ノロウイルスとは?なぜうつる?
ノロウイルスは非常に感染力が強く、わずか10~100個のウイルスが体内に入っただけで感染性胃腸炎を発症する可能性があるウイルスです。主な症状として、下痢・嘔吐・発熱・吐き気・腹痛が現れます。1年をとおしてノロウイルスによる食中毒が報告されていますが、ピークは11~2月です。
感染経路には、汚染された食品を食べる経口感染や、ウイルスが付着した場所に手指が触れる接触感染などがあります。ノロウイルスを予防するには、徹底した消毒が重要です。とくに感染リスクが高まる冬場は、こまめな消毒を心がけましょう。
<ノロウイルスの感染経路>
- ・ 汚染された二枚貝などの食品を、生や加熱が不十分な状態で食べる
- ・ 感染した調理者の手指を介して調理された食品を食べたり、ウイルスが付着した調理器具や食器を使用したりする
- ・ 汚染された場所に触れた手指を介し、ウイルスが口に入る
- ・ 感染者の嘔吐物や便の処理後、空気中に飛散したウイルスを吸い込む
家庭で行うべきノロウイルス対策
ノロウイルスの感染予防には、丁寧な手洗いと食品の十分な加熱処理が重要です。家庭でできる予防対策をしっかり実践し、ノロウイルスから身を守りましょう。
手洗いを丁寧に行う
対策の基本となるのが、石けんを使用した丁寧な手洗いです。手洗いは、手指に付着したウイルスを物理的に洗い流す効果があります。
手を洗う際は、泡立てた石けんで30秒間かけて手のひらや手の甲をしっかりともみ洗いしましょう。次に、15秒以上かけて流水ですすぎます。ノロウイルスは大腸菌の約1/100と非常に小さく、皮膚の間に入り込みやすいため、手洗いの工程は複数回繰り返すのが理想です。とくに親指周辺・爪の間・指先・手のしわは洗い残しが発生しやすい箇所なので、意識的に洗いましょう。
丁寧な手洗いを習慣にすれば、ノロウイルスへの感染リスクを下げられます。以下のタイミングでは、必ず手洗いを行うようにしましょう。
<手洗いをするタイミング>
- ・ トイレを使用した後
- ・ 外出先から帰宅したとき
- ・ 調理を始める前
- ・ 食事の前 など
※参考:「ノロウイルスの消毒方法」/食品安全委員会
調理時は食品を十分に加熱する
食品からの感染を防ぐには、十分な加熱処理が不可欠です。一般的に、ウイルスは高温での加熱により活性を失う特徴があります。ノロウイルスも例外ではなく、85~90℃で90秒以上加熱するのが有効な対策です。
とくに牡蠣といった二枚貝は、ノロウイルスを蓄積しやすい食材として知られています。生や加熱が不十分な状態で食べると感染するリスクが高まるため、中心部まで十分に火を通すよう注意を払いましょう。
ノロウイルス対策に有効な消毒液の作り方
ノロウイルス対策の消毒液は、次亜塩素酸ナトリウムが含まれた市販の家庭用塩素系漂白剤と、水を混ぜるだけで簡単に作れます。熱湯での希釈は消毒効果を低下させるため、必ず水を使用してください。
また、漂白剤は必ず塩素系を選びましょう。酸素系漂白剤では、ノロウイルスへの効果が期待できません。さらに、塩素系と酸素系の漂白剤を混ぜると有害なガスが発生する危険があるため、必ず単独で使用する必要があります。
消毒液は、500mlのペットボトルを利用すると作りやすいのでおすすめです。ペットボトルのキャップ1杯が約5mlなので、計量する際に活用するとよいでしょう。以下の材料を参考に、使用シーンに合わせた濃度の消毒液を作ってみてください。
【対象別】ノロウイルスの消毒方法
家庭用塩素系漂白剤を水で希釈した消毒液を使えば、調理器具から日用品類まで幅広く消毒できます。
消毒作業を始める際は、必ず換気を行いましょう。また、ウイルスや消毒液が衣服に付着しないよう、エプロン・マスク・手袋といった防護具を着用して作業してください。
対象別の具体的な消毒方法は以下のとおりです。なお作業後は、使用済みの手袋やペーパータオルが直接手に触れないよう注意しながら、ビニール袋に密閉して廃棄しましょう。
※参考:「ノロウイルスの消毒方法」/食品安全委員会
ノロウイルス感染者の嘔吐物・便の処理方法
感染者の嘔吐物や便の処理には、細心の注意を払う必要があります。作業時はウイルスが付着しないよう防護具を身につけ、嘔吐物を外側から内側へ集めて処理しましょう。消毒は半径2mまでの範囲を念入りに行い、使用した防護具は適切に処分します。作業後は用具の洗浄と手洗いまで丁寧に実施し、感染拡大を防ぎましょう。
ステップ1:嘔吐物や便を除去する
嘔吐物や便を除去する際は、窓を開放して十分に換気し、使い捨てマスク・手袋・ビニールエプロンを着用して作業を始めましょう。除去したい嘔吐物には、消毒液を染み込ませた新聞紙を重ねていきます。乾燥するとウイルスが空気中に舞い上がるため、湿らせながら作業するのがポイントです。
嘔吐物を集める際は、外側から中心に向かって寄せ集めます。集めた嘔吐物は、まず1枚目のごみ袋に入れて口を縛り、さらに2枚目のごみ袋に入れて二重に密封しましょう。
ステップ2:汚染部分を消毒する
嘔吐物を除去した後は、嘔吐物があった場所を中心に半径2mまでの範囲を消毒します。ペーパータオルに消毒液を十分に染み込ませ、対象領域を覆いましょう。しっかり消毒されるように、10分程度の時間をおいてから丁寧に拭き取ります。
カーペットなど、塩素系漂白剤による色落ちが懸念されるときは、消毒液の使用は避けた方がよいでしょう。嘔吐物を取り除いた後、スチームアイロンを高温に設定して1分程度加熱すると、熱による消毒効果が期待できます。
ステップ3:作業時に使った防護具を処分する
作業時に着用した防護具にはノロウイルスが付着している可能性が高いため、慎重な取り扱いが必要です。処分する際は、汚染面が他の部分に触れないよう、内側に折り込みながら順番に外していきます。まずビニールエプロンを外し、次に手袋、最後にマスクの順序で取り外すと、汚染された部分との接触を最小限に抑えられます。
外した防護具はごみ袋に入れ、口をしっかりと縛って密閉し、一般ごみとして廃棄してください。
ステップ4:用具の洗浄と手洗いを行う
最後に、使用した用具の洗浄と手洗いを行いましょう。消毒作業で使用したバケツやタオルには、ノロウイルスが付着している可能性が高いため、丁寧な洗浄が求められます。用具を洗い終えた後は、石けんを使用して指先や爪の間まで丁寧に洗い、ノロウイルスを洗い流しましょう。手洗いは、作業者自身の感染予防だけでなく、他の場所への二次感染防止にも重要です。
ノロウイルス消毒液を使用する際の注意点
塩素系消毒液はノロウイルス対策に効果的な一方で、使用方法を守らないと弊害が生じる可能性があります。
金属製品に消毒液を使用する際には注意が必要です。使用すると腐食を引き起こす可能性があります。消毒後は必ず薬剤を十分に拭き取り、金属表面に消毒液が残らないよう気をつけましょう。
また、衣類へ使用すると色落ちの原因となります。色落ちさせたくない衣類を消毒する際は、85℃以上の熱水による消毒を行いましょう。
さらに、消毒液は時間経過により効果が低下する特徴があります。一度作った消毒液は使い切るようにして、使用の都度新しく作り直しましょう。作り置きは避け、必要な分量だけを調整してください。
ノロウイルスの症状が治まってもしばらくは消毒を続けよう
症状が治まっていても、体内にはノロウイルスが残っている可能性があるため、しばらくの間は消毒を続けましょう。消毒がいつまで必要かといった基準はありませんが、2~4週間程度はウイルスの排泄が続くとされています。また、免疫力が低い子どもや高齢者の場合、ウイルスの排出期間が1~2カ月以上の長期に及ぶ可能性も。様子を見ながらウイルスの消毒を続けてみてください。
予防策として、調理器具やドアノブ、トイレなどの消毒を継続的に実施しましょう。また、トイレの使用後や調理の前には、石けんでの手洗いを徹底的に行います。症状の改善後も一定期間は予防対策を継続すると、家族や周囲への感染リスクを抑えられるはずです。
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