ノロウイルスはどんな食べ物が原因で起こる?
ノロウイルスは感染力が強く、10個~100個の少ないウイルス量でも発症します。発症原因となる代表的な食品は、ノロウイルスに汚染された水、感染者が調理や食事介助をしてノロウイルスが付着した食品、ノロウイルスが体内に蓄積した二枚貝(牡蠣・大アサリ・しじみ・はまぐりなど)です。
ノロウイルスは、85℃1分以上の加熱により感染力を失うため、生食は避け、中心部までしっかり加熱して食べるようにしましょう。
なお、牡蠣や二枚貝によるノロウイルスに関する詳しい情報は、下記をご確認ください。
関連コラム:牡蠣(二枚貝)によるノロウイルス予防は加熱がカギ!感染拡大を阻止する4原則を守りおいしく食べよう
また、感染は食品だけでなく、汚染された調理器具や台所用品、人を介しても広がります。症状があるときは、食品を扱わないようにしましょう。
ノロウイルス感染後に現れる症状は?
ノロウイルスに感染すると、1日~2日で胃腸炎症状が現れます。おもな症状は、吐き気・嘔吐・腹痛・下痢・発熱です。
胃腸炎症状は、通常1日~2日続いた後、自然と治まる傾向にあります。ただし、免疫力が低い乳幼児や高齢者は、脱水症状を引き起こして重症化したり、嘔吐物が気道に詰まって死亡事故につながる危険性もあるため注意が必要です。
ノロウイルス感染時の食事ポイントは?
ノロウイルスによる胃腸炎になると、消化機能が低下するため食欲が減退します。しかし、嘔吐や下痢により水分や体に必要な栄養が失われてしまうため、生命を維持するためにしっかりと食事で補う必要があるのです。下記に示すポイントを意識して、早期回復を目指しましょう。
水分補給をする
気持ちが悪いからと水分を補給せずにいると、脱水を招いて重症化する恐れがあります。
ただし、胃腸炎により消化機能が低下しているため、一度にたくさん水を飲むとすぐに吐いてしまい、水分補給が水の泡に…。
脱水を予防するために、吐き気が落ち着いたタイミングを見計らって、少しずつ水分を摂取しましょう。小さなお子さまは、小さじ程度のスプーンで少量ずつ飲ませるのがコツです。また、冷たい水は胃に負担がかかるため、常温がよいでしょう。
塩分補給もする
嘔吐や下痢が続くと、水分と同時にナトリウムをはじめとした電解質も損失するため、塩分補給も重要です。適度に塩分や糖分を含んだスポーツドリンクや経口補水液は、吸収効率がよく、電解質バランスに配慮されているため、活用するとよいでしょう。
発症後3日~4日を目安に食事を開始する
発症後1日~2日は、吐き気や嘔吐が顕著に現れるため、無理に食事を摂る必要はありません。しかし、3日~4日経過して症状が落ち着いたら、体に栄養を届けるために少しずつ食事を摂りましょう。
少量をこまめに摂る
消化機能や食欲が低下しているため、少量をこまめに摂りましょう。一度にたくさん食べると胃腸に負担がかかりますが、少量ずつなら胃腸の負担を抑えながら栄養補給できます。回復の進行に合わせて、2日~3日かけながら食事量を戻していきましょう。
消化のよい食品を選ぶ
胃腸の負担を抑えるには、食品選びも重要です。消化のよい食べ物を取り入れ、消化しにくい食べ物は控えましょう。下記に紹介する、消化のよい食品と悪い食品を参考にしてみてください。
消化のよい食品
胃腸の負担を軽減できる代表的な食品は、柔らかい食べ物、繊維質や脂質が少ない食べ物、煮込んで繊維質を柔らかくした料理などです。
ヨーグルトは口当たりがよく、整腸作用があるため、下痢の改善効果が報告されています。しかし、乳糖不耐症の方は、下痢を促す可能性があるため避けたほうがよいでしょう。
<消化のよい食品例>
- ・ お粥・パン粥
- ・ 豆腐・卵豆腐
- ・ 脂質が少ない食品(白身魚・鶏ささみなど)
- ・ 卵料理
- ・ 煮込み料理(煮込みうどんやそうめん・ポトフなど)
- ・ バナナ
- ・ すりおろしたりんご
- ・ ゼリー・プリン
- ・ ヨーグルト など
消化の悪い食品
胃腸に負担をかける食品には、繊維質や脂質が多い食べ物、刺激が強い香辛料や酸味が効いた食べ物、アルコール飲料やカフェインが多い飲み物などがあります。下記に示す食品は、ノロウイルスによる胃腸炎を発症中は避けましょう。
<消化の悪い食品例>
- ・ 玄米・雑穀米
- ・ 脂質が多い食べ物(揚げ物・バラ肉・焼肉・ラーメンなど)
- ・ 繊維質な食べ物(ごぼう・竹の子・山菜・コーンなど)
- ・ 弾力が強い食べ物(いか・たこ・こんにゃくなど)
- ・ 香辛料が効いた料理(カレー・キムチなど)
- ・ 酸味が強い食べ物(お酢・梅干し・かんきつ類など)
- ・ 冷たい飲み物
- ・ アルコール飲料
- ・ カフェインが多い飲み物(コーヒー・エナジードリンクなど)
ノロウイルス感染を防ぐポイントは?
ノロウイルスは感染力が強いため、周囲にノロウイルス感染者がいる場合は、二次感染に注意が必要です。ノロウイルスは空気感染リスクもあるため、可能であれば食事時間をずらす、同じ空間で食べないといった工夫をしましょう。
また、症状が治まった後も、1週間~1カ月ほどは便中にノロウイルスが排出され続けるため、日ごろから下記に示す感染対策を心掛けましょう。
手洗いの徹底
感染予防に最も有効な手段は、手洗いです。帰宅後・調理前・トイレ後など、こまめに石鹸で手を洗い、ウイルスを除去しましょう。
十分な睡眠とバランスがとれた食事
ウイルスに打ち勝つには、規則正しい生活により免疫力を高めておく必要があります。日ごろから睡眠時間を十分に確保し、バランスがとれた食事を心掛けましょう。
十分な食品の加熱
感染力が強いノロウイルスですが、85℃で1分以上の加熱により感染力が失われます。調理する際は、中心部が85℃~90℃で90秒以上加熱されるようにしましょう。
後片付けの配慮
ノロウイルス感染者の食べ残しや使用した食器には、ノロウイルスが付着している可能性があります。乾燥すると空気中に漂い、空気感染するリスクがあるため、直ちに片づけましょう。また、使い捨て手袋を使用し、食べ残しに直接触れないように配慮するのも有効です。
調理器具や環境の消毒
食品だけでなく、使用した調理器具や食器類の洗浄・消毒も大切です。食品と同様に、85℃以上で1分の加熱により消毒できます。
加熱消毒が難しい場合は、次亜塩素酸ナトリウムが配合された塩素系消毒薬や、塩素系漂白剤(塩素濃度0.02%=200ppm)を使用しましょう。
ドアノブやトイレの周辺にも、塩素系消毒薬などを用いて浸すように拭き取る方法が有効です。
参照:「感染性胃腸炎(ノロウイルスなど)について」/横浜市医療局健康安全課
適切なノロウイルス対策・早期治療で一日も早い回復を
ノロウイルスを早期に回復するには、適切な水分と栄養の補給が大切です。万が一、水分や食事を摂れない状態が続くと、脱水を引き起こして命を落とす危険があります。
また、下痢の症状を和らげたいからといって、下痢止めを使用するのはおすすめできません。下痢止めによりウイルスが排出しにくくなるので、回復が遅くなる可能性があります。
とくに小さなお子さまや高齢者の方は、「よく寝ていると思っていたらグッタリしていた…」というケースもあるので要注意です。回復が遅い場合は、直ちに受診し、適切な治療を受けましょう。
各ブランドの商品一覧をご確認いただけます。