一級建築士・ライフスタイルライター神谷三理砂
住宅やインテリアの意匠設計に従事した経験を活かし、家の間取りやデザイン、インテリアなど住まいに関するコラムを多数手掛ける。ジュエリーデザイナーとしての経歴も長く、ファッション系コラムも執筆。最近は、より生活に役立つ記事を書きたいという思いから健康コラムに力を注ぐ日々。
刺繍や洋裁、家庭菜園といった手仕事を楽しむ暮らしを大切にしている。
おなかの脂肪が増えて腹囲(ウエスト周囲径)がどんどん大きくなってきて、「もしかして肥満かも?」と健康状態が心配になってくる方は多いのでは。内臓脂肪の蓄積が進み、そのままにしておくと、メタボリックシンドローム(通称メタボ、内臓脂脂肪症候群)におちいる可能性が高まるので、その前に対策する必要があります。
まずは、ウエスト周囲径の基準値や正しい測り方を知り、自分の健康状態を把握しましょう。その上で、数値が高い場合には、内臓脂肪を減らすために生活習慣を改善していきましょう。
ウエスト周囲径は、へその高さで測る寸法を指します。単に腹囲が大きいだけではメタボリックシンドロームにはあてはまりませんが、内臓脂肪の蓄積度合いを推定し、メタボの可能性を診断する指標のひとつとされています。
腹囲とウエストは、どちらもお腹まわりを測ります。大きく違うのは、腹囲がおへその高さで測定するのに対して、ウエストは腰の一番くびれている部分を測定する点です。特定検診などでは腹囲を測ります。一方、欧米ではウエストを腹囲として測定しているので、日本の腹囲とは数値が変わります。
内臓脂肪の蓄積具合は、ウエスト周囲径で判断します。基準値は「男性85cm以上、女性90cm以上」で、内臓脂肪の断面積100㎡に相当します。さらに、血圧・血糖・血清脂質のメタボリックシンドロームを判断する基準値のうち2つ以上を満たした場合には、メタボリックシンドロームと診断されるのです。
※高血圧・糖尿病・高トリグリセライド血症・低HDLコレステロール血症の薬物治療を受けている場合も、各項目に含めます。
※メタボリックシンドロームの診断基準は、特定保健指導の基準とは異なり、海外の基準とも異なるため注意しましょう。
メタボリックシンドロームにつながる恐れがあるかを判定するには、ウエスト周囲径を正確に測る必要があります。次のステップに従って測定しましょう。
ウエスト周囲径の測定での誤差を防ぐために、次の点に注意しましょう。
複数回測定して平均値をとると、より正確な数値を得られます。
ウエスト周囲径の基準値は、日本内科学会・肥満学会・動脈硬化学会・糖尿病学会など8つの医学系学会により測定された、日本人の内臓脂肪面積のデータを基に設定されています。しかし、なぜ女性の方が男性よりも数値が高いのでしょう?
女性と男性では脂肪のつきかたが異なります。女性は男性よりも身体の外側につく皮下脂肪がたまりやすく、若いうちはホルモンのエストロゲンの働きにより、男性よりも内臓脂肪は蓄積しにくい特徴があります。
しかし、閉経するとエストロゲンの分泌が減少するため、内臓脂肪も蓄積しやすくなるのです。たとえば、男女ともに同じ量の内臓脂肪を蓄えている場合、女性は皮下脂肪が多い分、ウエスト周囲径が大きくなります。
ただし、メタボリックシンドロームに影響するのは内臓脂肪の蓄積で、皮下脂肪は診断基準に含まれていません。そのため、女性のウエスト周囲径の基準は男性より5cm高く設定されているのです。
ウエスト周囲径の数値が高く、肥満の状態にあると健康リスクが高まります。日頃の食事や運動といった生活習慣を見直して、健康的な身体を目指しましょう。
おなかに内臓脂肪が過度に蓄積される原因は、必要以上のエネルギーを摂取しているからです。無理な食事制限はリバウンドを招いてしまうので、まずは1日の摂取カロリーを1割だけ減らしてみましょう。カロリー計算が大変な場合には、ご飯や麺類といった炭水化物を中心に、食事の量を1割減らすように心がけましょう。
食事は1日3食を基本として、バランスよく摂りましょう。食事が偏らないように、炭水化物(ご飯)・たんぱく質(肉・魚・卵・豆腐)・野菜・海藻・きのこ類など、異なる種類の食品を食べるのが大切です。
また、和食の基本と言われる「一汁三菜」を中心に、ご飯と汁物、3つのおかずを組み合わせて献立を考えると、栄養バランスのよい食事が採れます。
日頃の食習慣の中で、改善できる部分を探してみましょう。たとえば、間食が多い場合には量を減らし、食べる際はカロリーの高いスナック菓子を避けましょう。夜食も内臓脂肪がたまる原因になるので、寝る2時間前までには食事を済ませてください。
また、よく噛んで食べるように意識すると、満腹中枢が刺激されて少量でも満足感を得られ、内臓脂肪の分解が促進されやすくなります。
最初は無理せずに、1日10分だけいつもより多く歩いてみましょう。さらに動けると感じたら、少しずつ時間を長くしてみてください。
朝食前など時間を決めて、毎日同じ条件で体重を測りましょう。体重が増減した場合に、原因が食事によるのか時間によるのかなど、判断しやすくなります。
忙しい毎日で食事の管理や運動が難しい場合には、機能性表示食品を活用しましょう。たとえば、中鎖脂肪酸を摂取すると、BMIが高めの方の体脂肪や内臓脂肪、皮下脂肪が減少すると報告されています。普段使用している植物油を、中鎖脂肪酸を主成分としたMCTオイルに切り変えれば、日常活動時の脂肪の消費が増えるでしょう。
機能性表示食品を毎日の食事にうまく取り入れて、無理なく健康な体を維持しましょう。
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