管理栄養士ライター広田千尋
病院、保育園、保健センターなどで13年間勤務。生活習慣病の方への栄養相談や、高齢者への栄養サポート、また赤ちゃんや子どもの食事相談など、幅広い年代の栄養サポートに携わる。現在は経験を活かし、フリーランスとして活動中。わかりやすく実践しやすいコラム執筆や、身近な材料で簡単に作れるレシピ作成を得意としている。
オートミールに含まれる栄養素・成分には、食物繊維・鉄・マグネシウムなどがあります。魅力的な栄養価を持つオートミールは、主食として食べられるため、毎日続けやすいのも特長のひとつ。調理が手軽なので、簡単に取り入れられる健康法・美容法として、人気が高まっている食材です。オートミールに期待できる働きや、足りない栄養素を知っておけば、さらに効果が高まること間違いなし!ほかの主食と比較しながら、オートミールのよさを探ってみましょう。
オートミールは「オーツ麦(えんばく)」を食べやすく加工した穀類です。
「栄養豊富」といわれるのは、外皮を残したまま加工されるから。同じ穀類である米や小麦は外皮が除かれますが、オートミールは外皮ごと食べられるため、健康食材として注目されているのです。
具体的にどのような栄養素が豊富なのか、詳しく見てみましょう。
オートミールの特長ともいえるのが、食物繊維の豊富さです。健康づくりを支えてくれるため、積極的に摂取したい成分といえるでしょう。
食物繊維は人の体内で消化されづらいため、糖や脂質の吸収を妨げてくれます。オートミールは糖質を含む食品ですが、たっぷりな食物繊維が魅力的です。
また腸内で便の材料となったり、善玉菌を増やすのを助けたりしてくれるため、腸の健康づくりにもぴったりです。
オートミールに豊富に含まれる鉄は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの材料となる、大切な栄養素です。オートミールなら主食から手軽に補給できるため、毎日欠かさずに鉄を摂取できます。
とくに月経のある女性は出血により鉄が失われやすいため、意識して摂りましょう。
「にがり」の主成分でもあるミネラルで、オートミールにも豊富に含まれているマグネシウム。骨や歯、筋肉に含まれており、私たちが元気で過ごすうえで欠かせない栄養素です。
最近では、マグネシウムの摂取が健康づくりに役立つのではないかとして、さまざまな研究が進められています。20歳以上の男女の平均的な摂取量を見ると、必要とされる推奨量に対して不足気味です。
精製された米や小麦にはあまり含まれない成分であるため、オートミールから手軽に摂取できるのも優秀なポイント。
オートミールとほかの主食と比べて、「1食あたり」のカロリーと炭水化物が控えめでありながら、食物繊維や鉄が豊富なのが特徴です。
健康食材として知られる玄米も、オートミールと同じように外皮ごと食べられます。しかし、玄米に比べてオートミールは、食物繊維、鉄ともに約1.3倍もの量です。一方で、カロリーと炭水化物は1/2以下となっています。
またオートミールはそのまま食べられたり、加熱時間が短く済んだりするため、調理が手軽な点でもほかの主食に比べて優れているといえるでしょう。
オートミールは食物繊維や鉄が豊富とはいえ、あまり含まれていない栄養素もあります。
たとえば、オートミールにはビタミンA・ビタミンD・ビタミンB12・ビタミンCといったビタミン類はほとんど含まれていません。またたんぱく質も、オートミールだけで1食分の必要量を満たす量ではないため、工夫が必要です。
オートミールとあわせて、下記の食材を取り入れてみましょう。
オートミールを初めて食べる方や食べ慣れていない方の中には、どのように食べるとよいかわからない方も多いのではないでしょうか。
食べ方や種類による違いを知っておけば、自分に合った方法で無理なくオートミールを続けやすくなります。
初めてでも食べやすいオートミールの種類は「クイックオーツ」「インスタントオーツ」「ロールドオーツ」があります。いずれも加熱しなくても食べられ、加熱する場合でも調理時間が短く済むため、取り入れやすいのがよい点です。
「クイックオーツ」「インスタントオーツ」は粘り気があるため、ドロッとした食感です。そのため、シリアルやリゾットに向いています。
スーパーによく置かれている種類であるため、手に入りやすいでしょう。
「ロールドオーツ」は粒が大きく、ほどよい粘り気であるため、ドロッとした食感が苦手な方におすすめです。
シリアルやリゾットにすると、クイックオーツやインスタントオーツに比べ、サラッとした仕上がりになります。またチャーハンやおにぎりといった、ご飯のような調理法も可能です。
パッケージに「ロールドオーツ」と種類が記載されているか「ご飯のように食べられる」といった記載がされているため、チェックしてみましょう。
もっとも基本といえる食べ方は「シリアル」です。牛乳や豆乳、ヨーグルトとオートミールを混ぜて、シリアルのようにして食べます。
オートミール自体に甘みがないため、はちみつやメープルシロップを加えたり、果物と合わせたりするとよいでしょう。
ほかにも、オートミールをご飯のように調理して食べる「ご飯系」の食べ方もおすすめです。オートミールの風味が気になりにくく、苦手な方でも挑戦しやすい食べ方でしょう。
雑炊、リゾット、チャーハン、混ぜおにぎりなど、いろいろなアレンジがあります。
オートミールの1食分の目安の量は「30~40g」ほどです。30~40gをシリアルやリゾットのようにふやかして食べると、ちょうど茶碗1杯分程度になります。
とはいえ、あくまで目安の量であるため、多少前後しても問題があるわけではありません。後述するように食べすぎに注意は必要ですが、自身に合った量を見つけてみましょう。
オートミールを取り入れるタイミングはいつでも問題ありませんが、迷ったら「朝」に取り入れてみましょう。
朝に食べると、間食や次の食事の食べすぎを防いでくれるため、カロリーが気になる方にぴったりです。
また、タイミングが決まっていると食べ忘れる心配がなく、習慣化しやすいでしょう。
オートミールを食べる際は、食べすぎに注意しましょう。
食物繊維が豊富であるため、食べすぎにより便のトラブルや栄養素の吸収を妨げるといった影響を引き起こしかねません。
先ほど紹介した目安の量を参考に、体の調子を確認しながら、最適な量を取り入れましょう。
オートミールは組み合わせる食材によって、美容や健康効果といった目的を強化できるのも魅力的な点です。アレンジ方法もたくさんあるため、好みの食べ方で続けやすい食材でもあります。今回紹介したアレンジ以外にも、パンケーキやクッキー、お好み焼きといったメニューも。
バランスのよい食事を心がけたうえで、オートミールを上手に活用してみましょう。
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