監修医師成田 亜希子
2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。
国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。
現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。
自律神経バランスを整えるには、お風呂やサウナがおすすめ。サウナは近年「サ活」「ととのう」といった言葉が生まれ、人気が高い温活です。体を芯からあたためると血流がよくなり、心身のリラックスにつながるため、健康な毎日をサポートしてくれます。メリットをしっかり得るには、適切な温度や時間、入るタイミングを守るのが重要です。アフターケアや入浴時間を楽しめるアイテムも取り入れ、「ととのう」を実践しましょう。
お風呂は、昔から知られている健康習慣です。お風呂やサウナに入ると、血流がよくなり、リラックス効果が期待できるとされています。
お風呂やサウナによって体があたたまると、血流がよくなるため、新陳代謝がアップします。
疲労や体のコリが和らぐと、心身の緊張もほぐれていきます。お風呂の場合は、水圧によるマッサージ効果や、浮力によるリラクゼーション作用も期待できるでしょう。水圧によって、手足にたまった余分な水分を押し流すのを手伝ってくれます。
血流がよくなると、自律神経バランスが整いやすくなると考えられています。
自律神経とは、心身が活動するときに働く「交感神経」、休息やリラックスするときに働く「副交感神経」の2つの神経を指し、バランスを取りながら健康を保っています。
お風呂やサウナに入ると、温度変化が刺激となり、自律神経バランスを整えてくれるのです。温度やタイミングにより副交感神経が優位になると、心身のリラックスをサポートしてくれます。
心身が緊張し交感神経が優位な状態にあると、寝付きが悪くなりがちです。お風呂やサウナに入ると、交感神経と副交感神経のスイッチがうまく入れ替わりやすくなり、リラックスにつながるため寝付きやすくなります。
また、質のよい睡眠のためには、体温の低下も必要です。お風呂やサウナに入ると一時的に体温は上昇します。お風呂上がりには熱が放散され、体温が下がる過程で眠くなるので、就寝の1~2時間前に入るとよいでしょう。
自律神経を整えるのに役立つお風呂やサウナの入り方を紹介します。適切な温度や時間を守りましょう。
自律神経を整えるには、正しい方法で入るのが大事です。
ぬるめのお湯は交感神経が優位になるのを抑えてくれ、体への負担も少なくできます。
逆に42℃以上のお湯は、交感神経が優位になり心身を興奮させてしまうため、リラックスしたい方はぬるめのお風呂に入るようにしてください。
サウナにはドライサウナ・スチームサウナ・遠赤外線サウナといったさまざまな種類があります。一般的に「サウナ」と呼ばれているドライサウナの目安は、以下のとおりです。
サウナに入ったあとは水風呂がよいとされています。水風呂に入る際は、ぬるめのかけ湯で汗を流し、手足にかけ水をして冷たさに慣らしておくのがポイントです。温度と時間はきちんと守りましょう。サウナ・水風呂・外気浴の流れを2~3回繰り返すと「ととのう」といわれる状態になりやすいといわれています。水風呂が苦手な方は、無理に入らなくても大丈夫です。
自律神経を整える方法の一つに「温冷交代浴」もあります。温冷交代浴とは、お湯に入る温浴と、水に入る冷浴を交互に繰り返す入浴方法です。お湯に入ると血管は拡張し、水に入ると血管は収縮します。交互におこなうと血流がよくなるため、自律神経のバランスが整うとされているのです。
家庭でおこなうのはなかなか難しいため、冷水シャワーを手足にかける方法で代用しましょう。以下のステップでおこなってみてください。
ただし、高血圧・心臓の病気・体調不良などがある方は、冷水シャワーを控えましょう。
お風呂やサウナは正しい方法で入れば、自律神経を整えるのに役立ちます。しかし、入り方を間違うと、メリットが得られなくなる場合も。体への負担が大きくなり、悪影響を及ぼす恐れもあるため、注意しなければなりません。
お風呂やサウナでは、無理をしないのが重要です。時間が長ければよいわけではなく、温度が高ければよいわけでもありません。のぼせないように時間や温度を守りましょう。体調不良のときや心臓に持病がある方は、とくに注意が必要です。お酒を飲んだあとに入るのも控えましょう。
お風呂やサウナの前後は、必ず水分補給をおこなってください。入浴中にたくさんの汗をかき、体の水分が失われるためです。入る前、入ったあとはコップ1杯程度の水分を補給しましょう。ミネラルウォーターやスポーツドリンクがおすすめです。コーヒーや緑茶は、利尿作用があるため控えてください。くれぐれもお酒を水分代わりにしないように。
水風呂は、短時間でも体への負担が大きいです。以下の注意点を守りましょう。
休憩は、自律神経のバランスを整えるためにも重要です。
お風呂やサウナは、体によい影響を与えます。あがったタイミングを利用して、スキンケアやストレッチをおこないましょう。
お風呂やサウナのあとの肌は、汚れや皮脂が落ち乾燥しやすくなっているため、早めにケアするのが重要です。とはいえ、汗だくの状態では、化粧水をつけてもなじみにくくなってしまいます。汗がすこしひいたタイミングでおこなうとよいでしょう。汗がひくのを待つ間、肌の乾燥は進んでしまうため、ミスト状の化粧水で一旦保湿し、汗がひいたら化粧水や乳液を塗るようにしてください。ローションパックでリラックス時間を楽しむのもよいでしょう。体にも乳液やクリームを忘れずに。自分をいたわりながらなじませてみてくださいね。
お風呂上がりやサウナのあとは、心身がリラックスした状態になっています。軽い運動をおこなうと、さらによいでしょう。簡単なストレッチをいくつか紹介します。
手と足の指を使い、グーパーしましょう。一本一本の指に意識を向けおこなうのがポイントです。簡単な動きなので、お風呂の中や仕事中におこなうのもよいでしょう。
お風呂やサウナの時間をより楽しむために、入浴剤やアロマオイルを使用してみてはいかがでしょうか。
入浴剤には色や香りがついているアイテムもあり、その日の気分で選べます。選ぶ入浴剤により、温泉気分やリゾート気分に浸れるでしょう。肩こりや疲労回復には、有効成分に炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウムが含まれている入浴剤がおすすめです。体の芯からあたたまり、コンディションを整えてくれるでしょう。
香りを楽しみたい場合、アロマオイルを使用するのも一つの方法です。入浴剤として楽しむ場合は、水に溶けやすくするため無水エタノールで薄めて使用する方法が推奨されています。5mlの無水エタノールに1~5滴のアロマオイルを混ぜてから浴槽に入れてみてください。
サウナの場合は、アロマポットやアロマストーンにオイルを垂らす芳香浴がよいでしょう。
ただし、妊娠中の方や病気治療中の方は、ローズマリーやセージなど避けるべきアロマオイルもあります。使用前に必ず医師に確認しましょう。
現代人は不規則な生活リズムやストレスなどの影響で、自律神経のバランスが乱れやすい状態の方が多いでしょう。また、季節の変わり目や、40~50代にかけてのホルモンバランスが変わるタイミングでも、自律神経が乱れやすくなります。
お風呂やサウナを取り入れると、心身を整えるのに役立つでしょう。ただし、無理は禁物です。
お風呂やサウナを上手に利用し、いつでも元気に過ごしていきたいですね。
自律神経バランスの乱れはさまざまな心身の不調を引き起こします。そのため、自律神経バランスを整えるケア方法はたくさん見出されていますが、入浴やサウナもその一つです。
血流をより良くして自律神経バランスを整えるには、入浴中やサウナ中にマッサージをするのも効果的です。特にふくらはぎなど血流が悪くなりやすい部分は適度な圧をかけて親指で押すなどのマッサージがよいでしょう。
また、よりリラックス効果を高めるには深呼吸をするのもおすすめです。深呼吸には元々副交感神経を刺激する効果がありますが、入浴中やサウナ中に深呼吸をすると相乗効果でより高いリラックス効果が期待できる場合があります。
その他、今回ご紹介した入浴剤やアロマなどご自身が気持ちよく入浴、サウナ習慣を継続できるような工夫をしてみましょう。
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