ひどい手荒れを治すハンドクリームには、ひび割れ・皮むけをなめらかにするだけでなく、保湿と乾燥予防の効果があります。悩みに合う有効成分の特徴を知れば、自分に合うハンドクリームを選べるでしょう。また、毎日のケアを継続しておこなうためにも、コスパや使いごこち、香りも選ぶ上で重要な要素です。ただし、セルフケアしてよくならないときには思わぬ病気が潜んでいるかもしれないので、医療機関の受診をおすすめします。
手荒れの原因とは?
手荒れの原因はいくつかありますが、大きく分けて外的要因と内的要因に分かれます。手洗いやアルコール消毒、布などとの接触は外的要因になり、乾燥・アトピー体質は内的要因です。
手荒れは「手湿疹」とも呼ばれる頻度の高い疾患ですが、原因との接触を断てれば、改善できるといわれています。しかしながら原因を明らかにできないケースや、適切な予防がなされていない場合は治りにくく、治療が難しい状態です。
手荒れの原因
- ・外的要因:手洗いや水仕事、アルコール消毒、紙や布との接触
- ・内的要因:乾燥しやすい肌質やアトピー体質
参照:手湿疹診療ガイドライン/日本皮膚科学会
手荒れにハンドクリームがよい理由
ハンドクリームには保湿成分や油分が含まれているので、肌の水分量を保ち乾燥を予防する効果があります。ひび割れや皮むけが防げるのも、成分の薄い膜が肌に必要な皮脂やうるおいを封じ込めるからです。薄いベールは肌表面を包み、バリア機能の低下も防ぎます。アレルギーの原因物質、細菌やウイルスが体内へ入るのがブロックされ、肌を健やかに保てるようになるのです。
冬になると習慣でハンドクリームを塗る方は多いでしょう。肌の保湿や乾燥予防によい理由を知ると、よりていねいなケアにつながりますね。
ハンドクリームによく配合される有効成分
ハンドクリームには多種多様な成分が含まれており、特徴的なはたらきや役割を持っています。有効成分について知っておくと、自分にあったアイテムを選ぶときに役立つでしょう。
尿素
水分を保持し、乾燥を防いでしっとりさをキープするだけでなく、肌をツルツルにするはたらきもあります。
尿素が水分を保持できるのは、水分子と水素結合して混ざりあえるため。肌をなめらかにする角質溶解作用は、尿素分子がタンパク質分子の水素結合間に割り込んで構造を破壊し、角質を溶かす作用です。
グリチルレチン酸
グリチルレチン酸は生薬カンゾウ(甘草)に含まれる成分で、すぐれた抗炎症作用を持っています。湿疹・皮膚炎の外用薬や、口腔内殺菌トローチにも配合されている成分です。
参照:敏感肌に対するグリチルレチン酸ジカリウムの有効性/J-stageアラントイン
アラントインには傷んだ皮膚や粘膜の修復作用、抗炎症作用があります。傷部分に塗布すると、皮膚細胞の増殖作用が促進されて、皮膚の回復につながるのです。化粧水やリップクリームのようなスキンケア化粧品にも使われています。
パンテノール
パンテノールは、プロビタミンB5とも呼ばれる水溶性ビタミンの1つです。肌に浸透しやすく皮膚にうるおいを与え保護し、細胞から活性化するので組織修復を促します。また肌をなめらかにしてかゆくなりにくくする特長があり、かゆみ肌を元から治すのに適している成分です。
ヘアケア製品や目薬、ドリンク剤、身近な生活用品にも多く配合されています。
ピリドキシン塩酸塩
別名はビタミンB6です。アミノ酸・タンパク質の分解や生合成に重要で、脂肪の代謝にも関わります。肌のビタミンとも呼ばれ、組織修復のサポートが役割です。
ビタミンE
ビタミンEは、強い抗酸化作用のある脂溶性ビタミンです。血行をよくし、皮膚の生まれ変わりをサポート。さらに、メラニンの排出を促進します。
グリセリン
グリセリンは植物や海藻類、動物に含まれているアルコールの一種です。水分の蒸散を抑えるだけでなく、高い吸湿効果を持つので、外部から水分を引き寄せ、肌にうるおいを与えるはたらきがあります。
グリセリンが角質層の奥深い部分まで浸透でき、肌をしっかり保湿・バリア機能を保持できるのは、分子が小さいからです。継続使用すると、よりよい効果を期待できます。
ハンドクリームの4つの選び方
いざ購入するとなると種類が豊富なため、自分に合ったアイテムがわからず迷いますよね。ハンドクリームは配合されている有効成分により、効果に違いがあります。お悩みに合う成分やコスパといったポイントから、目星をつけてみましょう。
配合成分で選ぶ
配合されている有効成分はハンドクリーム毎に異なるため、あらかじめケアしたいポイントをおさえておきましょう。乾燥によるかゆみ、手指のあかぎれ、痛むひび割れなど、自分の手荒れ状態や悩みに合った成分が多く含まれるアイテム選びが大切です。
コスパで選ぶ
ハンドクリームを購入しても、使わなければ手荒れは改善しません。毎日継続していくためには、自身の予算感に合った製品選びも大切です。
日中はコスパがよい製品をマメにつけ直し、就寝前は少しリッチなアイテムでケアといった使い分けをしてみてもよいでしょう。
使いごこち(テクスチャー)で選ぶ
ハンドクリーム選びのときには、使いごこちも重要なポイントです。
デスクワークメインの人はベタつかないタイプが、超乾燥肌の人は特別にしっとりした製品がよいなど、好みはいろいろなはず。使用感がわからないときには、テスターの使用や、サンプルをもらったり一番小さいサイズをお試し購入してみましょう。
香りで選ぶ
仕事中はどうしてもストレスがたまりがち。気持ちをリラックスさせたり、落ち着かせたりするために、何度も塗り直すハンドクリームは好きな香りで選ぶのも大切です。
「自分の好きな香り」だと思い購入しても、ボディーソープや香水と混ざって想像とは違う香りになっている場合があります。香りに敏感な方はテスターで確認してから購入しましょう。
状況別おすすめの成分
手荒れの悩みだけでなく、状況に応じても成分を検討する必要があります。水仕事が多いなら表面に膜を張ってくれるワセリンなどを選びましょう。ベタつきが気になる方は、グリセリンを配合しているアイテムがおすすめです。
水仕事が多い人、アルコール消毒をよくする人
皮膚の表面に膜を張る効果がある成分を選びましょう。脂溶性ビタミンのビタミンEや、ワセリンなどを含有したハンドクリームがおすすめ。荒れた手を薄い油性の膜で覆い、肌を水・洗剤・アルコール・乾燥から守ります。
バリアの膜が、薬用成分やうるおい成分を閉じ込めて、角質層まで浸透させます。アルコール消毒剤と一緒に使うときは、消毒剤を乾かした後、使いましょう。
ベタつきが苦手な人
高濃度のグリセリン配合のアイテムは、濃厚ながらベタつかず、肌になじみやすく、長時間しっとり感が持続します。反対に、シアバターやワセリン入りハンドクリームは保湿力が高い反面、ベタつきが出やすいのが特徴です。
また、ジェルタイプはやわらかく水のようで、ベタつきにくい使いごこち。直後にパソコンを触っても、いつもと変わりません。
メンズ用ハンドクリームには、ベタつきにくい製品が多い傾向にあります。
継続的にケアしても手荒れがよくならないときは、内臓の病気の一症状として手荒れが起きるケースもあります。
たとえば、肝機能の低下で起こる手掌紅斑(しゅしょうこうはん)です。皮膚表面の毛細血管が変性して手が赤くなりますが、痛みやかゆみはありません。ほかにも、ゴットロン徴候や掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)の可能性もあります。
2週間ハンドクリームを使用して症状がよくならないか、悪化するときには使用を中止し、製品を持参して医師や薬剤師に相談してください。
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