗をかきます。加えて冬は空気の乾燥により水分が失われやすいため、意識して水分をとるのが大事です。
うがいは感染症対策ができるだけでなく、喉の保湿にも効果的です。イガイガするときは殺菌・消毒する働きや保湿効果のあるうがい薬を使っておこないましょう。
部屋の広さに合った加湿器を選ぶようにしましょう。定期的に掃除をおこない、衛生的に使用するのも重要です。室内の加湿は50~60%を目安にしてください。
マスクをして寝ると、自分の吐く息でマスク内部の湿度を保てます。睡眠中もうるおいが保たれ、寝起きのイガイガや乾燥感を軽減できるでしょう。布製のマスクや、耳が痛くなりにくく、肌ざわりのやわらかな不織布マスクを選んでみてください。
室内に濡れたタオルや洗濯物を干すと、水分の蒸発により湿度を上げられます。電気代の心配もありません。バスタオルなどの大きめのタオルを使用し、できるだけ自分の近くに干すとよいでしょう。
喉のうるおいを保つには、室内の加湿・除湿を適切におこなうのが大事です。タバコは避けてください。それぞれ詳しく見ていきましょう。
喉を乾燥から守るために、湿度は50~60%を保つようにしましょう。ただし、加湿しすぎると結露やカビの原因になります。可能であれば湿度計を使ってチェックするようにしましょう。
タバコは喉に刺激を与えます。煙にはニコチンやタールなどの有害物質が、200種類以上含まれ、まわりの人にも悪影響を及ぼす可能性があるのです。受動喫煙によって健康リスクは高まります。自分自身、家族の健康のためにも禁煙しましょう。とくに、子どもや妊婦さんの周囲ではタバコは吸わないよう注意してください。
参照:健康・快適居住環境の指針「健康を支える快適な住まいを目指して」平成28年度改訂版/東京都福祉保健局イガイガや痛みがあるときも、きちんと栄養をとりましょう。食事のポイントと喉によい食べ物を紹介します。
食事には体に必要な栄養のほか、水分も含まれています。飲み込むのがつらいときは、喉ごしのよい食べ物を選んでください。たとえば、卵や豆腐を使ったメニューやうどん、野菜を煮込んだスープです。プリンやアイスクリームを利用するのもよいでしょう。アルコールや辛い食べ物は刺激になるため避けてください。
喉によいとされる食べ物を、食事のメニューに取り入れましょう。おすすめの食べ物は以下のとおりです。
乾燥対策をおこなっても、喉の痛みや腫れ、不快感を生じるときがあります。以下の成分を配合するトローチを使用するとよいでしょう。トローチは、かまずにゆっくり溶かすのがポイントです。
空気が乾燥する秋から春先は、喉が乾燥しやすい時期。さらに、感染症も増加します。対策を生活習慣にすれば、喉がうるおい、外部からの異物の侵入を防げるでしょう。イガイガや不快感があるときは、早めに対処してください。水分補給や室内の加湿に加え、うがい薬やトローチも活用しましょう。対策をとってもよくならない場合は、耳鼻科または内科を受診するようにしてください。
喉の乾燥はイガイガ感や痛みを引き起こすだけではなく、喉のバリア機能を低下させて感染症のリスクを高めます。
秋から冬にかけての季節はインフルエンザなどの感染症が流行しやすい上に喉が乾燥しやすい時期です。日頃から喉の乾燥に注意しましょう。今回ご紹介したセルフケアを行い、喉の乾燥の予防・改善を心がけてください。
ただし、以下のような症状がある場合はセルフケアだけでは改善しない可能性があります。さらなる悪化を防ぐためにも、できるだけ早めに医療機関を受診してください。
・発熱がある
・痰や鼻水、鼻づまりがある
・咳が一週間以上継続している
・周囲に同じような症状の人がいる
日頃の対策と心がけで快適な季節を過ごしましょう。
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