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眠りが浅い悩みは更年期特有?不眠で夢ばかり見るときに効くセルフケアや生活習慣、病院受診の目安とは

2024/06/14

眠りが浅い状態は、更年期に多いとされています。女性からよく聞かれる悩みですが、実は中高年の男性でもぐっすり眠れない人が増えているのです。
夢ばかり見る、深く眠れない、昼間ぼーっとするといった症状と更年期はどのような関連があるのでしょうか。詳しく解説します。
不眠によいとされるセルフケアや生活習慣、病院受診の目安を知り、つらい時期を乗り切りましょう。

 

「眠りが浅い」悩みは女性特有?

不眠は、更年期によくある症状の一つとされています。
「なかなか寝つけない」「夜中に汗をかいたり眠りが浅かったりして、何度も目が覚める」「朝早く目覚めてしまう」など、不眠の現れ方は人それぞれです。
不眠の悩みは、女性特有なのでしょうか。

睡眠に対して問題を抱えている人の性別と年代

多くの研究で、不眠は女性に多く見られる傾向が明らかになっています。厚生労働省によれば、更年期女性の4割~6割が睡眠の悩みを抱えており、仕事にも影響することが報告されているのです。

参照:「健康づくりのための睡眠ガイド2023 (案) 」/厚生労働省

男性でも更年期で眠りが浅くなる?

更年期障害とは、40代を過ぎた頃に体内の性ホルモンの量が減って、自律神経の調子が悪くなり、症状が出る状態です。
男性の場合、更年期障害をLOH症候群(late-onset hypogonadism)と呼びます。男性ホルモンである「テストステロン」の減少が原因です。
男性の更年期障害の症状にも不眠が見られますが、男性ホルモンと不眠がどう関係しているかは、実はまだ解明されていません。
ただ、不眠症や睡眠時無呼吸症候群の人は、男性ホルモンの値が低いとされており、不眠を治療すると、ホルモンの値が改善するとの指摘もあります。

 

女性特有のライフステージと不眠

女性の体は一生の間に大きく変化するもの。とくに、生理、妊娠・出産、閉経の時期には、体のホルモンのバランスが変わり、睡眠のパターンにも影響します。
月経周期や妊娠・出産期、更年期で変化する睡眠の傾向を見ていきましょう。

月経周期と不眠

多くの女性が悩まされる「月経前症候群(PMS)」の症状には、睡眠の変調も含まれています。月経周期に合わせて女性ホルモンが変化するため、昼間に眠気が強くなったり、夜は反対に寝つけなくなったりするのです。
睡眠の記録をつけると、月経と睡眠の関係が分かるかもしれません。症状が強いときは休みをとり、無理をせずに過ごしましょう。

妊娠中の不眠

妊娠初期はホルモン「プロゲステロン」の影響で、昼間に眠くなる場合があります。無理をせず、短い昼寝や適度な運動がおすすめです。一方妊娠後期には子宮の収縮や胎動、頻尿などで夜中に目が覚めてしまうケースが多くなります。

出産後の不眠

出産後は夜間の授乳やお世話で睡眠が分断されるため、睡眠不足になりがちです。周囲のサポートを得ながら、短時間の昼寝を取り入れましょう。

更年期の不眠

歳を重ねると、睡眠が浅くなったり、眠る時間が短くなったりする傾向が強まります。更年期の女性に特有の、のぼせ・発汗・動悸が原因で眠りが浅くなる場合も多いでしょう。女性ホルモンが大きく変化するだけでなく、ストレスと不眠との関連を指摘する研究者もいます。 また閉経後には、睡眠時に呼吸が止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」にかかるリスクが高まるといわれています。「いびきが大きい」「寝ているときに呼吸が止まっているようだ」と家族や同居している人から指摘されたら要注意です。

「夢ばかり見る」など、更年期で眠りが浅いときの症状

更年期の女性が不眠を感じるとき、どのような症状が出るのでしょうか。
よく聞かれるのは以下の症状です。

  • ・入眠に時間がかかる
  • ・夜中に目が覚める
  • ・夢ばかり見て眠りが浅い
  • ・熟睡感がない

以上の症状が続くと、十分な睡眠がとれていない状態となります。
結果として、朝スッキリ目が覚められない、昼間ぼーっとする、頭が重たい、集中力が続かないといった、つらい症状に悩まされてしまうでしょう。

 

更年期特有の不眠におすすめの方法

眠りが浅い悩みは更年期特有?

不眠に悩む方々が共通して感じるのは、「今夜も眠れないかもしれない」といった不安です。
不眠が続くと、「早く眠らなければ」と思いつめ、かえって眠れなくなっていませんか。
そんなときは、「どうせいつかは眠くなるから、眠くなるまで起きていよう」と考えると、気持ちが楽になるかもしれません。不眠改善におすすめの方法をご紹介します。

不眠が気になるときのセルフケア

不眠を改善するためには、自分でできるケアがいくつかあります。
冷えを感じたら手足を温めるなど、症状に応じた対策をとりましょう。また、自律神経のバランスを整え、リラックスするのも大切です。
前夜に十分に眠れなかった場合、昼食後に10-15分の昼寝をするとよいでしょう。短時間でも脳の疲労を取り除くのに効果的です。
不眠で最も大切なのは、一人でくよくよ考え込まないこと。セルフケアも、自分の心と体の安定を第一に選んでください。

不眠のとき、見直すべき生活習慣

不眠に悩んだら、まずは日常生活を振り返ってみましょう。食事や運動、休息など、基本的な生活習慣の改善が重要です。

寝酒をしない

アルコールを飲むと、一時的に眠くなるものの、その効果は2時間ほどで切れてしまい、睡眠の質を悪化させます。寝酒は避けましょう。

カフェインをとりすぎない

午後から夜にかけてカフェインを含む飲み物をとりすぎると、眠りに影響する場合があります。カフェインへの耐性は人によって異なりますが、眠れない日が続いているときはコーヒーやお茶類を飲みすぎていないか気にかけてみましょう。
最近では、カフェインレスの飲み物も多く市販されています。お気に入りの飲み物を探してみてください。

寝る前にブルーライトを浴びすぎない

スマートフォンやパソコンの画面を見すぎると、ブルーライトを過度に浴び、目が冴えてしまいます。「寝室にはスマートフォンを持ち込まない」「寝る2時間前からはデジタル機器を見ない」と、自分なりのルールを決められるとよいでしょう。

眠れないまま布団の中で過ごさない

寝つけないときには、寝床を離れてリラックスできる活動をしましょう。ソファーで音楽を聴いたり、読書したりするのがおすすめです。"眠らなくては"との義務感から離れられます。

休日の寝溜めをしない

平日に睡眠不足だからといって休日に寝溜めをすると、生活リズムが乱れてしまうおそれがあります。毎日同じ時間に起きる習慣をつけましょう。

寝つきの悪さを過度に気にしない

寝つきが悪い夜は誰にでもあります。過度に気にすると、不安が増してさらに眠れなくなってしまうもの。不眠への恐怖から離れ、気持ちにゆとりを持ちましょう。

不眠改善のために取り入れたい生活習慣

不眠を改善するためには、簡単にできる習慣を取り入れるのが大切です。以下のうちできそうなものがあれば、ぜひ試してみてください。

適温で入浴する

お湯の温度は38~41℃が最適です。この温度で入浴すると、体がリラックスしやすくなります。42℃以上の熱いお湯は、逆に体を緊張させてしまうので注意しましょう。どうしても熱いお湯が好きな人は、寝る2時間前には入浴を済ませるようにしてください。

寝る前にリラックスする方法を試す

筋弛緩法や呼吸法など、さまざまなリラックス方法があります。とくに呼吸法は簡単で、お腹を膨らませながらゆっくり息を吸い、お腹をへこませながらゆっくり息を吐くだけ。息を吐くときは、吸うときの2倍の時間をかけるのがポイントです。
はじめは効果を感じにくいかもしれませんが、続けるとリラックスできるようになります。

日中の生活リズムを整える

寝つきが悪いときは、寝る時間を決めすぎず、眠くなったら寝るようにしましょう。
また、日中の過ごし方も重要です。朝起きたらカーテンを開けて日光を浴び、朝食をしっかりとりましょう。また、昼間は外に出て活動するのが大切です。昼寝は午後3時より前にするとよいでしょう。

心と体のバランスを整える

軽い運動で心も体もリフレッシュできます。ウォーキングやストレッチを試してみましょう。
また、過労やストレスは更年期障害を悪化させる原因になります。気分転換を心がけたり、深呼吸をしたり、趣味を楽しんだりしながら、心と体のバランスを整えましょう。リラックスする時間を作るのも大切です。

 

不眠が続いたときは

眠りが浅い日が続いてつらい。そんな場合は、病院の受診や周りへの相談を考えてみましょう。

不眠で病院を受診するタイミングは?

以下の症状が続くときは、病院の受診を検討するのがおすすめです。

  • ・セルフケアを試しても睡眠が改善されない
  • ・日中の眠気が強くて日常生活に支障が出ている
  • ・眠りの浅さが強いストレスになり、不安やイライラなど不眠以外の症状が出ている
  • ・不眠以外にも気になる症状が続いている

不眠は何科を受診すべき?

不眠で病院を受診する場合、症状によって適した診療科が異なります。
入眠に時間がかかったり、夜中や早朝に目が覚めてしまうときは、内科・心療内科・精神科に相談するとよいでしょう。メンタルを扱う医療機関になじみがなく、気が重い場合は、まずはかかりつけ医に相談するのがおすすめです。漢方など気になる薬についても質問してみましょう。病院で不眠について相談するだけでも、不眠に対する心配が和らぐかもしれません。
いびきが大きかったり、日中の眠気に困ったりしている場合は、耳鼻咽喉科が選択肢になります。または、呼吸器・循環器を専門としている病院もおすすめです。
気分の落ち込み・顔のほてり・動悸の症状が気になるときは、婦人科や更年期外来を受診しましょう。問診や内診、女性ホルモンの値の測定を受けられます。

不眠の悩み、周囲にどう相談する?

不眠で悩んでいるときは、一人で抱え込まずに家族や友人、上司に伝えるのが大事です。
「病気ではないから」と周囲への相談をためらう人がいますが、昼間の眠気を「怠けている」と誤解される恐れもあるのではないでしょうか。眠りが浅く疲れがとれないと、きちんと伝えた方が、お互いによいはずです。
家族や親しい友人には、症状のつらい部分やサポートしてほしい事柄を具体的に伝えましょう。また、仕事に影響がある場合は、上司や同僚に事情を説明しましょう。理解を求め、場合によっては業務量の調整を希望するのがおすすめです。

 
更年期の不眠とうまく付き合って、人生を輝かせよう

不眠の悩みは本当につらいものです。眠りが浅い日が続くと「このまま一生眠れないのでは」と暗い気持ちになるかもしれません。
しかし、私たちの体はホルモンバランスや心身の疲れによって刻々と変化しているもの。「更年期を乗り切ると、急に心も体もラクに生きられるようになった」そんな先輩の声も多く聞かれます。上手に更年期と付き合って、長い人生を楽しく過ごしましょう。

  • 中村藍

    教育・福祉・取材ライター中村藍

    小学校・特別支援学校での20年の教師経験を活かし、教育や発達支援、福祉分野で活動するライター。
    現在も公立学校非常勤講師として教育に携わる。日本音楽療法学会認定音楽療法士の資格をもち、社会福祉法人にて非常勤の音楽療法士としても勤務。
    「わかる・できる・ラクになる」をモットーに、子どもたちや保護者に寄り添い、学校生活や家庭でのお悩みごとを解決に導く記事を心がけている。