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【医師監修】風邪の症状と対策。新型コロナやインフルエンザも対応可能な基本ケアでウイルスから身を守る

2025/03/05

風邪の症状は、喉のイガイガ感や痛み、くしゃみなどから始まるのが一般的です。のちに、鼻水・鼻づまり、咳、発熱といった症状があらわれますが、症状の現れ方には個人差があります。ウイルスの種類によっては、下痢や嘔吐が見られるケースも。通常は1週間から10日で治りますが、症状が悪化する場合や長引くときは、医療機関を受診しましょう。
風邪を引き起こすウイルスは、変異を繰り返す場合があります。1年を通して、感染予防に努めましょう。

  • 成田

    監修医師成田 亜希子

    2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
    臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。 国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。 現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。

 

風邪とは

風邪とは、医学的には「風邪症候群」と呼ばれ、鼻や喉の粘膜にウイルスなどの病原体が付着して炎症を起こす病気です。感染すると喉の痛みやくしゃみ、鼻水、鼻づまり、発熱などがあらわれます。風邪を引き起こすウイルスの種類や割合、風邪のウイルスが引き金となる病気の最新状況を見ていきましょう。

風邪を引き起こすウイルス

風邪の多くはウイルス感染が原因と考えられており、原因となるウイルスは200種類以上あるといわれています。同じウイルスでもさまざまな型があるため繰り返し風邪をひくのです。

風邪を引き起こす代表的なウイルスは以下のとおりです。

ウイルス感染症の報告件数

NIID 国立感染症研究所では、毎週ウイルス感染症の速報データを更新しています。感染性胃腸炎は下痢や嘔吐を引き起こすウイルス性の感染症を指します。一般的な風邪とは異なる病気です。定点当たりの報告数とは、定点医療機関が1週間で診断した患者総数を、定点医療機関の数で割った数です。2024年第49週のデータを以下に示しました。


参照:IDWR速報データ2024年第49週「定点把握疾患(週報告)、報告数、定点当たりの報告数、都道府県別 CSV」/NIID 国立感染症研究所
 

風邪の症状と症状があらわれる順番をチェック

風邪の症状は、喉の痛みやくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどです。あらわれ方や程度に個人差があります。それぞれの症状と、症状があらわれる順番を見ていきましょう。

風邪の症状チェック

風邪の症状は、ウイルスから身を守ろうとするためにあらわれる、体の防御反応です。体がウイルスと戦うと、異物を出そうとしたり、炎症が起きたりしてさまざまな症状があらわれます。代表的な症状について詳しく見ていきましょう。

1.喉の痛み

喉の痛みは、ウイルスを排除するための免疫反応による「炎症」で生じます。炎症とは、赤くなる・熱を持つ・腫れる・痛むといった症状です。免疫反応によって、炎症物質であるプロスタグランジンの産生が促され、赤くなって熱を持ち、腫れを伴うケースがあります。

2.くしゃみ・鼻水・鼻づまり

くしゃみや鼻水は、ウイルスが鼻の粘膜に付着し、追い出そうとして起こります。ウイルスに感染すると、免疫反応によりヒスタミンと呼ばれる物質が産生されます。ヒスタミンは知覚神経を刺激して、くしゃみや鼻水といった症状を引き起こす物質です。
鼻づまりは、炎症によって鼻の粘膜が腫れ、鼻腔が狭くなるため起こります。空気が通りにくくなり、息苦しさを感じるでしょう。さらに鼻水がたまってくると、鼻づまりが悪化します。

3.咳・痰

咳や痰は、異物を排除しようとして起こります。喉が炎症を起こすと、粘膜から粘液が過剰に分泌され痰の量が増えるのです。また、炎症が進むと粘り気が強くなり、痰を排出するためにも咳が出ます。

4.発熱

ウイルスを排除するための防御反応の1つが発熱です。体温が上がると、免疫機能が活性化し、ウイルスの活動を抑えられます。私たちの体温調整は、脳の温熱中枢の指令によっておこなわれていますが、ウイルスを察知すると、体温のセットポイントが通常より高く設定されるのです。すると、血管は収縮し、熱を作り出そうとします。熱が上がるときに寒気や震えを伴うのは、こうしたメカニズムが原因です。

5.頭痛・関節痛

風邪で頭痛や関節痛が生じるのは、プロスタグランジンの影響です。プロスタグランジンは、炎症や痛みを引き起こし、「ブラジキニン」と呼ばれる痛み物質の作用を強めるとされています。ただし、風邪で頭痛になるメカニズムは明確になっておらず、さまざまな要因があるといわれています。

6.倦怠感

風邪をひくと、体がだるくなるときもあります。ウイルスを排除しようと体のエネルギーを使い、免疫機能が活性化されるためです。

症状があらわれる順番

ウイルスに感染してから1~3日で症状があらわれやすいですが、ウイルスの種類によって異なります。一般的な風邪は発症後2~3日頃がピークとなり、ひきはじめから約7~10日程度で症状は改善します。症状のあらわれ方には個人差がありますが、以下の順番で経過するケースが多いです。

<症状があらわれる順番>


  • ① 喉の痛みや不快感
  • ② くしゃみや鼻水・鼻づまり
  • ③ 咳や痰
  • ④ 発熱(高熱時は悪寒や関節痛を伴うときもある)
 

【タイプ別&特徴別】風邪の分類

風邪は症状の程度によって、「鼻風邪」「喉風邪」「咳風邪」と呼ばれるときがあります。また特徴によって「熱なし風邪」「長引く風邪」といわれる場合も。1つずつ詳しく見ていきましょう。

タイプ別の風邪

風邪の症状は、主に「鼻風邪」「喉風邪」「咳風邪」の3タイプです。タイプごとに症状や原因が異なります。

鼻風邪

鼻風邪とは、くしゃみや鼻水、鼻づまりを主症状とする風邪です。鼻の粘膜にウイルスや細菌が付着し、炎症が起きた状態で、「急性鼻炎」とも呼ばれます。ウイルスに感染すると、異物を排除しようとして免疫機能が活性化し、サイトカインといわれる炎症物質を産生します。サイトカインが鼻の粘膜で炎症を起こし、症状が起こるのです。炎症が進行すると、急性中耳炎や急性副鼻腔炎を発症するケースもあります。
一方、アレルギーや細菌などが原因となり、鼻風邪の症状があらわれるケースもあります。

喉風邪

喉風邪とは、喉の痛みや発熱を主症状とする風邪です。喉の粘膜にウイルスや細菌が付着して、炎症が起きた状態で、「急性咽頭炎」や「急性扁桃炎」などとも呼ばれます。人によっては、唾液を飲み込むのもつらく感じるほど、痛みが強くなるときもあるでしょう。

咳風邪

咳風邪とは、咳を主な症状とする風邪です。肺や気管を守るために、ウイルスや細菌といった異物を排除しようとして、咳が出ます。咳が出る病気は、風邪以外に急性気管支炎や気管支喘息、慢性気管支炎、胃食道逆流症などがあります。

特徴的な風邪

風邪は、特徴によって「熱なし風邪」「長引く風邪」と呼ばれるときもあります。他の病気を引き起こす原因になる場合もあり、注意が必要です。それぞれ見ていきましょう。

熱なし風邪

熱がない風邪は、一般的な風邪のケースが多いと考えられます。主な症状は、鼻水や鼻づまり、喉の痛み、頭痛です。痰を伴う咳があるときは、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の可能性があるため、医療機関の受診が推奨されます。

長引く風邪

風邪をひいている間に細菌の二次感染を起こすと、高熱が続くなど回復が遅れる場合があります。中耳炎や副鼻腔炎、気管支炎を引き起こすケースもあります。

 

風邪と似た症状があらわれる感染症と、見分けがつかないときの対処方法

風邪の諸症状は、風邪以外の病気で見られるケースも少なくありません。したがって、風邪か他の感染症か区別がつきにくいときもあります。他の感染症や、見分けがつかないときの対処法を見ていきましょう。

風邪と似た症状があらわれる感染症

風邪と似た症状があらわれる代表的な感染症は、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ、感染性胃腸炎などです。医師の診察や感染者との接触状況をもとに診断されるケースと、検査で診断されるケースがあります。違いを下記の表で確認しましょう。


風邪と他の感染症の見分けがつかないときの対処方法

風邪と他の感染症の見分けがつかないときは、周囲の人で感染している人がいないか確認してください。家庭や会社・学校で感染している人がいれば、うつった可能性が高いでしょう。ただし、感染していても症状が出ないケースもあるため、周囲に明らかな感染者がいない場合でも知らないうちに感染している可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザは、市販の抗原検査キットで調べられます。正しい診断を受けるには、医療機関での検査が必要です。

 

風邪の症状の対処方法

風邪は誰もが早く治したいと願う体調不良です。症状別の対処方法や市販薬を使用する際のポイント、ホームケアについて詳しく解説します。風邪をひいたとき、ぜひ参考にしてみてください。

症状別対処方法

風邪のときに起こりやすい症状は喉の痛みや、鼻水・鼻づまりといった症状です。それぞれの対処方法を詳しく解説します。とくに、風邪はひきはじめのケアが大事です。

喉の痛み

喉の痛みは、乾燥や刺激を避け、炎症を和らげるのが基本です。マスクの着用やうがい、こまめな水分補給をおこないましょう。部屋の加湿も効果的です。加湿器や濡れたタオルを干すといった対策をして、湿度を保つようにしてください。またタバコやアルコール、香辛料の刺激は避けましょう。殺菌成分を配合したトローチや喉スプレーもおすすめです。

参照:健康・快適居住環境の指針/東京都福祉保健局

鼻水・鼻づまり

鼻水・鼻づまりがつらいときは、蒸しタオルで鼻を温めると効果的です。また、全身を温めると血流がよくなり、鼻水も和らぎます。寒気や発熱がないときは、入浴で体を温めるのもよいでしょう。
寝るときは鼻の位置を高くすると、鼻づまりが楽になります。枕やクッションを利用して、上半身を少し上げて休むのも手です。

発熱

発熱時は経過別に対処するのが重要です。
熱の上がりはじめは、寒気や悪寒が見られます。体が体温を上げようとして起こる反応であり、体を温めるのが適切です。重ね着や掛け物を増やして様子を見ましょう。寒気があるときは、冷やさないように意識してください。必要に応じて、電気毛布も活用するのもよいでしょう。
熱が上がりきると、暑さを感じるようになります。氷枕や保冷剤で、太ももの付け根やわきの下、首筋を冷やすとよいでしょう。また、大量に汗をかくため、着替えや汗の拭き取りをおこなってください。水分の補給も忘れずにおこないましょう。熱を無理に下げる必要はありませんが、体力の消耗も考えられるため、市販薬を服用するのも手です。風邪による他の症状も和らげたいときは風邪薬、発熱や頭痛だけのときは解熱鎮痛薬を選ぶとよいでしょう。

咳・痰

咳や痰は、異物を取り除こうとして起こる反応であるため、無理に抑える必要はありません。とはいえ、咳はつらく、体力の消耗も考えられます。咳をするときは、小さく、細かくするのを心がけましょう。喉が乾燥すると咳が出やすくなるので、マスクをして粘膜の乾燥を防いだり、温かい飲み物を飲んだりするのも効果的です。水分をこまめにとると、痰がやわらかくなって出しやすくなります。喉によいとされている、ハチミツやキンカンを使うのもおすすめです。

頭痛

風邪で頭痛があるときは、頭を冷やすと症状が緩和されるケースがあります。氷枕や保冷剤をタオルでくるみ、頭の下に敷くとよいでしょう。解熱鎮痛薬を服用して、安静にするのも重要です。

下痢

ウイルスの種類によって、下痢が見られる場合もあります。脱水の恐れがあるため、水分を十分にとりましょう。スポーツドリンクや経口補水液がおすすめです。下痢止めを使用すると、回復が遅くなる可能性もあるため、自己判断での使用は控えるのが望ましいでしょう。
また、ノロウイルスに感染すると、短時間で感染が拡大する恐れもあります。便や吐物を処理する際は注意が必要です。厚生労働省のホームページなどを参考に対処するようにしてください。

参照:ノロウイルスに関するQ&A/厚生労働省

吐き気

風邪で吐き気があるときは、無理に食事を摂る必要はなく、こまめに水分を摂って脱水を予防しましょう。寝る際は、吐きやすいように顔を横向きにして休んでください。吐物を処理する際は、感染するリスクがありますので適切な感染対策をしっかりおこないましょう。

市販薬の選び方

市販の風邪薬はさまざまな種類があるため、何を選ぶとよいのか迷うときもあるかもしれません。症状に合わせて選んだり、製品タイプで選んだりするとよいでしょう。

症状に合わせて選ぶ

症状にあった薬を選ぶと、つらさを和らげられます。風邪の症状に効く成分例は以下のとおりです。

製品タイプで選ぶ

製品タイプに着目し、目的に合わせて選ぶのもよいでしょう。分類例は以下のとおりです。

風邪薬の正しい服用方法

薬は用法用量を守り、正しく服用しましょう。時間や服用する量を守らないと、効果が得られにくくなったり、副作用を生じたりする可能性があるので注意が必要です。注意点を解説します。

服用する時間や量を守る

服用時間や服用量は、パッケージや添付文書に記載されています。自己判断で時間や量を調整しないようにしてください。目安は以下のとおりです。

<薬を服用するタイミング>


  • ・ 食前:食事の30分から1時間前
  • ・ 食間:前の食事と次の食事の間
  • ・ 食後:食事の後30分くらいまで


水または温湯で服用する

薬は、コップ1杯程度の水または温湯で服用します。ジュースや牛乳などで服用しないようにしてください。

飲み忘れたとき、2回分まとめて服用しない

薬を飲み忘れても、次のタイミングでは1回分の量を服用しましょう。飲み忘れた分と合わせ、2回分をまとめて飲まないようにしてください。

風邪のホームケア

家庭の風邪ケアは、睡眠や休養、適切な栄養摂取、こまめな水分補給の3つが基本です。1つずつ解説しますので、風邪をひいたときはぜひ実践してみてください。

睡眠や休養を十分にとる

風邪をひくと、発熱や咳などで体力が消耗します。体力が消耗すると、ウイルスと戦う力も低下してしまいます。睡眠や休養を十分にとり、体を休めましょう。症状がつらいときは、市販薬を服用するのも手です。つらい症状を和らげられ、体力の回復を助けてくれるでしょう。

適切な栄養を補給する

体力の回復を助け、免疫機能を維持するために、食べ物や飲み物で栄養を補給しましょう。食欲が低下しているときは、卵うどんや卵がゆといった消化のよいメニューを選んでみてください。ネギやショウガといった体を温める食材もおすすめです。どうしても食欲がわかないときは、野菜ジュースやビタミン類を配合したゼリー飲料、ヨーグルトなどを利用するとよいでしょう。

こまめに水分補給をする

風邪の発熱や食欲不振によって、水分が不足しやすくなります。普段より多めに水分をとりましょう。喉の渇きを感じなくてもとるようにしてください。30分~1時間おきにこまめにとるのがポイントです。脱水が考えられるときは、吸収がよくミネラルも補給できるスポーツドリンクや経口補水液がよいでしょう。コーヒーや紅茶は利尿作用があるため、控えたほうがよいでしょう。

 

風邪が長引く原因と医療機関受診の目安

発熱が長引く原因は、自律神経バランスの乱れや、他の病気の可能性も考えられます。原因や医療機関の受診目安を見ていきましょう。

風邪が長引く原因

自律神経のバランスが崩れているときは、風邪の症状が長引きやすいでしょう。また、他の病気にかかっているときも、症状がなかなかよくならない場合があります。

自律神経の乱れ

心身のストレスや環境の変化などは、自律神経のバランスに影響を与えます。自律神経バランスが乱れると、免疫機能の低下で風邪が長引く傾向に。とくに季節の変わり目は注意しなければなりません。

他の病気にかかっている

発熱が続くときは、肺炎や新型コロナウイルス感染症、悪性腫瘍といった病気の可能性があります。咳や痰が3週間以上続くときは、気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などが考えられるでしょう。鼻水や鼻づまりが長引くときは、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の可能性があります。

医療機関を受診する目安

症状が軽ければ、自宅で様子を見てもよいでしょう。しかし、長引くときは医療機関の受診が必要です。症状と関連する耳鼻科または内科を受診するとよいでしょう。また、いつもと明らかに様子が違うときは、早急に受診してください。受診の目安は以下のとおりです。

<医療機関を受診する目安>


  • ・ 39℃を超える発熱がある
  • ・ 喉の痛みが強く、飲み込みが困難
  • ・ 長く続く咳や痰がある
  • ・ 息苦しさが強い
  • ・ 喘息や糖尿病といった基礎疾患を持っている
  • ・ 10日以上症状が続いている
 

風邪を予防する7つの対策

風邪はひいてから対処するのではなく、風邪をひかない生活を送るのが大切です。手洗いやうがいに加え、湿度や温度管理で対策をとるようにしましょう。

1.手洗い・うがい

風邪を予防するために、食事の前や外出から帰ったあとは、手洗い・うがいをおこないましょう。手や喉についたウイルスを洗い流すのが重要です。
手洗いは石けんやハンドソープを使用しておこない、最低15秒以上かけて洗いましょう。指先や指の間、親指は洗い残しをしやすいので、丁寧に洗うよう心がけてください。うがいは、口の中でブクブクしたあと、喉でガラガラすると効果的です。

2.換気

室内にいるときは、定期的に換気をおこないましょう。厚生労働省では換気について以下の方法を推奨しています。

<換気の目安>


  • ・ 30分に1回、数分以上
  • ・ 2方向壁の窓を開放する
  • ・ 冬場は、暖房器具を使用しながら、一方向の窓を常時開けて、連続的に換気をおこなう
  • ・ 窓を十分に開けられないときは、可搬式の空気清浄機を併用する

3.室温・湿度を適切に保つ

温度や湿度対策も風邪予防に欠かせません。必要に応じて、除湿機やエアコンのドライ機能、加湿器を併用してみてください。空気清浄機の使用も検討しましょう。健康によいとされる室温、湿度の目安は以下のとおりです。

<健康によい湿度・温度>


  • ・ 室温:夏は25~28℃・外気との温度差は7℃以内、冬は17~22℃
  • ・ 湿度:年間を通して40~60%

4.バランスのよい食事

栄養が偏ったり不足したりすると、体調を崩しやすく、風邪をひきやすくなります。多様な食材から栄養をとり、バランスのよい食事を心がけましょう。具体的には、主食・主菜・副菜がそろった食事です。さらに1日の中で、乳製品や果物を加えるとよいでしょう。

5.十分な睡眠

免疫機能の低下につながる睡眠不足は、風邪をひく1つの原因です。十分に睡眠をとりましょう。一般的には6~8時間程度がよいとされています。ただし、適正な睡眠時間は個人差があるため、自分にとっての適正な時間を見つけるようにしましょう。

6.適度な運動

適度な運動は、免疫機能を高めるとされています。継続できる運動を定期的におこなうとよいでしょう。厚生労働省の「健康日本21」による成人の運動目安は以下のとおりです。

<成人に対する個人目標(例)>


  • 日頃から「散歩」、「早く歩く」、「乗り物やエレベーターを使わず歩くようにする」など意識的に体を動かしましょう
  • ・ 1日平均1万歩以上を目標に
  • ・ 週2回、1日30分以上の息がはずむ運動を習慣に
  • ・ 最初の運動としてはまずはウォーキングから
  • 引用:「健康日本21(身体活動・運動)」/厚生労働省
 

ウイルス感染症の今後

近年私たちは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを経験しています。過去には、スペイン風邪(スペインインフルエンザ)のパンデミックがありました。スペイン風邪とは1918年から翌年にかけて世界的に流行した感染症です。チアノーゼや血痰が特徴だったとされています。日本では3回のピークがありました。1回目の流行では、国民の約37%が感染、総死亡者数は25万7千人と推計されています。3回目以降になると国民の大部分が免役を獲得したと考えられ、季節性インフルエンザに移行していったようです。
今後も、新たなウイルス感染症が発生するリスクは高いと予測されます。また薬剤耐性を獲得し感染が拡大する恐れもあるでしょう。ウイルスから身を守るためには、常に感染対策を意識して生活しなければなりません。

 

風邪に関するQ&A

風邪に関するよくある質問をまとめました。生理前に風邪をひきやすい理由や脱水症状のリスクについて疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。

生理前に風邪をひきやすいのはなぜ?

女性の心身は、女性ホルモンの影響を強く受けます。女性ホルモンであるエストロゲン、プロゲステロンのバランスが変わると、免疫機能が低下し、風邪をひきやすくなる可能性があります。

風邪で脱水症状になるの?

風邪で脱水になる可能性はあります。発熱で発汗すると、水分が失われやすくなるためです。食欲の低下で飲食ができなくなる人もいます。こまめに水分を補給し、何かしら口に入れるようにしましょう。

 
風邪の予防は「もらわない」「うつさない」を心がけよう

風邪はもっとも身近な病気で、誰でもかかる可能性があります。適切にケアをすれば、通常は1週間~10日程度でよくなるでしょう。しかし「風邪は万病の元」といわれるように、風邪がきっかけとなり他の病気を引き起こす可能性もあります。風邪をひいてしまったら無理せず、自分の体をいたわりましょう。症状がつらいときや長引くときは、耳鼻科または内科を受診するようにしてください。
風邪は他の人にうつるケースも少なくありません。風邪の人と接触したた際はうがいや手洗い、換気などを徹底し感染予防に努めましょう。風邪は「もらわない」「うつさない」を心がけてください。

 
監修医師からのアドバイス

風邪はありふれた病気の一つです。多くは数日で自然に回復します。
しかし、症状が長引くと中耳炎や副鼻腔炎などを併発して長期間の治療が必要になるケースも少なくありません。
風邪は日頃からの感染対策で発症をある程度予防できる病気です。日頃から手洗いやうがいなどの習慣づけ、風邪が流行っている時期はマスクの着用や換気などの対策も行いましょう。

また、風邪は軽度な症状のケースが多いため市販薬などで症状が和らぐのであれば医療機関への受診は不要です。しかし、高熱が続く、強い症状があるといった場合には風邪以外の病気の可能性があります。
できるだけ早めに医療機関を受診して適切な検査や治療を受けるようにしましょう。