薬機法ライター皐月萌可
会社員時代の体調不良をきっかけに健康への関心を深め、Webライターとして美容・健康コラムを多数執筆。薬機法管理者、コスメ薬機法管理者、YMAA個人認証マークの資格を持つ。
前職はシステムエンジニアで、IT系をはじめ難解な内容を初心者向けに分かりやすく解説するのが得意。幅広い知識と経験を基に、読者の日常に役立つ情報を親しみやすい文章で発信している。
あせもの原因は、汗の通り道がふさがれて生じる皮膚トラブルです。症状には、水ぶくれに似た水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)などがあります。汗をかきやすい環境に長時間いると起こりやすく、大人が発症するケースも少なくありません。
かゆみを我慢できずにかきむしると炎症が広がるおそれも。肌を清潔に保つ、患部を冷やすといったセルフケアが大切です。症状が長引くときは、皮膚科の受診をおすすめします。
医学的に「汗疹(かんしん)」と呼ばれるあせもは、汗の通り道がふさがれて皮膚内部に汗が溜まるトラブルです。かゆみを伴う小さな発疹ができ、炎症を起こすケースも。主に高温多湿な夏場に発症しやすく、首・胸・肘の内側・膝の裏側といった汗をかきやすい部分に現れる傾向があります。
以前は乳幼児に多い皮膚トラブルと考えられていましたが、近年は猛暑の影響で大人の発症例も少なくありません。汗をかきやすい環境に長時間さらされると、年齢を問わず発症するリスクが高まります。
汗の通り道である「汗管(かんかん)」がふさがれるのが、あせもの主な原因です。汗に含まれるミネラルや老廃物が汗管を詰まらせると、汗が肌の表面まで出てこられなくなります。溜まった汗が皮膚を刺激し、かゆみや炎症を引き起こすのです。
あせもは、大量に汗をかく環境で起きやすくなります。真夏の炎天下で過ごしたり、激しい運動後は、とくに注意が必要です。また通気性が悪い服を着ていると、せっかく出た汗が蒸発しにくく、ムレてあせもができやすくなります。
あせもの代表的な症状は、水晶様汗疹・紅色汗疹・深在性汗疹の3つです。色が透明でかゆみがないケースもあれば、赤みを帯びて強いかゆみを覚える症状もあります。まずは、自分のあせもがどのタイプにあてはまるかを確認してみてください。
「水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)」は、透明や白っぽい小さな水ぶくれが現れるのが特徴です。皮膚の表面に近い汗の出口が詰まり、角質層に汗が溜まって発生します。大人の場合は、高い熱で大量に汗をかいた後などに発生するケースも。
かゆみや赤みは伴わず、比較的軽い症状のため、数日で症状が落ち着くでしょう。肌を清潔に保ち、汗をこまめに拭き取るなどのケアを行うと、自然に快方に向かいます。
赤みのある小さなポツポツは「紅色汗疹(こうしょくかんしん)」と呼ばれ、あせもの中でもよく見られる症状です。皮膚の表面より少し深い層で汗管が詰まり、周囲の組織に汗が染み出すと炎症が発生。赤みとかゆみを伴うのが特徴です。湿度が高く蒸し暑い環境で起こりやすく、日常的に汗の量が多い人も発症しやすい傾向があります。
紅色汗疹が長引くと、別の皮膚トラブルに発展する可能性も。かゆみを我慢できずに皮膚をかきすぎると、傷口から細菌に感染するケースがあるため注意しましょう。
皮膚表面が盛り上がるタイプのあせもは、「深在性汗疹(しんざいせいかんしん)」と呼ばれる症状です。皮膚の深い層である真皮で汗管がふさがれると発生します。
深在性汗疹になると、汗が体外に排出されない状態に。体温が上がっても発汗による体温調節ができなくなるため、熱中症のリスクが高まるおそれがあります。
発症が報告されているのは、主に高温多湿の環境である熱帯地域です。日本の気候で発症するのは珍しいとされています。
あせもとよく間違えられる皮膚の病気として、汗かぶれや湿疹があります。原因や症状の特徴には違いがあり、汗かぶれは皮膚のバリア機能低下が主な原因です。一方、湿疹はさまざまな要因が組み合わさって引き起こされます。適切な治療を受けるためにも、まずは症状の特徴をしっかりと見極めましょう。
汗かぶれは、汗に含まれる塩分やアンモニアが皮膚に刺激を与え、肌がかぶれてしまう皮膚トラブルです。衣服によるこすれも関係しており、触れた部分に赤みやかゆみが広がります。バリア機能が低下している肌に起こりやすいのが特徴です。あせもとは異なり、汗かぶれは発汗の仕組み自体には問題がありません。
湿疹は、皮膚に現れる炎症の総称で、強いかゆみを伴う症状です。あせもは汗の出口付近に赤いポツポツが現れるのに対し、湿疹は皮膚全体が赤く盛り上がる特徴があります。
発症の原因は、化学物質や紫外線などの外的要因と、体質やストレスといった内的要因の2つです。さまざまな要因が絡み合って発症するため、原因の特定が難しいとされています。
肌を清潔に保ち、患部を冷やすといった基本のセルフケアを行うと、あせもの症状が和らぐ場合があります。さらに、汗をかきやすい高温多湿な環境を避けるために、エアコンを活用しましょう。炎症が強いときは、塗り薬の使用が有効です。複数のセルフケアを組み合わせ、症状の緩和を目指しましょう。
あせもの症状を緩和するには、肌の清潔さを保つ対策が欠かせません。運動や夏場の外出で汗をかいた際には、汗が肌に残ったままにならないよう、柔らかめのタオルでやさしく拭き取りましょう。
入浴時には、ボディソープを泡立てて丁寧に汚れを落とすのも大切です。また、衣服は綿やリネンといった通気性・吸水性に優れた素材を選ぶと、汗によるムレを軽減できます。
あせもによる不快なかゆみには、患部を冷やす方法が効果的です。保冷剤を薄手のタオルで包んで当てたり、冷水で濡らしたタオルを使用したりすると、かゆみを抑えられます。
また、体温が上がって血行がよくなると、かゆみが悪化するおそれがあるため、入浴時は熱いお湯を避けましょう。ぬるめのシャワーで汗を流す程度にとどめると、症状の悪化を防げます。
あせもの予防と改善のためには、エアコンを活用し、快適な室温と湿度を保つように心がけましょう。暑い環境では皮膚の表面に汗がとどまり、あせもが発症しやすくなります。とくに夏場は冷房を活用し、汗をかきにくい環境を整えましょう。
ただし、エアコンを使いすぎると空気が乾燥しやすくなります。肌の水分不足は肌トラブルにつながりやすいため、保湿ケアもあわせて行うのが大切です。
あせものかゆみが強く、我慢できないときは、塗り薬による対処がおすすめです。ステロイド外用薬には抗炎症作用があり、かゆみや炎症を抑える効果が期待できます。
あせもをかきむしってしまうと、皮膚に傷ができて細菌感染を引き起こすおそれも。膿が出ると治療が長引く可能性があるため、我慢せずに早めの対処を心がけましょう。
あせもを悪化させないために、体温を上昇させる行動は避けましょう。辛い料理やアルコールの摂取は、控えた方が無難です。熱い湯船での入浴や、激しい運動もやめておきましょう。
また、かゆみを感じる部分をかくのもNG。治りにくくなる可能性があるため、注意が必要です。
あせもが長引いたときや、症状が悪化したときは、早めに皮膚科を受診しましょう。症状を放置して頻繁に皮膚をかいてしまうと、傷口から細菌が入り、「とびひ」と呼ばれる伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)を引き起こすおそれがあるためです。
皮膚科では、炎症を抑える外用薬の処方や、感染予防のためのアドバイスなどが受けられます。なかなか治らず不安なときは、迷わず専門家を頼ってみてください。
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