黄砂で喉が痛くなる3つの原因
黄砂は、私たちの体にさまざまな影響をもたらすとされており、喉の痛みやイガイガした違和感を引き起こす場合もあります。おもな原因は、アレルギー反応と喉の炎症、喉の乾燥です。それぞれ詳しくみていきましょう。
黄砂に含まれる物質によるアレルギー反応
黄砂には、金属物質や大気汚染物質・ほこり・ゴミなどが付着しています。アレルギーの原因となる物質が含まれているため、黄砂を吸い込んでしまうとアレルギー反応を引き起こすのです。黄砂自体ではなく、付着した物質の影響と考えられています。
鼻水による喉の炎症
黄砂の影響で鼻水が増えると、喉の粘膜が傷つきやすくなります。進行すると炎症が起こり、痛みを引き起こします。
口呼吸による喉の乾燥
通常、鼻呼吸は、吸気を加温・加湿し、喉や気管を乾燥から守っています。しかし、黄砂の影響で鼻がつまると口呼吸が増えるため、喉が乾燥して痛みやイガイガなどを引き起こすのです。
黄砂の影響であらわれる他の症状
黄砂の影響であらわれる症状は、喉の痛み以外にもいくつかあります。スギ花粉の飛散時期に症状を訴える方が多く、どちらが影響しているのか自分では判別がつきにくいかもしれません。黄砂が原因で起こる症状は、以下のとおりです。
<黄砂の影響であらわれる症状>
- ・ くしゃみ
- ・ 鼻水・鼻づまり
- ・ 喉の痛み
- ・ なみだ目・目のかゆみ
- ・ 頭重感
そもそも黄砂とは?
春先になると、天気予報などで黄砂の情報を耳にしたことがある方は多いでしょう。黄砂とは、タクラマカン砂漠やゴビ砂漠で巻き上がった砂が、偏西風に乗って運ばれてきた砂です。金属物質や石英・長石といった鉱物を多く含んでいます。日本でのピークは3月~5月で、スギ花粉の飛散時期と重なるのが特徴です。地域別では、九州や中国地方で多く観測されます。日本では、自動車や洗濯物の汚れ、交通への影響が問題視されています。また、最近では日本や台湾・韓国での調査研究が進み、健康への影響についても報告されるようになりました。
黄砂と花粉の特徴
黄砂と花粉が引き起こすアレルギー症状は似ていますが、物質はまったく異なります。黄砂と花粉の違い、症状と発症時期の違いをみていきましょう。
黄砂と花粉の違い
発生源と飛散時期、大きさなどを比較してみました。大きさに注目してみると、黄砂は花粉の10分の1程度です。そのため、花粉よりも体に入りやすいと考えられています。
症状の違い
黄砂アレルギーと花粉アレルギーの症状は似ていますが、喉と鼻にあらわれる症状に違いがあります。症状には個人差があり、すべての人に当てはまるわけではありませんが、おもな違いは以下の表のとおりです。
黄砂で喉が痛いときの対処法7選
喉の痛みや違和感があるときは、うがいや水分摂取、トローチをなめるなど、ケアをしましょう。具体的な対処方法を7つ紹介しますので、ぜひ試してみてください。
1.うがいをする
喉の痛みがあるときや、外出からの帰宅後はうがいをしましょう。アレルギーの原因となる物質を洗い流すのに役立ちます。まずは口の中を軽くゆすいだ後、喉の奥まで届くように「ガラガラ」とうがいをするのがよいでしょう。うがい薬を使用するときは、CPC(セチルピリジニウム塩化物水和物)を主成分とした製品を選ぶとよいでしょう。喉に炎症を起こす細菌に働き、喉を正常な状態に保ってくれます。
2.水分をとる
喉の症状を和らげるには、水分補給も大切です。喉の渇きを感じる前に、こまめに水分をとるよう心がけましょう。
3.加湿する
室内を加湿して、湿度を40~60%程度に保つと、喉の乾燥対策になります。加湿器を使用する・濡れたタオルを室内干しする・コップに水を入れて置いておくなど、工夫してみましょう。
4.マスクをする
マスクを着用すると、黄砂の侵入をブロックするのに役立ちます。顔のサイズに合った製品を選びましょう。ノーズフィッターを鼻の形に合わせ、顔にフィットさせるのがポイントです。自分の息で保湿でき、喉の乾燥も防げます。
5.喉への刺激を避ける
喫煙やアルコールの飲み過ぎ、からい食べ物の摂取は喉に刺激を与えます。極力避けて、喉を安静に保ちましょう。
6.トローチをなめる
トローチをなめるのもよいでしょう。喉の炎症を抑える効果が期待できます。かみ砕いたり飲み込んだりせず、できるだけゆっくり溶かしましょう。
7.鼻炎用内服薬を服用する
くしゃみ・鼻水・鼻づまり・喉の痛み・頭重感といった、アレルギー症状があらわれているときは、鼻炎用内服薬を服用するのも手です。つらい症状を和らげる効果が期待できます。ただし、持病がある方、妊娠中や授乳中の方は使用できないケースもあります。ドラッグストアや薬局で購入するときは、薬剤師や登録販売者に確認するとよいでしょう。
生活でできる黄砂対策
黄砂による喉への影響を防ぐためには、「黄砂を付着させない」「室内に持ち込まない」「掃除をして除去する」など、生活面での対策も重要です。具体的な方法をみていきましょう。
黄砂を付着させない
黄砂が多い日は、可能な限り外出を控えたり、屋外にいる時間を短くしたりしましょう。外出時は、黄砂が付着しにくいナイロン製の上着を着る、帽子をかぶるなどの工夫が大切です。また、洗濯物は外に干さず、部屋干しするのも効果的です。
黄砂を室内に持ち込まない
外から帰った際は、玄関に入る前に服や帽子をはたいて、黄砂をしっかり払い落としましょう。さらに、家に入ったら最初に手洗いやうがいをおこない、体に付着した黄砂をよく洗い流してください。天気予報などで黄砂が多いと注意喚起されている日は、窓を開けないようにしましょう。
家に入った黄砂を除去する
窓や玄関の開け閉めで、黄砂が室内に入ってしまうときがあります。濡れぞうきんやウェットシートで、床の拭き掃除をしましょう。掃除のタイミングは朝がよいとされています。空気清浄機を活用するのもよいでしょう。
こんなときは医療機関の受診を
セルフケアで症状が改善しないときや、市販薬を5~6日間服用してもよくならないときは、医療機関を受診しましょう。
また、痛みの原因が黄砂や花粉ではなく、別の病気で起きている可能性もあります。つばを飲み込めないほど痛い、痛みで口を開けられない、息苦しさがあるといったときは、早めに受診してください。
春先の喉の痛みは専門家の判断を仰ぐのが重要
黄砂の多い時期は、スギ花粉の飛散時期と重なります。黄砂情報は、随時テレビやインターネットでチェックしましょう。症状は、花粉によるアレルギー反応や風邪の症状にも似ているため、注意が必要です。飛散量によって症状の強さが変化する場合は、黄砂が原因の可能性があります。とはいえ、症状には個人差があり、自分で判別するのは容易ではありません。適切な薬を服用すれば症状を和らげられるため、耳鼻科やアレルギー専門医のいる医療機関を受診するようにしましょう。
監修医師からのアドバイス
春のアレルギーといえば花粉症を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、春は花粉だけではなく黄砂が飛散する時期でもあります。
黄砂はそれ自体にアレルギーを引き起こすケースはないものの、ホコリや化学物質を含むためなかには重篤なアレルギー症状が現れる場合があります。また、症状の現れ方もスギやヒノキによる花粉症とは異なる点も多く、特に今回ご紹介した喉の痛みは典型的な症状です。
黄砂はPM2.5などの細かい粒子が含まれる場合があり、放っておくとCOPDなど重篤な呼吸器疾患を引き起こすことがあります。特に元々気管支喘息などの病気がある方、喫煙者の方は黄砂の影響を受けやすいため注意が必要です。
症状が風邪と似ているため軽く考える方も多いですが、セルフケアを行っても症状が改善しない場合には医療機関を受診してください。
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