監修医師成田 亜希子
2011年医師免許取得。初期臨床研修を経て総合診療医として幅広い分野の治療に携わる。
臨床医として勤務しながら、行政機関での勤務経験もあり地域の健康課題にアプローチした健康寿命延伸、感染症対策などの医療行政にも携わってきた。
国立保健医療科学院、結核研究所での研鑽も積む。
現在、医療法人ウェルパートナー主任医師。
二日酔いの気持ち悪い吐き気の解消には、アルコールの分解を助けるために肝臓の機能を高める食べ物と飲み物の摂取が有効です。コンビニで買えるスポーツドリンクやしじみの味噌汁は、電解質や足りない栄養を補給できます。
また、自宅に吐き気止めの薬がないときは、ツボ押しも有効です。ただし、症状が重いときは医療機関への受診も検討してください。適切な対処法を知り、自分に合うケアを試してみましょう。
二日酔いとは、過度にアルコールを摂取した結果、翌朝以降に現れる不快な症状を指します。主な症状は、吐き気・胸焼け・胃もたれ・頭痛などです。
アルコールは胃で約20%、小腸で約80%吸収されます。吸収されたアルコールは血液を通じて全身に運ばれ、酔った状態になるのです。
およそ24時間以内に代謝されますが、体調や飲酒量によっては二日酔いの症状が長引くケースもあります。
アルコール分解の過程で生成される「アセトアルデヒド」が、二日酔いの原因の一つとされています。アセトアルデヒドが体内にたまると吐き気・胃もたれ・頭痛・動悸といった不快な症状を引き起こすのです。分解する能力には個人差があり、得意でない人は少量のアルコールでも二日酔いを起こす場合もあります。
また、アルコールには利尿作用があるため脱水や電解質バランスの異常を引き起こす場合があります。脱水や電解質バランスの異常も二日酔いの原因とされており、様々な要因が重なって発症すると考えられているのが現状です。
二日酔いで気持ち悪さや吐き気を感じたら、アルコールの分解を助けるために肝臓の機能を高める食べ物や飲み物を摂取しましょう。また、胃腸薬やツボ押しも二日酔いを和らげるのに有効な手段です。具体的なセルフケア方法をお伝えするので、ぜひ実践してみてください。
二日酔いの症状を緩和するには、果物やタンニンを含む食べ物が効果的です。果物に含まれる果糖にはアルコールの分解を、助ける効果があるとの報告があります。また豊富に含まれるビタミンCもエネルギー補給の役に立ちます。りんごやオレンジを食べたり、果汁100%のジュースを飲むとよいでしょう。
また緑茶や柿に含まれるタンニンには、胃の粘膜を修復する作用があります。アルコールによってダメージを受けた胃を保護し、吐き気を軽減する効果が期待できるでしょう。ただし、空腹時に多く飲むとかえって胃の粘膜に刺激を与える場合があります。摂りすぎには注意しましょう。
アルコールを分解し、体内からアセトアルデヒドを排出するには十分な水分が必要なため、水分補給をしっかり行いましょう。とくにおすすめなのは、水より吸収が速く糖分や電解質を補給できるスポーツドリンクです。
また、二日酔いの頭痛を緩和するには、カフェインを含むコーヒーが効果的。頭痛はアセトアルデヒドによる血管の拡張が原因の一つですが、カフェインには血管を収縮させる作用があります。ただし、コーヒーをそのまま飲むと胃に強い刺激を与えるため、ミルクを加えて飲むようにしましょう。
また、二日酔いの頭痛の原因は脱水や電解質バランスの異常も含まれています。カフェインにも利尿作用があり、摂りすぎると頭痛が悪化するケースも。摂りすぎには注意してください。
二日酔いによる吐き気や胃の不快感がひどいときには、胃腸薬の服用も検討しましょう。アルコールを過剰摂取すると、胃が荒れたり胃酸が過剰に分泌されて、吐き気や胸焼けが引き起こされます。症状に合わせて適切な胃腸薬を使えば、不快な症状を緩和できるでしょう。
二日酔いによる吐き気を和らげるには、ツボ押しが効果的です。とくに「内関(ないかん)」や「労宮(ろうきゅう)」といったツボを刺激すると、リラックス効果による自律神経バランスが整って不快な症状を軽減できる可能性があります。
ツボ押しは簡単にできるセルフケアとして手軽に取り入れられるので、吐き気を抑えたいときに試してみるとよいでしょう。
二日酔いの症状を和らげるには、すぐに手に入るコンビニ商品が役立ちます。食欲が湧かないときは、失われた水分と電解質を補給できるスポーツドリンクがおすすめです。
食欲があるときは、梅干しおにぎりを選ぶとよいでしょう。梅干しに含まれるクエン酸は、疲労回復や食欲促進が期待できます。
また、肝臓の働きを高めるオルニチンが含まれたしじみの味噌汁もよいでしょう。水分・塩分も摂取できるので、脱水や電解質バランスの異常を改善できます。
二日酔いを予防するためには、空腹時の飲酒を避け、こまめに水を摂りましょう。また、適量を守って飲めば、体に大きな負担をかけずお酒を楽しめます。翌日の気持ち悪さや吐き気を防ぐために、事前にできる対策を実践してみてください。
二日酔いを防ぐには空腹時の飲酒を避け、食べながらお酒を飲むようにしましょう。空腹時はアルコールの吸収が速くなり、すぐに酔いが回って二日酔いを起こしやすくなります。さらに、胃粘膜がアルコールの刺激を受け、不快感が増すケースも。
必ずお酒だけでなく、おつまみや料理を食べながら飲むようにしましょう。豆腐や肉・魚料理に含まれるタンパク質は、アセトアルデヒドの分解に必要なアミノ酸源になります。また、牛乳やチーズといった乳製品は、一時的に胃に粘膜を作ってアルコールの刺激を緩和するのでおすすめです。
アルコールを摂取すると体内の水分が失われ、脱水になって吐き気や気持ち悪さが引き起こされるのです。水を同時に摂取すれば、脱水症状を防げるほか、飲みすぎ防止にもなります。
とくにアルコール度数が強い焼酎やウイスキーは、水割りやチェイサーと一緒に飲むようにしましょう。血中アルコール濃度が急に上昇するのを防ぎ、肝臓への負担を軽減できます。
一般的に1日の純アルコール摂取量は、男性で40g以下、女性で20g以下が適量とされています。しかし、個人差があるため、少量のお酒で許容範囲を超えてしまう場合も。自分の体調や体質に合わせた適量を知り、無理のない範囲で楽しんで二日酔いを防ぎましょう。純アルコール量20gの目安は以下の通りです。
二日酔いの症状が重く、胃痛や吐き気がひどいときは、早めに医療機関を受診しましょう。単なる二日酔いではなく、胃の粘膜に強いダメージが生じている可能性もあります。
また、吐血やタール便が見られたときは、胃や食道、十二指腸から出血しているケースも。症状がなかなか治まらないときや重いときは、自己判断せずに専門医の診察を受けましょう。
二日酔いはさまざまな原因が重なり合って発症すると考えられていますが、一番の原因は「飲みすぎ」です。二日酔いを避けるには第一に飲みすぎに注意が必要です。
二日酔いによる吐き気のメカニズムは分かっていない部分も多いですが、アセトアルデヒドの蓄積に加えて、アルコールによる脱水や電解質バランスの異常、胃粘膜への刺激、血糖値の低下などが挙げられます。
吐き気が強いときはなかなか食事が摂れないかもしれませんが、できるだけ水分と電解質、糖分が含まれた飲み物と消化に良い食べ物を摂るようにしましょう。
ただし、強い吐き気や嘔吐が続く場合は胃の粘膜に強いダメージが生じている可能性があります。軽度な症状であれば市販の胃薬で様子を見てもよいですが、少なくとも2,3日続くときは医療機関を受診しましょう。
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