管理栄養士ライター広田千尋
病院、保育園、保健センターなどで13年間勤務。生活習慣病の方への栄養相談や、高齢者への栄養サポート、また赤ちゃんや子どもの食事相談など、幅広い年代の栄養サポートに携わる。現在は経験を活かし、フリーランスとして活動中。わかりやすく実践しやすいコラム執筆や、身近な材料で簡単に作れるレシピ作成を得意としている。
高い血糖値を下げるには、食べ物選びが大切です。が大切です。血糖値を急激に上げる食べ物を減らし、血糖値を緩やかに上げられるよう対策を行いましょう。
具体的に血糖値の上昇を抑える食べ物には、食物繊維を含む食べ物、精製度の低い穀類、糖質の量が少ない食べ物があります。他にも、血糖値が上がりにくいコンビニで手に入る食べ物を知っておくと忙しい方には便利です。血糖値を上げにくい食事のコツを知り、健康づくりの一歩を踏み出しましょう。
血糖値は、空腹時で100mg/dLを超えると、健康診断で高めと判断される数値です。まずは血糖値が高いとどのような影響があるのか知っておきましょう。
参照:「e-ヘルスネット」/厚生労働省血糖値が高い状態が続くと、血管を傷つけたり詰まらせたりする原因となり、さまざまな病気を引き起こす要因になります。
そもそも「血糖値が高い」状態とは、血液中に糖(血糖)が多い状態です。食べ物から摂る糖質の量が多かったり、運動不足が続いたりすると、血液中に糖があふれてしまい、血糖値が高くなってしまいます。
血糖値が高いと血液がドロドロとした状態になるため、血管内をスムーズに流れにくくなり、血管を傷つけたり、詰まらせたりしてしまうのです。
血糖値が高い状態でも、はじめのうちは自覚症状がありません。自覚症状が出はじめたときは、体に影響が起きてしまっているかもしれないサインです。自覚症状がないうちから、早めの対策が必要です。
通常の血糖値の高さだけでなく、気をつけたいのが食後の血糖値の急上昇です。
食後に血糖値が急に上がってしまうと、血糖値を下げるホルモンである「インスリン」の働きが追いつかず、血糖値の高い状態が続きやすくなります。食後の血糖値の上昇が緩やかだと、インスリンがしっかりと作用するため、血糖値が下がりやすくなります。
血糖値を下げたいときは、食後の血糖値が緩やかに上昇する食べ物を選ぶよう心がけましょう。
血糖値を下げるための食べ物を献立に取り入れる前に、まずは血糖値を急激に上げてしまう食べ物をとりすぎていないか、見直してみましょう。どのような食べ物が血糖値を上げやすいか、例を紹介します。
白米や食パンなどの精製された穀類を食べすぎると、血糖値を上げる原因となります。精製された穀類は、精製されていない穀類に比べると、食物繊維の量が少なくなっています。食物繊維は血糖値の急上昇を防ぐ働きがあるため、少ない食べ物は血糖値を上げやすくなってしまうのです。
芋・野菜の中でも、糖質の多いじゃが芋、とうもろこしなどは、たくさん食べると血糖値を上げやすくしてしまいます。「野菜だから」と思ってたくさん食べていると、気づかないうちに原因になっているかもしれません。
栄養豊富な食べ物ではありますが、食べすぎには注意しましょう。
小麦や砂糖を使ったドーナツや、米から作られるせんべいなどの菓子類の食べすぎも、血糖値の急上昇につながります。
とくに、お腹が空いたときの間食として取り入れている場合は要注意です。空腹時は糖の吸収を妨げるものが胃の中に入っていないため、血糖値が上がりやすい状態となっています。
お腹が空いた際に間食をとるなら、ドーナツやせんべいではなく、このあと紹介する食べ物(ヨーグルトやナッツなど)を取り入れるようにしましょう。
血糖値が高いといわれた方は、血糖値を緩やかに上げる食べ物を積極的に取り入れてみましょう。取り入れやすい食べ物を中心に紹介します。
玄米・オートミール・小麦ふすま(ブラン)といった精製度の低い穀類は、血糖値を上げにくい食べ物です。穀類は通常、精製するときに外皮を取り除きますが、実は外皮は栄養豊富な部分。食物繊維を含むため、血糖値の急上昇を防いでくれます。 主食を変えるだけの手軽な方法なので、1日3食のうち1食からでも変えてみましょう。
野菜やきのこの中でもオクラ・ごぼう・ブロッコリー・しいたけ・えのきたけは、食物繊維を含むため、食後の血糖値をゆっくり上げるのに役立ちます。
和え物、炒め物、スープといった料理に使ったり、惣菜メニューで選んだりしてみましょう。
海藻類には水溶性食物繊維が含まれるため、積極的に取り入れましょう。ひじき・めかぶ・わかめ・昆布といった海藻は、毎日取り入れたい食べ物です。
ひじきはお惣菜の定番でもあるので、外食やコンビニ食でも取り入れやすいのではないでしょうか。また味付けめかぶを取り入れたり、乾燥わかめを味噌汁やスープに足したりすると、手軽に海藻を増やせます。
牛乳やヨーグルトなどの乳製品は、糖質の量が少ない食べ物です。食事の前にとると、食後の血糖値の急上昇を抑える可能性があるとわかっているため、食前に取り入れてみるのもよいでしょう。
ただし、牛乳の1日の目安はコップ1杯(200ml)で、たくさん飲むとカロリーを摂りすぎる恐れがあるため、飲みすぎには注意してください。
ピーナッツ・アーモンド・ピスタチオといったナッツ類も血糖値が急上昇しにくい食べ物です。いろいろな栄養素を含むため、手軽な栄養補給にもよいでしょう。
しかし注意したいのは、カロリーです。たとえばアーモンドを大袋1袋分(約70g)食べると426kcalになり、おにぎり約2.7個分に相当します。食べすぎには注意しましょう。
これまで紹介した食べ物の中で、血糖値が上がりにくいコンビニでも手に入る食べ物をまとめて紹介します。
コンビニでも手軽に血糖値対策ができるため、上手に活用してみてください。
血糖値の上昇を抑えるには、食べ物だけでなく食事全体の工夫も大切です。どのような点に気をつけるとよいのか、コツを3つ紹介します。
肉や魚といったタンパク質を含む食べ物や、野菜・きのこ類・海藻類から先に食べるようにすると、血糖値の急上昇を抑えられます。先に食べたものが糖の吸収を抑えてくれるため、血糖値の上昇が緩やかになるのです。
また先におかずを食べてお腹を満たすようにすると、米やパンなどの主食の食べる量を減らせるため、糖質の摂取量も減らせます。
朝食を抜いている方は、必ずとるようにしましょう。空腹の時間が長くなると、次に食事をとるときに血糖値が上がりやすくなってしまいます。
血糖値を急に上げないように、玄米おにぎりやオートミールなど、簡単なものでよいので朝食をとるようにしましょう。
血糖値を上げる原因となるのが「糖質」です。糖質はエネルギー源となるため欠かせない栄養素ではありますが、多くなりすぎると血糖値を高める原因となります。下記の習慣がある方は、普段から糖質を摂りすぎているかもしれません。
当てはまる方は減らすようにしたり、糖質の少ないものを選んだりするようにし、糖質摂取量を減らせるようにしてみましょう。
血糖値が高いといわれたら、まずは原因となる食べ物の量や頻度を減らしたり、血糖値の急上昇を抑える食べ物を取り入れたりと、工夫を行ってみましょう。あわせてバランスのよい食事を心がけ、適度な運動を取り入れるのも大切です。
血糖値は、高い状態が続いても自覚症状がなく、知らず知らずのうちに体へ多大なリスクを及ぼしかねないのが、怖いところです。ぜひ対策を行い、自身の健康を守りましょう。
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