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牡蠣(二枚貝)によるノロウイルス予防は加熱がカギ!感染拡大を阻止する4原則を守りおいしく食べよう

消毒・殺菌
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2025/03/12

牡蠣を食べてからノロウイルスによる胃腸炎発症までには、通常1日~2日かかります。ホタテやアサリなども感染リスクがあるうえに、近年は二枚貝以外の食品による食中毒が増加傾向です。十分に加熱をすれば死滅するため、電子レンジを使用する際も、中心温度を確認すれば安心して食べられます。 また、周囲に二次感染させないためには、徹底した手洗いや消毒が重要です。旬の味覚を存分に楽しむために、予防ポイントをしっかり抑えておきましょう。

 

牡蠣(二枚貝)によるノロウイルスとは?

ノロウイルスは感染力が強く、汚染された牡蠣(二枚貝)を生食や加熱不十分な状態で食べると、食中毒を引き起こす可能性があります。症状や感染ルートについて確認しておきましょう。

ノロウイルスで現れる症状

ノロウイルスに感染すると、下記の胃腸炎症状が現れます。原因となる食品を食べた人のうち、症状が現れる割合は45%程度です。感染しても症状が現れない場合(不顕性感染)でも、周囲にウイルスを広げるリスクがあるため安心できません。

<ノロウイルスによるおもな胃腸炎症状>


  • ・ 吐き気
  • ・ 嘔吐
  • ・ 下痢
  • ・ 腹痛
  • ・ 37℃から38℃の発熱 など

参照:「食品健康影響評価のためのリスクプロファイル ~ ノロウイルス ~」/食品安全委員会

ノロウイルスの感染ルート

ノロウイルスに感染するおもなルートには、「経口感染・接触感染・飛沫感染・空気感染」の4つがあります。牡蠣による感染は経口感染がほとんどですが、感染者を介して周囲に二次感染させてしまうリスクがあるため注意が必要です。

経口感染

ノロウイルスに感染する要因の大半は、経口感染です。ノロウイルスに汚染された食品を生食したり、加熱が不十分だったりすると、感染のリスクが高まります。また、ノロウイルス感染者が調理をし、ノロウイルスが付着した食品を他の人が食べて二次感染するケースもあります。

接触感染

ノロウイルス感染者の嘔吐物やふん便を処理した際に、手指にノロウイルスが付着して感染します。また、手洗いが不十分な状態で触れたドアノブやトイレの排水レバーなどを介し、感染するケースもあります。

飛沫感染

ノロウイルス感染者が嘔吐した際に、周囲にいた人がノロウイルスを含んだ飛沫を吸い込んで感染します。

空気感染

ノロウイルス感染者の嘔吐物やふん便が適切に処理されない場合、乾燥して空気中にノロウイルスが漂います。汚染された空気を吸い込んで感染します。

 

牡蠣(二枚貝)によるノロウイルス発症までの流れは?

牡蠣を食べてノロウイルスに感染すると、24時間から48時間後に胃腸炎症状(上記参照)が現れます。1日~2日で症状が治まり、自然に治癒していくのが一般的です。
一方で、乳幼児や高齢者・持病がある方は、脱水を引き起こして重症化するケースもあります。なかには感染しても症状が現れない方(不顕性感染)や、軽い風邪症状で済む方もいますが、知らぬ間に感染を広げる恐れがあるため要注意です。

 

牡蠣(二枚貝)がノロウイルスの原因になる理由は?

牡蠣(二枚貝)による食中毒は有名ですが、ノロウイルスは人の腸管内のみで増殖する性質があり、牡蠣(二枚貝)の体内や環境中では増殖できません。
では、なぜ牡蠣(二枚貝)はノロウイルスに汚染され、食中毒を招くのでしょうか。

原因1:汚水処理による海水汚染

ノロウイルスに感染した人のふん便や吐物は、汚水処理場にて消毒されます。しかし、現在の汚水処理技術ではノロウイルスを完全に除去できないため、一部が海や河川に排出されてしまうのです。
牡蠣は栄養源であるプランクトンを得るために、一日240リットル以上にもおよぶ海水をエラでろ過しています。他の二枚貝もプランクトンをエサにしているので、ろ過と同時に海水中に浮遊するノロウイルスが中腸腺に蓄積してしまうのです。

原因2:生食や加熱不足

牡蠣と同じ二枚貝であるシジミやアサリ・ハマグリも、中腸線にノロウイルスを蓄えます。しかし、生食する機会が少ないため、原因食品としてはほとんど話題に上がりません。ホタテについては、加熱が不十分な場合にノロウイルスに感染するリスクがあります。ですが、刺身では中腸線を取り除いた貝柱を食べるせいか、牡蠣ほど食中毒の発生件数は多くありません。
また、サザエやアワビといった巻貝は海藻をエサにするため、ノロウイルスを蓄積しないとされています。
以前は、ノロウイルスによる食中毒の原因食品といえば、牡蠣が圧倒的な割合を占めていました。しかし、昨今は全体の約一割に減少しています。増加している牡蠣以外の原因食品については、下記コラムをご覧ください。

関連コラム:ノロウイルス中の食事はいつからどんな食べ物を摂ればいい?有効な感染対策、加熱時間と温度を徹底解説

参照:「カキのノロウイルス汚染対策の現状と課題」/農林水産省
 

ノロウイルスによる「食中毒予防4原則」とは?

現在、ノロウイルスを予防するワクチンはなく、消毒用アルコールによる効果も期待できません(厳密には、70%消毒用アルコールに30分間浸せば消毒効果が期待できるが実用的ではない)。ノロウイルスによる食中毒を予防するには、下記の4原則が有効です。

原則1:「持ち込まない」

まずは、調理場にノロウイルスを持ち込まないのが重要です。調理従事者がノロウイルスに感染していた場合、料理にノロウイルスが付着し、食べた人の多くが二次感染するリスクがあります。
家庭や職場で調理をする方は、日ごろから丁寧な手洗いや健康管理に努めましょう。また、下痢や腹痛といった体調不良がある際には、食品を取り扱う作業を控えるのも大切です。

原則2:「つけない」

ノロウイルスは、手指を介して感染が拡大します。食品や調理器具・食器にノロウイルスを付着しないために、丁寧かつこまめな手洗いを心がけましょう。

<手洗いのおもなタイミング>


  • ・帰宅後
  • ・調理前
  • ・トイレ後
  • ・盛り付け前 など

原則3:「やっつける」

万が一、食品にノロウイルスが付着していたとしても、中心温度85℃~90℃で90秒以上加熱すれば、感染力を無効化できます。中までしっかりと火を通してから食べましょう。電子レンジで加熱した際は、中心温度計を使用して85℃以上で1分以上キープできるかを確認すると安全です。
また、二次感染を防止するために、食器や調理器具の消毒も忘れずに行いましょう。85℃以上で1分以上の熱湯消毒や、塩素系消毒薬、または塩素濃度を0.02%(=200ppm)に調整した塩素系漂白剤を使用した消毒が有効です。

原則4:「ひろげない」

身近でノロウイルスが発生した際は、感染を広げないために徹底した消毒が大切です。食器や調理器具は熱湯や塩素で消毒し、ドアノブやトイレ周辺も塩素消毒を行いましょう。ただし、塩素系消毒液は金属を傷める性質があるため、ドアノブなど金属性素材は殺菌後に薬剤を拭き取る必要があります。
衣類を洗濯する際は、85℃以上1分以上の熱水洗濯や高温乾燥機の使用が効果的です。色落ちしてもよい衣類であれば、塩素消毒による殺菌効果が期待できます。

参照:「ノロウイルスに要注意!感染経路と予防方法は?」/政府広報オンライン
 

牡蠣(二枚貝)でノロウイルスを発症した場合どうする?

牡蠣(二枚貝)によるノロウイルス予防は加熱がカギ!

ノロウイルスは感染力が強いため、牡蠣(二枚貝)を食べて嘔吐や下痢・発熱といった症状が現れた際は、二次感染を防ぐ行動が求められます。食中毒予防4原則の、「持ち込まない・つけない・やっつける・ひろげない」を守るとともに、下記の4点にも配慮しましょう。

外出しない

外出をすると、多くの方を二次感染させてしまう恐れがあるため、自宅で安静に過ごしましょう。

調理しない

家庭内や職場で食品を取り扱っている方が感染した際は、食品の取り扱いを避けましょう。感染者が食品に触ると、ノロウイルスが付着して二次感染が拡大するリスクがあります。感染中は、調理や配膳といった食品を扱う作業は避けましょう。

職場や学校に連絡する

ノロウイルスは感染力が強いため、感染中は職場や学校をお休みする必要があります。牡蠣を食べた後、数日以内に食中毒症状が現れた場合は、職場や学校に連絡し、直ちに医療機関を受診しましょう。なお、ノロウイルスと診断された際は、医師の許可が出るまで自宅休養となります。

症状が治まっても予防に努める

食中毒症状が治まった後も1週間~1カ月ほどは、便中にノロウイルスが排出され続けるとされています。体調が回復しても周囲にうつす可能性があるため、こまめな手洗いと消毒を行い、予防に努めましょう。

 
11月~2月は牡蠣(二枚貝)に関わらず徹底した衛生管理を

牡蠣は、焼いたり、蒸したりして中心部までしっかり加熱すれば安心して食べられます。しかし、生食やサッと焼いた料理のジューシーさも格別ですよね。
農林水産省では、牡蠣をはじめとした二枚貝を安心して食べられるよう、生産段階における汚染低減対策の必要性を検討しています。食中毒を心配せずに牡蠣の生食を楽しめる未来が待ち遠しいものです。
昨今は、牡蠣よりも他の食品によるノロウイルス食中毒が増加しています。とくにノロウイルスが流行する11月~2月にかけては、牡蠣に限らず衛生管理に十分注意しましょう。

参照:「カキのノロウイルス汚染対策の現状と課題」/農林水産省

  • 高村 恵美

    管理栄養士ライター高村恵美

    12年間管理栄養士として病院などに勤務。家族にいつでも"おかえり"が言えるようライターへ転身後は、忙しいひと・働くひとに寄り添うレシピの提供や、健康コラムを数多く執筆。
    自分も同じ立場だからこそ「仕事と家庭の両立に悩む女性を応援したい」気持ちが高まり、悩めるママに向けたコラム執筆も行っている。