看護師ライター北村由美
看護師として総合病院、地域病院、訪問看護ステーション等で約30年勤務。超低出生体重児から103歳の高齢者まで看護を経験。
自らが家族の介護を行う中「自分の知識、経験が困っている人の役に立てるのではないか」と考えるようになり、ライターを開始。「読者が共感できる記事」をモットーに医療・健康分野の記事、看護師向け記事を執筆している。
部屋の乾燥対策は、加湿器を使用する方法が一般的です。人が快適に感じる湿度は40~60%とされており、湿度を適切に保てれば、乾燥によるトラブルを避けられるでしょう。加湿は自宅だけでなく、オフィスや旅行先でもしっかりおこなってみてください。ただし、加湿しすぎは結露やカビの原因となるため、注意が必要です。冬だけでなく夏の乾燥も侮れないため、年間を通して対策をとるとよいでしょう。
空気の乾燥はさまざまなトラブルの原因となるため、一定の湿度を保つのが大切です。とはいえ、加湿しすぎると、カビやダニの発生原因になるため注意しなければなりません。
人が快適に感じる湿度は40~60%のため、湿度が40%以下になるときは、加湿器を使用しましょう。喉が乾燥しやすくなり、イガイガや痛みを感じてしまいます。乾燥を好むウイルスも活発になり、感染症にかかりやすくなるのです。
一方、60%以上ではカビやダニが発生しやすくなります。冬は加湿器を使う機会が増えますが、使い方によっては過剰な加湿になる場合も。また、外気温と室内気温の温度差によって、結露が発生しやすくなります。
夏と冬では、室内の望ましい環境が異なります。冷房使用時は室温25~28℃、外気との差は7℃以内を目安にしましょう。暖房使用時は室温17~22℃が望ましいです。
参照:健康・快適居住環境の指針「健康を支える快適な住まいを目指して」平成28年度 改訂版/東京都福祉保健局部屋の乾燥を調べるには、湿度計を利用するのがベストです。手元にないときは、氷水を入れたコップを利用してみましょう。氷水を入れたガラスコップを部屋に置き、5分以内にコップの外側に水滴がつけば、湿度が保たれた状態とされています。ホテルなど旅行先でも活用できる方法です。
部屋の乾燥対策を8つ紹介します。濡れタオルや霧吹きといった、加湿器を使用しない方法もあるため、オフィスや旅行先で試してみてください。
加湿器は、他の方法より加湿効果に優れています。タイプは4つあり、コストや手入れ頻度が異なるため、自分に合ったタイプを選ぶようにしましょう。
水に濡らしたタオルや洗濯物を干すと、水分が蒸発し、乾燥対策ができます。寝る前や旅行先のホテルでもおすすめです。扇風機やサーキュレーターと併用すれば、効率的に湿気を広げられます。
コップや洗面器などにお湯を入れて部屋に置くと、水分が蒸発し加湿されます。水よりもお湯が効果的です。やかんとコンロがあるなら、水を沸騰させて蒸気を出すのもよいでしょう。
鍋料理は、具材を煮込むときに湯気が出るため、乾燥対策にもなります。美味しいお鍋を食べながら、加湿対策もできるので一石二鳥ですね。
霧吹きでカーテンやラグマットに水分を吹きかけてみましょう。布地から水分が蒸発し、湿度を上げる効果が期待できます。量が多すぎるとカビの原因になるため、吹きかけるときは湿り気を感じる程度になるよう注意してください。
植物は根から水を吸い、葉から水分を蒸発させる働きがあるため、乾燥対策に役立ちます。とくに大きな葉を持つ植物を選ぶとよいでしょう。植物の蒸散は、夏に起こりやすいため、冬は他の方法と合わせておこなってみてください。
入浴後に浴室の扉を開けておくと、部屋に蒸気が広がります。短時間で加湿効果を得られやすいでしょう。ただし、設置状況によって火災報知器が反応するケースも。ホテルでは推奨していない場所もあるため、注意書きを確認しましょう。
オフィスでは、広さに合った加湿器の設置が難しく、十分な効果を得られない場合もあります。自分の周囲を加湿したいなら、携帯用加湿器を使用するのも手です。充電タイプ、USBやAC電源を使用するタイプ、コードレス充電タイプなどがあります。
部屋の乾燥は、主にエアコンによって引き起こされます。冷房と暖房では、そもそもの仕組みが異なるため、夏と冬によって乾燥を引き起こす原因は違うのです。
冷房によって部屋が涼しくなるのは、室内にある水分を外に放出する際の気化熱で、空気を冷却・除湿する仕組みのため。使い続けると室内の水分が奪われてしまい、湿度も下がって乾燥しやすくなります。
冬は、空気中に含まれる水蒸気量が減ります。加えて暖房使用すると、さらに乾燥しやすくなるのです。エアコンや電気ストーブは水蒸気が発生しないため、湿度が下がりやすくなります。室温が上がると、相対湿度(空気中に含まれる水蒸気の割合)が下がって、乾燥するのです。
部屋の乾燥対策をおこなわないと、トラブルの原因となります。喉のイガイガや肌トラブル以外に、火災のリスクも招きやすくなるため、注意が必要です。
喉や口は粘膜で覆われています。通常は潤った状態ですが、空気が乾燥すると、喉の乾燥につながり、イガイガ・乾燥感・痛みを引き起こします。
冬は、寒さと乾燥を好むウイルスが活性化します。喉が乾燥するとウイルスが侵入しやすくなり、感染症にかかるリスクが高まります。乾燥対策はウイルス対策にもなるため、うがいや手洗い、マスクの使用と合わせて適切に加湿するのが重要です。
空気が乾燥すると、肌の水分も蒸発し乾燥を招きます。潤いが不足し、カサつきやかゆみといったトラブルの原因に。乳液やクリームを使用し、保湿を心がけましょう。
1年を通じて火災が発生しやすいのは、暖房器具を使用する秋から春先です。火災の原因は、タバコの不始末だけでなく、ガスコンロ・ストーブ・コンセント差し込み口からの出火が多いです。空気が乾燥していると、炎が燃え広がりやすいため、火の元やコンセント類の取り扱いに注意しましょう。
ドアノブに触れたときや髪をとかしたとき、衣類を脱いだときにパチパチする静電気。部屋が乾燥すると、静電気も発生しやすくなります。湿度は40%以上保つようにしましょう。
乾燥対策をするときは、結露にも注意しましょう。結露は、空気中に含まれる水蒸気が外気と温度差のある窓ガラスなどで冷やされ、水滴になる現象です。建材や壁紙を痛め、カビを発生させる原因となります。結露しやすい場所と対策をチェックしましょう。
梅雨から真夏にかけては、高温多湿の外気が室内に入り冷房で冷やされ、壁面に触れて水滴ができます。
冬は外気温が低い状態です。室内の暖かい空気が、窓や壁に触れて温度が下がり、水滴になります。
結露しやすい場所は以下のとおりです。エアコンを使用するシーズンはとくに注意しましょう。
結露は、窓などについた水滴をこまめに拭き取るのが基本です。空気の流れもよくしましょう。加湿には洗濯物の室内干しが有効なときもあります。湿度を確認しながらおこなうとよいでしょう。
部屋の乾燥対策は、赤ちゃんからご高齢の方まで、健康に過ごすために重要です。加湿器がなくても身近にある物を利用すれば、どこでも対策ができます。紹介した方法を取り入れて、自宅以外の場所でもおこなってみてください。
また乾燥対策は、環境面だけでなく、適切な水分補給が欠かせません。ペットボトルで水分を持ち歩き、いつでも飲めるようにしておきましょう。1日1.5L~2L程度を目安にし、喉の渇きを感じる前に飲むようにしてください。うがいやマスクの着用も合わせておこない、乾燥するシーズンを乗り切りましょう。
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