監修医師成田 亜希子
2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。
国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。
現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。
黄砂による肌荒れは、ぶつぶつ・赤み・ヒリヒリ感が出やすいため、子どもから大人まで注意が必要です。また、花粉やPM2.5も、肌トラブルの原因となるケースがあります。
対策として、マスクやストールを使って顔や首周りを隠し、洗顔・保湿で丁寧にスキンケアをするのが効果的です。かゆみがひどいときは、塗り薬を使用すると症状の緩和が期待できます。症状が長引くときは、皮膚科を受診して専門医の診断を仰ぎましょう。
黄砂は肌荒れの原因となる可能性があり、とくに飛来量が増える春先は注意が必要です。3月~5月にかけてピークを迎える黄砂は、中国大陸のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠などから飛来します。強風で巻き上げられた土壌や鉱物の粒子が、偏西風に乗って空中を漂い、日本列島まで運ばれてくるのです。
黄砂を含んだ強い風にあたると、肌に付着した黄砂が水分を奪って乾燥が進行する場合があります。さらに、黄砂によってダメージを受けた肌はバリア機能が低下しやすく、肌内部の水分が失われた乾燥がどんどん悪化していくケースも多いのです。
また、体質によっては肌に付着した黄砂がアレルギーを引き起こすケースもあります。肌でアレルギーが生じるとかゆみや湿疹などの症状が引き起こされます。炎症が生じて肌の細胞にダメージを与えてしまうケースも。
黄砂が多い季節は、とくに肌のケアを心がけ、適切な対策をとりましょう。
黄砂による肌荒れは、顔や首といった露出している部分に現れやすいのが特徴です。乾燥で肌のバリア機能が低下すると、黄砂による刺激に対して過敏になり、赤みやぶつぶつ・かゆみ・ヒリヒリ感といった症状が出やすくなります。
症状を放置すると、化粧ノリが悪くなったり、普段使用している化粧品が肌に刺激を引き起こしたりする問題が発生する可能性も。また、かゆみが原因で無意識に肌を掻いてしまい、症状がさらに悪化するケースもあります。
肌荒れを緩和するには、保湿を意識したスキンケアを行い、肌本来のバリア機能を保つように注意を払うのがポイントです。
春先の肌荒れは、黄砂だけが原因ではありません。花粉やPM2.5による肌への刺激、気候変動による自律神経の乱れなどが挙げられます。快適な春を過ごすために、原因を理解して対策につなげましょう。
花粉は黄砂と同様に、肌荒れを引き起こす原因の一つです。花粉が飛散する時期は地域により異なりますが、とくに2月~4月にかけて飛散量が増加します。
バリア機能が低下した肌に花粉が付着すると、体質によってはかゆみや肌荒れといった症状を引き起こします。また、花粉が鼻に入ると、頻繁に鼻をかむ必要が生じ、ティッシュによる摩擦で鼻周りの肌が荒れたり剥けたりするケースも。
PM2.5は、黄砂よりも微細な大気汚染物質で、炭素成分やアンモニウム塩などの化学物質、ケイ素・ナトリウムといった無機元素で構成されています。粒子の大きさが2.5マイクロメートル以下と極めて小さいのが特徴です。黄砂同様に、バリア機能が低下している肌に付着すると、PM2.5に含まれる有害な物質によって炎症やかゆみの症状が現れるケースがあります。
春先は一日の中でも気温や湿度が大きく変動し、肌への負担が増大する季節です。気温の急激な変化によって自律神経バランスが乱れやすくなり、肌の状態に影響を与えます。
さらに、春は日差しが強くなり始め、紫外線量が増加するシーズン。紫外線による刺激が、寒暖差によってすでに不安定になっている肌のコンディションをより悪化させる可能性があります。
黄砂や花粉による肌荒れを防ぐために、外出時は顔や首をマスクやストールで覆い、帰宅後は丁寧に洗顔をして、付着した粒子をしっかり取り除きましょう。洗顔後は化粧水やクリームで保湿ケアを行い、必要に応じて塗り薬を塗布します。対策を組み合わせれば、春先の肌トラブルを効果的に予防できるでしょう。
肌荒れを予防するには、黄砂や花粉の付着を防ぐ対策が効果的です。マスクやメガネ・サングラスで顔を覆い、帽子で頭皮、ストールで首を隠すと、黄砂が直接肌に付着しにくくなります。
また、外出時の服装選びも重要です。黄砂や花粉が付着しやすいニットやコットン素材は避け、粒子が落ちやすいスベスベした素材の衣服を選ぶとよいでしょう。
黄砂や花粉が舞う季節は、丁寧な洗顔で肌を清潔に保つ必要があります。とくに外出後は、肌に付着した粒子を取り除くために、しっかり洗い流すのが大切です。
洗顔料はしっかりと泡立ててから肌に広げ、泡で優しく包み込むように洗いましょう。洗い流す際は、刺激の強いシャワーや熱いお湯を避け、手ですくったぬるま湯で丁寧に洗顔料を落としていきます。春先は肌が乾燥して敏感になりやすいため、優しいタッチで洗顔するのがポイントです。
保湿ケアは、黄砂や花粉による肌荒れを防ぐために欠かせない対策です。洗顔後は速やかに保湿を行い、肌のうるおいを保ちましょう。
化粧水で水分を補給した後、乳液やクリームといった油分を含む製品で水分を逃さないようにフタをします。すでに肌荒れの症状が出ているときは、肌への刺激が少ない製品を選び、優しくケアしましょう。
肌の状態に合わせて丁寧な保湿ケアを続ければ、黄砂や花粉による肌荒れを予防できます。
皮膚のかゆみや炎症が起こっているときは、塗り薬を使うと症状の緩和が期待できます。かゆいからといって、爪や指で掻くのは禁物です。肌を掻くと皮膚を傷つけてしまい、バリア機能がさらに低下して黄砂や花粉の外部刺激に対していっそう敏感になり、悪循環に陥りやすくなります。
かゆみを感じたら、早めに塗り薬を使用し、肌荒れの悪化を予防しましょう。以下の成分は、かゆみを抑えたり肌を保湿したりする効果があるため、塗り薬を選ぶ際の参考にしてください。
セルフケアを実践しても肌荒れが緩和されないときは、皮膚科の受診をおすすめします。皮膚科では、黄砂や花粉による影響だけでなく、他の原因による肌トラブルの可能性も詳しく診断が可能です。また、症状や原因に応じた適切な治療薬の処方により、症状緩和が期待できます。
健やかな肌を保つために、深刻な症状が現れたら、ためらわず皮膚科を受診しましょう。専門医による適切な診断と治療により、辛い症状が早めに和らぐ可能性が高まります。
春に飛散する黄砂、花粉、PM2.5などは肌荒れの原因になります。春になると乾燥肌や敏感肌、湿疹などの症状に悩まされている方はこれらの物質が原因かもしれません。特に粒子が大きく、肌へのダメージを引き起こしやすい黄砂には注意が必要です。
春の肌トラブルに悩まされがちな方は、今回ご紹介した対策をしてみてください。
また、化粧品を選ぶときにはヒアルロン酸などの保湿成分が多く含まれたものがおすすめですが、敏感肌に進行している場合にはアルコールや香料フリーなど肌への刺激が少ないものを選びましょう。
対策やセルフケアをしっかり行っても肌トラブルが続く場合は、塗り薬や飲み薬による治療が必要な場合があります。放っておくと肌の炎症による色素沈着やシワなどの原因になるケースもあるため、できるだけ早めに皮膚科を受診してください。
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