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発熱外来は感染症拡大を防ぐために設置される診療科。発熱がなくても対象となる症状や受診の流れをチェック

風邪薬・解熱鎮痛剤COLD MEDICINE
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2024/12/04

発熱外来とは、感染症拡大を防ぐために設けられる診療科です。新型コロナウイルス感染症の拡大以降、一般の診療科以外に設けられるようになりました。鼻水や咳、喉の痛みといった風邪症状がある場合も対象となります。受診する際は、電話やインターネットでの予約が必要です。通常の診察室とは別スペースで待機し、診察を受けます。目的や受診の流れ、診察内容を確認し、スムーズに受診できるようにしましょう。

 

発熱外来とは

発熱外来とは、発熱のある患者さんを診察する場所で、通常の診察室とは異なる場所に設けられます。設置目的と現在の状況をみていきましょう。

発熱外来の目的

発熱外来の目的は、感染症の拡大防止です。発熱したり、風邪の症状がみられたりする場合、ほかの患者さんへ感染させないように通常とは別スペースで診察します。
発熱外来は、SARS(重症急性呼吸器症候群)が流行したときから設置されるようになりました。SARSは、2002年に中国南部で報告されてから、東アジアやカナダを中心に32の地域や国々に拡大した感染症です。インフルエンザと似た症状がみられ、重症化するケースも報告されています。以降、新たな感染症が出たときに設置されるようになったのです。

参照:SARS(重症急性呼吸器症候群)とは/NIID 国立感染症研究所

発熱外来の現在

最近では、新型コロナウイルス感染症に対して発熱外来が設置され、受診できる医療機関は限られていました。2024年4月からは、通常の医療体制となり、一般の病院やクリニックでも受診可能となっています。
新型コロナウイルス感染症における医療体制移行は、下記のとおりです。

<外来の医療体制移行の変遷>
参照:新型コロナウイルス感染症に関する特例措置について/厚生労働省
 

発熱外来の受診対象となる症状

発熱外来の対象は、発熱・鼻水・咳・喉の痛みといった風邪と似た症状がある人です。感染症が疑われるため、ほかの患者さんとは異なる場所で診察を受けます。診察や検査結果により、他の診療科へ紹介される場合も。
以下の症状があるときは、発熱外来を受診するようにしてください。

発熱外来の受診対象となる症状


  • ・ 新型コロナウイルス感染症やインフルエンザにかかった人と接触したあと、体調が悪くなった
  • ・ 発熱している(目安は37.5℃以上)
  • ・ 鼻水や咳がある
  • ・ 全身の倦怠感がある
  • ・ 息苦しさがある
  • ・ 喉の痛みや違和感がある
  • ・ 味覚や嗅覚に異常がある
  • ・ 下痢や嘔吐がある
 

発熱外来を受診する流れ

発熱外来は、事前に電話連絡や予約をする必要があります。予約せずに行くと、すぐに受診できなかったり、断られる可能性もあるため注意してください。予約から帰宅までの流れをみていきましょう。

1.電話やインターネットで予約する

発熱外来を受診する際は、事前に予約をとりましょう。医療従事者が、受け入れ体制を整える必要があるためです。コロナ禍以降、インターネットで予約できる医療機関も増えています。予約時は以下について確認されるため、メモしておくとよいでしょう。

  • ・ いつから症状が出ているか
  • ・ 現在治療中の病気
  • ・ 過去にかかった病気
  • ・ かかりつけ医の有無
  • ・ 家族や会社などまわりの人で感染症にかかっている人はいないか
  • ・ 連絡先の電話番号

2.指定された時間、場所で待機する

指定された時間に、指定された場所で待機します。状況によっては、車での待機を指示され、車内で検査・診察するケースもあります。

3.医師の診察・検査を受ける

医師の診察と、症状に応じた検査がおこなわれます。診察前に新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの検査がおこなわれる場合も多いです。

4.帰宅する

医師や看護師から説明を受け帰宅します。薬が処方されたときは、薬局などで薬を受け取ってから帰宅しましょう。

 

発熱外来の診察・検査内容

発熱外来は感染症拡大を防ぐために設置される診療科。

医師の診察では、おもに問診や聴診、視診などがおこなわれます。順番や内容は医療機関によって多少異なるため、医療機関の指示に従ってください。

問診

問診は、病気を診断するために、体の情報を把握する方法です。診察室に入る前に「問診票」を書いた経験のある人も多いでしょう。現在の症状や過去の病歴、手術経験といった情報を記入します。
アレルギーの有無は、体に合った薬を処方するために欠かせない情報です。服薬中の薬があれば、お薬手帳を提示するようにしましょう。薬の飲み合わせによる問題を避けるために重要です。
医師にはできるだけ、正確な情報を伝えるようにしてください。

聴診

聴診は、体の状態を把握するために、医師が聴診器を使用して体内の音を聴く方法です。たとえば、咳や鼻水、息苦しさがあるときは、胸の音を聴きます。正常な音と異常な音を判別し、診断に役立てるのです。

視診

視診は、目でみて健康状態を把握する方法です。顔色や皮膚の状態、外見から得られる情報は数多くあります。意識がはっきりしているかどうかも、診断するうえで大切です。

触診

触診は、患者さんの体に触れて診察する方法です。問診や視診の情報をもとに、痛みがある場所や程度を確認します。たとえば、喉の痛みがある患者さんに対しては、耳の下や顎の下に触れて、腫れやしこりの有無をチェックしているのです。

検査

発熱外来では症状に応じて、採血やレントゲン検査などがおこなわれます。新型コロナウイルスの感染拡大以降は、PCR検査や抗原検査がおこなわれるようになりました。2つの違いは、精度とスピード。精度が高いのはPCR検査、結果が早く出るのは抗原検査です。また、抗原検査には定性検査と定量検査の2種類があります。

<PCR検査と抗原検査の違い>
参照:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針 第6版/国立感染症研究所・国立国際医療研究センター全国保健所長会・地方衛生研究所全国協議会・日本感染症学会・日本環境感染学会日本臨床衛生検査技師会・日本臨床検査医学会・日本臨床微生物学会・厚生労働省健康局結核感染症課
 

かかりつけ医がない人はどうすればいいの?

2024年4月以降は、一般の医療機関を受診できるようになりました。かかりつけ医がある人はかかりつけ医に、かかりつけ医がない人は、近くの医療機関を受診するようにしてください。各地域にある医師会ホームページで検索してみるとよいでしょう。症状に応じて、診療科を選んでください。たとえば、熱や咳の症状が強いときは内科、喉の痛みや鼻水でつらいときは耳鼻科を受診するとよいでしょう。新型コロナウイルスやインフルエンザの感染が疑われる場合は、市販の抗原検査キットを使用して確認しておくと、受診時に役立ちます。

 
発熱や風邪症状があれば受診前に必ず連絡を

新型コロナウイルス感染症の拡大以降、医療機関では感染防止対策を強化しています。発熱や風邪症状があるなら、受診前に必ず連絡するようにしてください。また、医療機関を受診する際は、感染の有無に関わらず、マスクの着用と手指消毒をおこないましょう。
冬は、インフルエンザの流行シーズン。風邪も、インフルエンザも、新型コロナウイルス感染症も基本的な対策は同じです。手洗いやうがいをこまめにおこない、換気を徹底しましょう。体調や状況に応じてマスクも着用してください。体調不良時に備え、市販の解熱鎮痛剤や風邪薬、抗原検査キットを準備しておきましょう。

  • 北村由美

    看護師ライター北村由美

    看護師として総合病院、地域病院、訪問看護ステーション等で約30年勤務。超低出生体重児から103歳の高齢者まで看護を経験。
    自らが家族の介護を行う中「自分の知識、経験が困っている人の役に立てるのではないか」と考えるようになり、ライターを開始。「読者が共感できる記事」をモットーに医療・健康分野の記事、看護師向け記事を執筆している。