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発熱の原因は主にウイルスや細菌感染。7つの感染性疾患と受診の基準をおさえ、経過に合わせたセルフケアを

風邪薬・解熱鎮痛剤COLD MEDICINE
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2024/12/04

発熱のおもな原因はウイルスや細菌による感染で、喉の痛みや咳といった、風邪に似た症状がみられます。つらいときもありますが、体を守るための正常な反応です。経過に合わせて対処するようにしましょう。また、突然の高熱やいつもとは明らかに様子が異なるときは、ウイルスや細菌感染以外の炎症や腫瘍も考えられるため、注意しなければなりません。激しい頭痛・腹痛をともなう場合や、症状がよくならない際は、医療機関を早めに受診しましょう。

 

発熱の原因3分類

発熱は、ウイルスや細菌感染で起こるイメージが強いですが、さまざまな疾患でみられます。感染・炎症・腫瘍の3つが代表的な原因です。詳しくみていきましょう。

感染による発熱

発熱する原因の一つは、ウイルスや細菌による感染です。ウイルスや細菌が体内に侵入すると、体を守るための反応として生じます。数日で治まれば、感染による可能性が高いでしょう。発熱以外の症状も、2週間程度で落ち着きます。

炎症による発熱

炎症とは、赤くなる・熱をもつ・腫れる・痛むといった症状で、ウイルスを排除するための反応としてあらわれます。たとえば、風邪をひいたときの、喉の痛みです。発熱は、全身症状として起こる場合もあります。
急性の炎症は、通常数日から数週間で落ち着きますが、症状が数週間以上続いたり改善と悪化を繰り返すときは、早めに医療機関を受診しましょう。

腫瘍による発熱

悪性腫瘍(がん)が原因で発熱するケースもあります。ウイルスや細菌感染ではない発熱で、37.8℃以上の発熱が1日1回以上ある、発熱が2週間以上あるといった場合は、悪性腫瘍の影響も考えられるでしょう。

 

発熱のメカニズム

私たちの体は通常、体温の調整機能によって一定に保たれています。しかし、ウイルスや細菌に感染すると、正常より高い温度に調整されて発熱します。
風邪を例にみていきましょう。喉の粘膜などからウイルスが侵入すると、排除しようとして、免疫機能が活性化します。さらに、体温を高い温度に設定してウイルスの活動を抑えるため、発熱につながるのです。
「発熱したとき無理に下げない方がよい」といわれるのは、体を守る反応のためです。

 

発熱がみられる7つの感染性疾患

発熱はおもに、感染・炎症・悪性腫瘍が原因となります。なかでもよくみられるのは、感染性疾患です。風邪と似た症状もありますが、疾患によって発熱の程度や症状は異なります。比較的起こりやすい7つについて、以下の表にまとめました。

感染性疾患
 

【経過別】発熱時のセルフケア

発熱の原因は主にウイルスや細菌感染。

発熱時には、経過に合わせてセルフケアをおこないましょう。悪寒などの前兆があるときは体を温め、上昇からピークをむかえたときは水分やビタミンCの摂取を意識してください。解熱後は体力が消耗しているため、ゆっくり休むのが大切です。

前兆があるとき

前兆として、寒気や悪寒(体がガタガタ震えるほどの寒気)がみられます。体温を上げようとしてあらわれる反応であり、体を温めるのが大切です。

発熱の前兆があるときのケア


  • ・ 重ね着や掛け物を増やして体を温める
  • ・ 室温を高めに設定する
  • ・ 体を冷やさない

上昇~ピークをむかえるとき

体温が上昇している間も、寒気は継続します。寒気が治まるまで、体を温めましょう。ビタミンCが失われやすいため、ビタミンCを含む食べ物や飲み物の摂取がおすすめ。

体温が上昇しているときのケア


  • ・ 水分をこまめにとる
  • ・ ビタミンCを多く含む果物や飲み物をとる
  •   果物の例:キウイフルーツ・かき・いちご・温州みかん・ドライマンゴー
  •   飲み物の例:アセロラジュース(10%果汁)・グレープフルーツジュース(濃縮還元)・オレンジジュース(濃縮還元)
  • ・ 体感に合わせ、衣類や掛け物を調整する

ピークをむかえたあと

ピークをむかえ、体温が下降するときは、大量に汗をかきます。着替えや汗の拭き取りをおこなってください。暑さを感じるようになるので、氷枕などを利用し冷やすとよいでしょう。

ピークをむかえたあとのケア


  • ・ 汗を拭き取り、着替える
  • ・ 水やスポーツドリンクで水分を補給する
  • ・ 氷枕や保冷剤を使用し体を冷やす:太ももの付け根やわきの下、首筋を冷やすと効果的(嫌なときは無理しない)
  • ・ 解熱鎮痛薬を使用する
  • ・ 市販薬は「使用上の注意」をよく読んで使用する

解熱後

ウイルスと戦ったあとで、体力は消耗しています。熱が下がったからといって無理をせず、ゆっくり休むようにしましょう。また、症状に応じてマスクの着用も大切です。

解熱後のセルフケア


  • ・ 消化のよい食べ物を食べる:おかゆやうどんといったメニューがおすすめ
  • ・ 引き続き水分摂取を心がける
  • ・ 咳やくしゃみ、鼻水、たんがある際はマスクを着用する
  • ・ 体力が回復するまで、スポーツや飲酒を控える
 

突然の高熱で救急車を呼ぶべき判断基準

突然の高熱時に、普段と比べて明らかに様子がおかしい、緊急性があると判断したときは、救急車を呼びましょう。激しい頭痛や腹痛、意識がないといった状態や、高齢者や妊婦の方は、より注意が必要です。

注意すべき高熱以外の症状

高熱以外で以下の症状があるときは、ためらわずに救急車を呼んでください。緊急処置や緊急入院を必要とするケースもあります。

救急車を呼ぶ必要があるとき


  • ・ 急な息切れ・呼吸困難
  • ・ 激しい頭痛
  • ・ 激しい腹痛
  • ・ 意識がない、またはもうろうとしている
  • ・ ぐったりしている
  • ・ けいれんが止まらない
  • ・ 冷や汗をともなうほどの吐き気
  • ・ 食事や水分を何日もとれていない

とくに注意が必要な人

以下に該当する人は、とくに注意しましょう。すでに重篤な状態であったり、重症化したりする可能性があるためです。かかりつけ医がある方は、医師に連絡をしてください。

とくに注意が必要な人


  • ・ 高齢者
  • ・ 基礎疾患がある(糖尿病や心臓疾患、慢性の呼吸器疾患などがある)
  • ・ 妊娠中
  • ・ 感染症にかかった人と接触がある
  • ・ 海外渡航歴がある
 

市販薬で様子をみてもよい範囲

発熱しても2~3日で落ち着くときは、市販薬で様子をみてもよいでしょう。意識がしっかりしている、排尿がある、食事や水分がとれているかもポイントです。ただし、市販薬の長期連用は避けなければなりません。5~6回服用しても症状がよくならないときや、発熱を繰り返すときは服用を中止し、医療機関を受診するようにしてください。

 

高齢者は発熱しない場合もある

高齢者は、感染しても発熱がみられないときもあります。全身の機能低下により、反応が起こりにくいためです。
感染初期には、日常動作の軽い変化しかみられないときがあり、発熱したときには、重症化している可能性も。高齢者がいらっしゃるご家庭では、普段から顔色や食欲、日常動作を確認するようにしてください。いつもと違う様子があるときは、早めに医療機関を受診しましょう。

 
症状が数日でよくならない場合は早めに受診を

発熱は、体内に侵入したウイルスや細菌から体を守る反応であるため、無理に下げると回復が遅れる可能性があります。まずは、十分な水分補給や栄養補給、安静を心がけましょう。症状を和らげるために、解熱剤や症状に合った風邪薬を服用するのも手です。急な高熱、発熱が3日以上続くとき、症状が悪化しているときは早めに受診してください。
また、発熱や風邪症状で受診する際は、医療機関に連絡のうえ受診するようにしましょう。健康で過ごすために、うがいや手洗いの習慣も継続してくださいね。

  • 北村由美

    看護師ライター北村由美

    看護師として総合病院、地域病院、訪問看護ステーション等で約30年勤務。超低出生体重児から103歳の高齢者まで看護を経験。
    自らが家族の介護を行う中「自分の知識、経験が困っている人の役に立てるのではないか」と考えるようになり、ライターを開始。「読者が共感できる記事」をモットーに医療・健康分野の記事、看護師向け記事を執筆している。