PM2.5とはそもそもなに?
PM2.5は大気中に浮遊する粒子で、粒の大きさが2.5μm以下の微小粒子物質を指します。おもな成分は、工場の燃焼物や自動車・航空機の排ガスなど、人間の活動により発生する物質です。土壌や火山といった自然現象も原因となる場合があります。粒子の大きさが非常に小さいため、肺に入りやすく、健康への影響が懸念されているのです。PM2.5は、環境基本法16条1項に基づき、健康維持に望ましい基準が定められています。
<PM2.5の環境基準>
- 1年平均値15μg/m3以下かつ1日平均値35μg/m3以下
参照:「微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報」/環境省
PM2.5は冬から春先が要注意
PM2.5は冬から春先にかけて濃度が上昇し、夏から秋にかけては比較的安定する傾向に。環境省の「令和3年度の各地域における日平均値が35μg/m3を超過した延べ日数」では、1~5月にかけて増えているのがわかります。
引用:令和3年度大気汚染(有害大気汚染物質等を除く)に係る常時監視測定結果/環境省
PM2.5と黄砂の関係
健康被害を引き起こす大気中の物質には、PM2.5だけでなく黄砂もあります。両者の違いと関係について見ていきましょう。
PM2.5と黄砂の違い
PM2.5と黄砂の大きな違いは、PM2.5が汚染物質として問題視されている点です。大きさ・発生源・成分・飛散時期も異なります。どちらも体内に入ると、健康被害が起こるとされています。違いは表のとおりです。
黄砂はPM2.5の濃度に影響を与える
黄砂とは、東アジアの砂漠から強風により大気中に舞い上がった砂が、偏西風に乗って運ばれ浮遊・降下する現象をいいます。日本に飛来する粒子は、おもに4μm程度の大きさです。一部2.5μm以下の微小粒子も含まれるため、PM2.5の濃度が上昇するとされています。黄砂が多い日は、PM2.5にも注意しなければなりません。
PM2.5が及ぼす健康への影響
PM2.5が及ぼす健康への影響は、おもにアレルギー症状や呼吸器系への影響があげられます。それぞれ見ていきましょう。
アレルギー症状
PM2.5による影響であらわれる症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・喉の痛み・目のかゆみなどです。粒子に含まれる大気汚染物質が症状の原因と考えられます。冬から春先に症状が見られるときは、花粉だけでなくPM2.5や黄砂の影響も考慮すべきでしょう。アレルギー性鼻炎の人は、PM2.5や黄砂によって症状が悪化する可能性もあります。
呼吸器系への影響
PM2.5の粒子の大きさは、髪の毛の太さの1/30程度です。非常に小さいため、肺の奥まで入りやすく、喘息や気管支炎といった呼吸器疾患が悪化しやすくなります。
すぐできるPM2.5対策8選
PM2.5の濃度が高いときは、外出しないのが効果的な方法です。とはいえ、学校や会社、行事などでなかなか難しいときもあります。大気汚染情報をチェックして行動する、外出時はマスクをする、外出時はツルツルした素材の衣服を着るといった方法をとるとよいでしょう。PM2.5対策は黄砂対策にもなります。
1.大気汚染状況をチェックして行動する
外出前に大気汚染状況をチェックし、対策をとるようにしましょう。環境省のホームページ、「微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報サイト」や、各自治体の関連サイトで情報を入手できます。また、国や地方自治体は、PM2.5のモニタリングをおこなっています。大気汚染物質の濃度は、環境省の大気汚染物質広域監視システム「そらまめくん」の速報値を参考にするとよいでしょう。
参照:微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報/環境省
参照:環境省の大気汚染物質広域監視システム「そらまめくん」/環境省
2.外出時はマスクを着用する
外出時はマスクを着用しましょう。マスクの着用によって、PM2.5の侵入をある程度減らせます。顔のサイズに合った製品を着用するのが大事です。サイズが合っていないと、鼻や頬とマスクの間にすき間ができて十分な効果が得られません。パッケージに「PM2.5対策」と表示のある、微粒子の捕集効率が高いフィルターを使ったタイプを選ぶのがおすすめです。
3.外出時はツルツルした素材の衣服を着る
外出時はPM2.5の粒子を落としやすいように、ツルツルした素材の衣類を着用しましょう。髪の毛に付着しないよう、帽子を被るのも効果的です。家の中に持ち込まないためにも、帰宅した際は玄関の外で払い落としてから家に入るようにしてください。
4.うがい・手洗いをする
外出によって、体にはPM2.5が付着しています。帰宅したらうがいや手洗いをしましょう。付着した微小粒子が洗い流せます。
5.窓の開閉は必要最低限にする
PM2.5による影響を防ぐために、窓の開閉は必要最低限にしましょう。換気する際はレースのカーテンを閉め、窓を10cm程度開けるようにしてください。家の中に入れないために重要です。
6.空気清浄機を使用する
空気清浄機を使用するのもおすすめです。ただし、PM2.5の除去性能は、機種によって異なります。「HEPAフィルター」を搭載したタイプであれば、PM2.5の対策に有効です。製品表示や販売店で確認するとよいでしょう。
7.洗濯物は室内干しする
洗濯物は外干しを避け、室内干ししましょう。外干しすると粒子が洗濯物に付着し、家の中に持ち込む原因に。室内干しで生乾き臭が気になる方は、室内干し用の洗剤を使用するとよいでしょう。
8.市販薬を服用する
くしゃみや鼻水・鼻づまりといったアレルギー症状が出ているときは、鼻炎用内服薬を服用するのも手です。アレルギーなどによるくしゃみ・鼻水を抑える成分や、鼻粘膜の充血やはれを抑え、鼻づまりを改善する成分などが配合されています。症状を緩和させたいときに使用してみましょう。
PM2.5に関するよくある質問
PM2.5に関するよくある質問をまとめました。アレルギー検査や治療方法の有無、とくにPM2.5に注意すべき人について回答しているので、ぜひ参考にしてください。
PM2.5のアレルギー検査はありますか?
現在、PM2.5のアレルギー検査はありません。花粉やダニによるアレルギーが否定されるときは、PM2.5または黄砂の影響が考えられます。
PM2.5のアレルギーを治療する方法はありますか?
くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった鼻炎の症状を緩和する薬が用いられます。PM2.5のアレルギー自体を治す薬はありません。
より注意が必要な人は?
呼吸器系疾患や循環器系疾患がある方は、PM2.5によって症状が悪化する可能性があります。また、小児や高齢者は、健康な成人と比べると影響を受けやすいケースも。濃度が高いときは、慎重な行動が求められるため、周囲の方は配慮するようにしましょう。
春先はPM2.5や黄砂情報に注意して行動しよう
冬から春にかけては、PM2.5の濃度が高い日もあります。黄砂の飛来時期とも重なるため、注意が必要です。体につけない・持ち込まない・吸い込まないを意識した対策をとりましょう。
PM2.5の濃度が環境省の設定する値を超えた場合、都道府県から注意喚起がおこなわれます。注意喚起がおこなわれた際は、屋外での長時間の激しい運動や外出を、できるだけ控えるようにしましょう。
PM2.5によってくしゃみや鼻水といった症状が出る方は、市販薬を服用すると症状を緩和できる可能性があります。ただし、市販薬を服用してもしても症状がよくならないときは、医療機関を受診するようにしましょう。
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